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2025.12.26

共有持分の不動産を売却するには?流れや費用、共有名義になるケースと問題点を解説

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住み替えのノウハウ
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不動産を共有持分で所有する方の中には、「共有状態をどう解消すればいいのか」「他の共有者と話がまとまらない」などと悩む方も多いでしょう。

共有持分に関する悩みは、精神的にも金銭的にも大きな負担となります。この記事では、共有持分の不動産をスムーズに売却するための方法や必要な費用、一般的な流れを解説します。さらに、共有持分を好条件で売却するコツや注意点も解説しています。

  1. 共有持分とは?
  2. 共有持分は売却できる?
  3. 共有持分を売却する方法とは?
  4. 共有持分売却の流れを知っておこう
  5. 共有持分をより高く売却する方法
  6. 共有持分を売る際の注意点
  7. まとめ

共有持分とは?

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している場合の所有権の割合のことです。

例えば、きょうだい3人で実家を均等に相続した場合、それぞれが実家に対して3分の1ずつの共有持分を持つことになります。土地のこの部分は兄、この部分は弟、というように物理的に分割して所有しているわけではありません。あくまで不動産全体に対する権利の割合です。

共有持分について詳しく知るために、どのような場合に不動産が共有状態になるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

共有名義になるケース

不動産が共有名義になる主なケースを以下の表にまとめました。自分がどのケースにあてはまるか確認してみてください。

共有名義になる主なケース具体例
離婚による財産分与夫婦で協力して購入した家を離婚時に財産として分け合う
相続親が亡くなり、実家をきょうだいなど複数の相続人で相続した
贈与親から子へ、または配偶者へ、不動産の所有権の一部を贈与した
事業投資複数の投資家が共同で出資し、収益物件を購入した
共同購入夫婦がそれぞれ資金を出し合ってマイホームを購入した
二世帯住宅の建設親子で資金を出し合い、二世帯住宅を建てた

離婚により夫婦で購入した家を財産として分け合う財産分与が行われた場合、その家は共有名義になります。また、親が亡くなり、実家をきょうだいなど複数の相続人で相続した場合も、共有名義に当てはまります。

親から子、または配偶者へ不動産の所有権の一部を贈与するケースや、アパートなどの投資物件を複数の投資家が共同で投資して購入するケースでも、不動産は共有名義になります。

さらに、夫婦が資金を出し合いマイホームを購入する場合や、親子が協力して二世帯住宅を建てる場合も、家が共有名義になる代表例です。

共有持分ならではの問題点

共有持分には、単独で所有する不動産にはない問題点があります。次の表で問題点を確認してみましょう。

問題点具体的な内容
自由に活用・処分ができない不動産全体を売却したり、大規模なリフォームをしたりするためには、共有者全員の同意が必要。1人でも反対すると実行できない
権利関係が複雑になる共有者の1人が亡くなると、その持分は相続人へと引き継がれる。相続が続くと関係者が増え、話し合いがより困難になる恐れがある
突然見知らぬ人と共有関係になる共有者の1人が自分の持分だけを第三者に売却するケースがある。その場合、ある日突然、見ず知らずの人物が新たな共有者として現れることがある
訴訟を起こされるリスクがある共有者間の話し合いがまとまらない場合、共有者の1人が裁判所に「共有物分割請求訴訟」を起こし、強制的に共有関係を解消しようとすることがある
費用負担で揉める固定資産税や修繕費などの維持管理費用は持分割合に応じて負担するのが原則。しかし、実際に住んでいない共有者が支払いを拒否するなど、金銭的なトラブルに発展しやすい

このように、共有持分は多くのトラブルのもととなります。自分1人では不動産の活用方法を決められず、税金などの負担だけが続く状況に陥ることもあるでしょう。

上記の問題を解決し、共有関係のストレスから解放されるためには、持分の売却や放棄、分割などを行わなければなりません。

では、共有持分を売却するにはどうすればよいのでしょうか。次の章から具体的な方法を解説していきます。

共有持分は売却できる?

「共有名義の不動産は売却できないのではないか」と心配する声は多いですが、結論、共有持分は売却可能です。民法では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められており、共有持分も個人の財産権として認められています。

参照:e-Gov 法令検索「民法第206条」

ここからは、自分の持分だけを売る場合と不動産全体を売る場合の2つのパターンを解説します。

自分の持分のみ売却するケース

自分が所有している持分のみを売却する場合、他の共有者の同意は原則として不要です。民法第206条に基づき、自身の財産である共有持分は単独の判断で自由に売却できます。売却先は、他の共有者でも、まったく関係のない第三者でも構いません。

例えば、きょうだい3人で相続した実家のうち、自分が所有している3分の1の持分だけを売却したい場合、他のきょうだい2人の許可を得る必要はなく、購入希望者を見つけて自由に売買契約を結べます。

この方法は、他の共有者と意見が合わず、とにかく早く共有関係から抜け出したい方におすすめです。ただし、不動産の一部分の権利だけを買いたいという方は限られます。購入希望者を探す際は不動産会社に相談するとよいでしょう。

参照:e-Gov 法令検索「民法第206条」

不動産全体を売却・貸し出すケース

共有名義の不動産を1つの物件として売却したり、賃貸に出したりする場合は、共有者全員の同意が必要です。これは、民法第251条で、共有物を変更する際は共有者の1人でも反対すれば実行できないと法律で決まっているためです。共有不動産の売却や賃貸は、「変更行為」に該当すると解釈されています。

もし共有名義の家を売却する際は、共有者全員が売り主として売買契約書に署名・捺印しなければなりません。同様に、賃貸借契約を結ぶ、大規模なリフォームを行う、などの場合にも全員の同意が必要です。

全員の協力が得られれば共有不動産全体を現金化できるものの、1人でも反対者がいるとこの方法が選べない点に注意が必要です。

参照:e-Gov 法令検索「民法第251条」

共有持分を売却する方法とは?

家の共有状態から抜け出すためには、持分の売却や放棄、贈与などの方法がありますが、ここでは売却について詳しく解説します。ご自身の状況に合った方法を選んでみてください。

共有者全員で不動産全体を売却する

まずは、共有者全員が協力して共有不動産全体を1つの不動産として売却する方法が挙げられます。

この方法のメリットは、市場価格に近い価格で売却できる可能性があることです。買い主は権利が制限された共有持分ではなく、完全な所有権を手に入れられるため、所有権が単独の不動産同様、不動産市場で広く購入希望者を探せます。

ただし、この方法を選ぶためには、共有者全員が売却という方針に同意している必要があります。1人でも反対すればこの方法は成り立ちません。また、売却価格や売却のタイミング、諸経費の分担など、決めるべき項目が多いため、全員の足並みをそろえるのが難しいというデメリットもあります。共有者全員の関係が比較的良好な場合におすすめの売却方法です。

自分の持分だけを第三者に売却する

他の共有者の同意を得ずに自分の持分だけを第三者に売却する方法も挙げられます。他の共有者と意見が対立している場合や、話し合いに応じてもらえない場合におすすめの方法です。

この方法は、自分の意思だけでスピーディーに共有関係から抜け出せる点がメリットです。他の共有者を説得する必要がないため、精神的な負担が少ない方法といえるでしょう。

一方、主な売却先は、共有持分を専門に扱う不動産買取業者や投資家など、特殊な事情を理解した買い主に限られるというデメリットがあります。不動産の権利の一部だけでは自由にその不動産を使えないため、一般個人が買い主になるケースは少ないのです。

そのため、売却価格は市場価格と比べて安くなる傾向にあることを理解しておきましょう。

他の共有者に持分を買い取ってもらう

自分の共有持分を他の共有者に買い取ってもらう方法もあります。共有関係を円満に解消したい場合におすすめの方法です。

メリットは、見知らぬ第三者が共有関係に入ってくることがないため、他の共有者も受け入れやすい点です。不動産の所有者を身内で維持したいという共有者の意向がある場合に有効な方法です。

ただし、この方法では、他の共有者に持分を買い取るだけの資金力が必要となります。また、親しい間柄ゆえ「安く譲ってほしい」と要求をされるなど、かえって関係が悪化するリスクも考慮しなければなりません。

適正な価格で取引するためにも、事前に不動産鑑定士などに査定を依頼し、客観的な価格を把握しておくことが重要です。

共有持分売却の流れを知っておこう

続いて、共有不動産を売却する全体の流れと、各段階で必要になるものや費用について解説します。

必要なものや費用

共有持分の売却手続きを始める前に、以下の書類と費用を準備しておきましょう。必要書類は以下のとおりです。ただし、書類によっては媒介契約後に仲介会社が代理で取得する場合もあるため、どの書類が必要になるかを早めに確認しておくとスムーズです。

①本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
 必要なタイミング:契約や引き渡しの際に提示を求められる
 主な取得場所:市区町村の役所など

②実印
 必要なタイミング:売買契約書や登記書類への押印に使う
 主な取得場所:事前に市区町村役場で印鑑登録を済ませておく

③印鑑証明書
 必要なタイミング:契約時と引き渡し時に必要
 主な取得場所:市区町村の役所・コンビニエンスストア

④住民票
 必要なタイミング:引き渡し時に登記上の住所と現住所が違う場合に必要
 主な取得場所:市区町村の役所・コンビニエンスストア

⑤登記済権利証または登記識別情報
 必要なタイミング:契約時に必要
 主な取得場所:物件取得時に法務局で発行

⑥登記事項証明書
 必要なタイミング:売買契約時に共有者や持分割合、権利関係を確認するために必要
 主な取得場所:法務局

⑦固定資産税・都市計画税納税通知書
 必要なタイミング:査定価格の算出や税金の計算に使用する
 主な取得場所:毎年自治体から送付される

⑧固定資産評価証明書
 必要なタイミング:固定資産評価証明書は登記費用の計算などに必要
 主な取得場所:市区町村役場

⑨建築確認済証・検査済証
 必要なタイミング:物件引き渡し時に買主に渡す書類として必要
 主な取得場所:物件取得時の書類を確認

⑩土地測量図・境界確認書
 必要なタイミング:物件引き渡し時に買主に渡す書類として必要
 主な取得場所:物件取得時の書類を確認

続いて、共有不動産の売却にかかる費用と税金は以下のとおりです。

①仲介手数料
必要なタイミング:不動産会社に仲介を依頼し、売買契約が成立した場合に支払う
金額の目安:

  • 売却価格が3,000万円の場合、960,000円(別途消費税)
  • 売却価格が5,000万円の場合、1,560,000円(別途消費税)

②印紙税
必要なタイミング:売買契約書に貼る印紙の代金として使われる
金額の目安:

  • 売却価格100万円超500万円以下:1,000円
  • 売却価格500万円超1,000万円以下:5,000円
  • 売却価格1,000万円超5,000万円以下:1万円
  • 売却価格5,000万円超1億円以下:3万円
  • ※2027年3月31日まで印紙税が軽減される減税措置を適用

③譲渡所得税
必要なタイミング:売却益が出た場合に課される税金
金額の目安:

  • 譲渡所得税(売却益)に対して適用される税率
  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%
  • 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%

④登録免許税
必要なタイミング:住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消や住所変更・氏名変更の登記にかかる税金
金額の目安:

  • 不動産1件につき1,000円

⑤司法書士手数料
必要なタイミング:登記手続きを司法書士に依頼する際にかかる手数料
かかる金額の目安:

  • 1万5,000円〜2万円(司法書士により変動)

なお、仲介手数料の上限額は以下の表を参考にしてください。

売却価格仲介手数料の上限
200万円以下売却価格×5%
200万円超〜400万円以下売却価格×4%+2万円
400万円超売却価格×3%+6万円

出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」

※別途消費税が必要です
※物件価格が800万円以下の仲介の場合、「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」により、上限額(税込)は「30万円×1.1倍の金額」になります

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一般的な流れ

次に、共有不動産を売却する際の一般的な流れを見てみましょう。ここでは、共有者全員で不動産全体を売却する場合と、自分だけの持分を売却する場合の2パターンを解説します。

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共有者全員で不動産ごと売却する場合

共有者全員の同意のもと不動産全体を売却する際の主な流れは次のとおりです。

  • 共有者全員の同意の確認
  • 査定の依頼
  • 不動産会社の選定
  • 媒介契約の締結
  • 売却活動
  • 売買契約の締結
  • 決済・引渡し

まず、売却の方針について共有者全員で話し合い、同意を得ます。価格や時期などの条件も、この段階で大枠を決めておきましょう。

次に、不動産会社に査定を依頼し、売却を依頼する会社を選びます。査定結果の根拠を明確に示してもらい、共有者全員が納得できる会社を選ぶことが重要です。

不動産会社を選定したら、不動産会社と媒介契約を結びます。共有者全員が契約者となりますが、委任状により代表者を決めて契約を締結する方法もあります。

媒介契約を締結したあとは、不動産会社が主導となり購入希望者を探します。内覧は物件の印象が決まる重要なステップであるため、共有者で協力しながら慎重に対応しましょう。

購入希望者が見つかり、売買価格や条件が整えば、売買契約を締結します。原則、共有者全員の実印と印鑑証明書が必要です。この際、売買価格の一部に充当される手付金を受け取ります。手付金の金額は売買価格5%~10%が一般的です。

最後に、買い主から物件残代金を受け取り、同時に不動産の所有権を移転する登記手続きを司法書士に依頼します。所有権の移転登記が完了して家の鍵を買い主に引き渡せば、共有不動産の売却は完了です。

自分の持分だけを第三者に売却する場合

続いて、自分が所有している持分だけを第三者に売却するケースの流れを見てみましょう。

  • 不動産会社への相談
  • 査定の依頼
  • 不動産会社の選定
  • 媒介契約の締結
  • 売却活動
  • 売買契約の締結
  • 決済・持分移転登記

まずは、共有持分の売却に詳しい不動産会社に相談し、査定を依頼します。一般の不動産会社では取り扱いが難しいケースが多いため、共有持分に関する専門知識が豊富な不動産会社を選びましょう。他の共有者への対応なども含めて、不安な点はここで解消しておきます。不動産全体を売却するときと同様、信頼できる不動産会社が見つかれば、媒介契約を締結します。

媒介契約の締結後は、不動産会社が売却活動を行います。一般の個人だけでなく、投資家や共有持分を扱う専門業者など、幅広くアプローチしてもらうとよいでしょう。

購入希望者が決まり、条件が整えば、売買契約を結びます。この手続きに他の共有者の同意は不要です。無事売買契約を締結すれば、決済・持分移転登記へ進みます。物件代金を受け取り、司法書士に依頼して自分の持分を買い主へ移転する登記手続きを行えば、共有持分の売却は完了です。

共有持分をより高く売却する方法

共有持分は、不動産全体を単独で使用・処分できないことや、他の共有者とトラブルが起こる恐れがあることから、一般的な不動産よりも安く評価される傾向にあります。ここでは、少しでも有利な条件で共有持分を売却するための方法を解説します。

不動産会社に相談する

共有持分をなるべく高く売却するために、まずは不動産会社に相談して購入希望者を探しましょう。不動産会社は、自社で直接買い取るのではなく、広く購入希望者を探してくれるため、希望に近い価格での売却が期待できます。

その際は、不動産会社と結ぶ媒介契約の種類に注意が必要です。専任媒介契約や専属専任媒介契約を選ぶと売却活動を行う会社は1社に絞られますが、その分、売却に向けて責任を持った販売活動をしてくれます。

共有持分のように購入希望者が限られる物件でも、専門知識を持つ担当者が積極的に買い主を探してくれるため、結果的に高値での売却につながりやすくなります。

何よりも、販売戦略や価格交渉を安心して任せられる、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。

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自分の持分割合を増やす

売却前に自分の持分割合を増やしておくことも、共有持分を高く売るための有効な方法です。持分割合が大きいほど、投資目的の購入希望者などからの需要が高まり、高値での売却が期待できます。

ただし、持分割合を一方的に増やすことはできません。持分割合を増やすためには、他の共有者と交渉し、合意のうえ、他の共有者の持分を購入する形になります。親族間などで無償で譲り受ける方法(贈与)もありますが、その場合は贈与税がかかるケースがあるため、税金や手続きの面も考慮する必要があります。

売却タイミングを工夫する

売却のタイミングを工夫することも、高値での売却を目指すうえで重要なポイントです。

不動産の価格は、景気の動向や金利、税制の変更など、社会全体の経済状況に影響されます。不動産市況が上昇傾向にあるタイミングで売りに出せば、高値がつきやすくなるでしょう。

また、売り出す時期も売却価格を左右する要素の1つです。一般的に、1月~3月の新生活シーズン前や9月~11月の転勤シーズンは住宅の購入需要が高まる時期です。このような、購入希望者の動きが活発になる時期を狙って売却活動を開始すれば、物件がより多くの購入希望者の目に留まり、有利な条件での売却が期待できます。

そのためには、日頃から不動産市場のニュースに関心を持ち、最適なタイミングを見極めることが重要です。

物件の見た目や印象を良くする

物件の第一印象は、査定価格や購入希望者の購入意欲に直接影響します。特に共有者全員で不動産全体を売却する場合、内覧時の印象を良くしておくことが重要です。

例えば、売却活動前に壁紙の張り替えなどの簡易的なリフォームやハウスクリーニングを行えば、物件の見た目が格段に向上します。共有者がいる不動産であっても、このような物件の見た目を整えるメンテナンスであれば、自分の判断で行っても問題ありません。

しかし、間取りの変更や耐震補強工事など、建物の構造に関わるような大きな工事の場合は、共有者全員の同意が必要です。

好条件で共有不動産を売却するためには、まずは自分たちでできる範囲の清掃や片付けから始め、物件の魅力を最大限に引き出す工夫をしてみましょう。清潔で明るい印象を与えられれば、査定額アップや早期売却につながる可能性があります。

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共有持分を売る際の注意点

共有持分の売却は、注意点を押さえておかないと思わぬトラブルに発展することがあります。最後に、共有持分の売却を成功させるために注意すべき4つのポイントを解説します。

権利関係を明確にしておく

共有持分を売却する前に、必ず現在の権利関係を正確に把握しておきましょう。

相続を繰り返した不動産で特に多いのが、共有者が誰で何人いるのかが正確にわからないケースです。不動産全体を売却したくても、共有者が1人でも不明だと全員の合意を取り付けられず、売却手続きを進められません。

また、自分の持分だけを売却する場合でも、ほかにどのような共有者がいるか明確でなければ、購入希望者は将来的なトラブルを懸念して購入をためらうことも考えられるでしょう。

権利関係を明確にするためには、法務局で登記事項証明書を取得し、権利部(甲区)に記載されている所有者情報を確認しましょう。登記事項証明書の見方がわからない場合は不動産会社や司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

贈与税を課されるケースに注意する

共有持分の売却では、意図せず贈与税が発生するケースがあります。

例えば、他の共有者から無償で持分を譲り受けた場合は、その持分の評価額に対して贈与税がかかります。また、親族間などで持分を売買する際、市場価格よりも低い価格で取引すると、贈与税が課される恐れがあります。例えば、時価3,000万円の持分を500万円で売買した場合、差額の2,500万円分は贈与とみなされ、買い主側に贈与税が課されることが考えられます。

このような事態を避けるためにも、親族間で売買する場合であっても必ず不動産会社などに査定を依頼し、市場相場を把握したうえで適正な価格で取引するようにしましょう。

税金がかかるケースもある

共有持分を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、その利益に対して税金がかかります。譲渡所得は、売却価格からその不動産を取得したときにかかった費用(取得費)を差し引いて計算します。

取得費は、共有持分をどのように取得したかによって変わる点に注意が必要です。例えば、親から相続した不動産の場合、親がその不動産を購入したときの価格が取得費となります。もし購入時の契約書などがなく取得費がわからない場合は、売却価格の5%を取得費として計算します。

取得費が低いと譲渡所得が大きくなり、結果的に税負担が増えるため、共有持分の売却時はなるべく取得費を証明できる書類を用意しましょう。

関連記事
財産分与で不動産を取得する際の取得費の計算方法と注意点について解説

場合によっては共有物分割請求が必要になる

共有者間で不動産の売却方針について話し合いがまとまらない場合は、最終手段として裁判所に共有物分割請求を申し立てることができます。共有物分割請求とは、裁判所の判断によって共有状態を強制的に解消する手続きのことです。

共有状態を解消する主な方法には以下が挙げられます。

  • 不動産そのものを物理的に分ける「現物分割」
  • 1人が他の共有者の持分を買い取る「代償分割」
  • 不動産を競売にかけてその売却代金を分ける「換価分割」

ただし、共有物分割請求には時間と費用がかかるため、まずは弁護士などの専門家に相談し、調停や話し合いによる解決を目指すのが望ましいでしょう。

まとめ

共有持分の不動産の売却では、家族や親しい親族の間でもトラブルが発生する恐れがあり、慎重に進めることが求められます。しかし、売却には専門的な知識も必要となり、当事者のみでトラブルを解決するのが難しいケースも決して少なくありません。

売却をスムーズに進めるためには、想定されるトラブルを事前に把握したうえで、専門家の協力を得ながら対策を練ることが重要です。話し合いがこじれ共有物分割請求に発展してしまうようなことがないよう、専門知識を持つ不動産会社に相談し、自分の状況に合った最適な売却方法を見つけましょう。

掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。

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