お住み替えコラム

2024.01.22

不動産を売却すると税金はいくらかかる?課税の種類と計算方法を解説

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住み替えのノウハウ特集
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不動産を売却すると税金がかかります。売却時にかかる税金と売却後にかかる税金がありますが、売却で得たお金の使い道をしっかり立てるには、事前に税金の試算をすることが大切です。
この記事では、不動産の売却時にかかる税金の種類や計算方法、特別控除の制度についてわかりやすく解説します。
不動産売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 不動産売却にかかる税金
  2. 不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法
  3. 取得費における建物価格を計算する方法
  4. 譲渡所得にかかる税率は所有年数で変動する
  5. 不動産売却にかかる譲渡所得税に対して利用できる特別控除
  6. 不動産売却の ご相談は信頼できる不動産仲介会社へ

不動産売却にかかる税金

不動産を売却するには費用がかかりますが、費用の中には税金も含まれます。売却前にあらかじめ予算に組入れておくことで、売却後の計画に役立つでしょう。

不動産の売却時に税金がかかるタイミングとしては。以下の2つがあります。

  • 不動産売却自体にかかる税金
  • 不動産売却で利益が発生した時にかかる税金

順番に解説します。

不動産売却自体にかかる税金

まず、不動産を売却する時点では次の税金がかかります。

  • 契約書に貼付する印紙税
  • 不動産登記にかかる登録免許税
  • 仲介手数料と登記費用の消費税

以上の税金について詳しい内容を説明します。

契約書に貼付する印紙税

不動産を売買する時の契約書には、印紙税法にもとづく「印紙」を貼付する必要があります。税額は成約金額により決まっており、具体的な金額は次のとおりです。

契約書に記載された契約金額 税額
10万円超~50万円以下 200円
50万円超~100万円以下 500円
100万円超~500万円以下 1,000円
500万円超~1,000万円以下 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 10,000円
5,000万円超~1億円以下 30,000円
1億円超~5億円以下 60,000円
5億円超~10億円以下 160,000円
10億円超~50億円以下 320,000円
50億円超 480,000円

なお、上記の税額は平成26年4月1日から適用されている軽減税率に基づくものです。今後、軽減税率が廃止された場合は改めて国税庁のホームページで確認するようにしましょう。

また不動産取引に係わる契約は電子契約でも可能になっており、文書としての契約書を作成しないケースもあります。そのため電子契約では印紙税法の適用がされず、印紙を貼付する必要がないことを認識しておきましょう。

三菱地所の住まいリレーでは電子契約での不動産売買契約も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

不動産登記にかかる登録免許税

不動産売買により所有権を移転する際には登記が必要であり、所有権移転登記費用の負担は一般的に買主が行うことになっています。

売主が不動産登記に関する費用負担をする時は、主に次のような場合です。

  • 売主の現住所と登記上の住所が異なり、住所変更登記をする場合
  • 売買対象の不動産に抵当権が設定されており、抵当権の抹消登記をする場合

この場合の登記費用に登録免許税が含まれており、その税額は1個の登記につき1,000円(住所変更登記、抹消登記など)と定められています。

住宅を売買する時には一般に「土地と建物」になりますので、最低でも登記は2個になり、2,000円になります。もしも土地が2筆ある場合は、建物分を含め3,000円と計算します。

仲介手数料と登記費用の消費税

不動産売買を媒介した不動産仲介会社に支払う仲介手数料には、必ず消費税が課税されることも併せて覚えておきましょう。

2024年現在の仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限額が次のように決まっています。

成約金額(税別)の区分 仲介手数料上限額(税込)
200万円以下の部分 成約金額(税別)×5.5%
200万円超400万円以下の部分 成約金額(税別)×4.4%
400万円超の部分 成約金額(税別)×3.3%

仲介手数料の欄の5.5%、4.4%、3.3%にはそれぞれ手数料に対する消費税10%が加算されており、仲介手数料5.5%の場合は0.5%が消費税になります。

また、仲介手数料を計算する場合の成約金額は、消費税を含まない金額になるので注意しましょう。売主が個人で一般的な住宅の売買取引の場合、成約金額に消費税は含まれません。

さらに、登記が必要になった場合に登記申請を司法書士に依頼した場合には、報酬に対する消費税がかかることも覚えておきましょう。

不動産売却で利益が発生した時にかかる税金

不動産売却自体にかかる税金とは別で、不動産売却によって利益(譲渡益)が生じた際には、次の3つの税金が課税されることも認識しておきましょう。

  • 譲渡所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

順番に解説します。

譲渡所得税

譲渡所得とは、不動産のほか株式や貴金属などを売って得た利益のことを指します。サラリーマンが得る給与所得や、個人事業主が得る事業所得などを含め10種類ある「所得」の1つです。

所得に対しては所得税が課税されますが、譲渡所得に対して課税される税を「譲渡所得税」といいます。

復興特別所得税

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源のために特別に徴収する税金であり、平成25年1月1日以降から令和19年12月31日までの所得に対し、課税されるものです。

所得税と併せて課税徴収される仕組みになっており、税率は金額によらず所得税の2.1%となっています。不動産の譲渡所得申告において同時に申告し納税を行います。

住民税

所得に対する税金には国税である「所得税」と、地方税である「住民税」があります。

譲渡所得に対しても住民税が課税されます。譲渡所得申告により、自動的に自治体にデータが送付され、住民税が計算される仕組みです。

税率は不動産の所有期間により異なり、次の2つの区分があります。

  • 短期譲渡の税率:9%
  • 長期譲渡の税率:5%

不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法

では、不動産売却にかかる譲渡所得税はどのように計算するのでしょうか。ここからは、譲渡益の計算方法と譲渡所得税の計算方法をそれぞれご紹介します。

譲渡益の計算方法

課税対象の譲渡益は次の式により算出します。

譲渡所得=譲渡収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用)-特別控除額

譲渡収入金額は、売買代金および固定資産税などの清算金額を指します。取得費は売却した不動産を取得した時の成約金額と仲介手数料など費用の合計ですが、建物を含む場合は減価償却費に相当する金額を控除した残りの金額になることを覚えておきましょう。

譲渡費用は、仲介手数料や滅失登記費用と測量費や解体費など譲渡するためにかかった経費のことです。前述した所有権移転の時点で登記した「住所変更登記費用」は取得費に該当しないので、ご注意ください。

譲渡所得は収入金額から取得費と譲渡費用の合計を差し引き、残った利益からさらに特別控除を行い、算出します。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は課税譲渡所得金額に税率を掛けて算出します。算式は以下のとおりです。

譲渡所得税=(譲渡所得-特別控除)×税率

税率は2種類あり、次のとおりに定められています。

  • 短期譲渡(5年以下)の税率:39.63%(所得税30.63% 住民税9%)
  • 長期譲渡(5年超)の税率:20.315%(所得税15.315% 住民税5%)

なお、短期譲渡、長期譲渡の違いや特別控除については後段で詳しく解説します。

取得費における建物価格を計算する方法

取得費とは売却する不動産を取得した時の費用ですが、土地に関しては購入時の価格が土地の取得金額となります。また、建物には「減価償却」という考え方があります。取得時から売却時までの年数により建物の価値が低下するため、減価償却した金額を取得した金額から差し引き、残った金額が建物の取得費となることを覚えておきましょう。

式にすると以下のようになります。

建物の取得費=土地の購入金額-減価償却費相当分の金額

減価償却費相当分の金額は法定耐用年数に基づき計算します。国税庁が定めた「減価償却資産の償却率表 」を活用しましょう。

建物は構造別に法定耐用年数が定められており、それぞれの構造別に償却率が決まっています。また居住用に使っていた住宅の場合は法定耐用年数を1.5倍にすることができ、償却年数が長くなります。

以下は構造別に住宅と非住宅の償却率を表にしたものです

構造 法定耐用年数 非事業用 事業用
木造 22年 0.031 0.046
鉄骨造(鉄骨厚4mm超) 34年 0.020 0.030
鉄骨造(鉄骨厚3mm超~4mm以下) 27年 0.025 0.038
鉄骨造(鉄骨厚3mm以下) 19年 0.036 0.053
鉄筋コンクリート造 47年 0.015 0.022

【建物の取得費算出例】

2,000万円で取得した建物を、20年経過した時点で売却した場合の取得費を算出してみましょう。

  • 木造非住宅(事業用)の場合
    取得費=2,000万円-(2,000万円×0.046×20)=160万円
  • 木造住宅(非事業用)の場合
    取得費=2,000万円-(2,000万円×0.031×20)=760万円

このように住宅として使っていた建物は、600万円多く取得費として計算でき、譲渡所得を減少させることができるのです。

【取得した費用が不明な場合】

取得してからかなりの年数が経過した場合や、相続で取得したケースでは、取得した費用が不明な場合があります。その場合の取得費は、売却する時の成約金額の5%として計算します。

この方法は土地であっても建物であっても同様です。 また、取得費がわかっていても、取得費を5%として計算することもできます。

譲渡所得にかかる税率は所有年数で変動する

譲渡所得税および住民税の税率は、「短期譲渡」と「長期譲渡」 とで異なることは先述のとおりですが、ここでは短期と長期の区分について説明します。

まず、短期譲渡と長期譲渡がそれぞれ何を指すのかについて確認しましょう。

  • 短期譲渡
    譲渡の年の1月1日において、所有期間が5年以下の不動産(その不動産を購入してからお正月を6回迎えていないもの)を売却した場合は、短期譲渡になります。つまり、取得した時点から丸5年ではないので注意が必要です。
  • 長期譲渡
    譲渡の年の1月1日において、所有期間が5年を超える不動産(その不動産を購入してからお正月を6回迎えたもの)を売却した場合は、長期譲渡になります。上記と同様に丸5年ではありません。

短期と長期により変わる税率は以下のようになります。

税の種類 短期譲渡 長期譲渡
所得税 30.63% 15.315%
住民税 9% 5%

※所得税の税率は復興特別所得税を含んでいます。

不動産を売却する必要が出てきた場合には、所有期間が短期か長期かを確認した上で計画を立てるようにしましょう。

不動産売却にかかる譲渡所得税に対して利用できる特別控除

譲渡所得税を計算する際に軽く触れた、特別控除について詳しくご紹介します。

譲渡所得税の計算式は「譲渡所得税=(譲渡所得-特別控除)×税率」でしたが、特別控除は譲渡所得から差し引くことが可能です。

住宅を売却した場合に適用できる特別控除があります。

まず、居住用財産の3,000万円特別控除を利用した場合です。居住用として使用していた住宅を売却した場合に適用され、譲渡所得から3,000万円を控除できます。つまり成約金額が3,000万円以内であれば譲渡所得税はかかりません。

要件としては居住中に売却するか、住まなくなってから3年経過する年の12月31日までに売却することが必要です。

住宅を取壊し土地だけを売却する場合も適用できますが、住宅の取壊しから1年以内に売買契約を締結する必要があります。また取り壊したあと に貸し駐車場などほかの用途に 利用していないことも条件です。

そのほかにも細かい要件がありますので、国税庁のホームページ を確認しましょう。

次に、空き家を売った場合の3,000万円特別控除を利用した場合についてご説明します。相続により取得した住宅や敷地を売却する場合にも「居住用財産の3,000万円特別控除」と同様の特例が受けられます。ただし令和9年12月31日までに売却した場合とされています。

また住宅と敷地を同時に売却する場合と、解体したあとに土地だけを売却する場合も適用になります。

要件はいくつかありますが、その中でも重要なポイントを紹介します。

  • 被相続人が居住用としていた住宅である
  • 昭和56年5月31日以前に建築された「旧耐震基準」である
  • 旧耐震基準の建物でありながら、売却時には一定の耐震基準を満たしている
  • 一定の耐震基準を満たしていない場合は、売却後の翌年2月15日までに一定の耐震基準を満たせるか、または売却後の翌年2月15日までに取壊しをする
  • 区分所有建築物以外の建物である

以上のような要件がありますが、ポイントとしては旧耐震基準の建物を耐震改修などにより一定の耐震性能を保持した住宅にするか、取り壊して土地として売却してもよいとなっています。

ほかにもこまかな要件がありますので、国税庁のホームページ を参照してください。

居住用財産売却による譲渡所得税の特例

住宅の売却については、前項で説明した2つの特別控除以外に以下の特例措置があります。

  • 居住用財産売却の軽減税率の特例
  • 居住用財産の買換え特例

それぞれ順番に解説します。

居住用財産売却の軽減税率の特例

居住用財産売却の軽減税率の特例は、前述した「居住用財産の3,000万円特別控除」と同様に、居住用として使用していた住宅を売却した場合に適用されるものです。譲渡の年の1月1日において、住宅と敷地ともに所有期間が10年を超える(その住宅・敷地を購入してからお正月を11回迎えた) ものが対象となります。

「 居住用財産の3,000万円特別控除」は譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例ですが、ここでの特例は「税率」が軽減されるものです。

一般の長期譲渡の場合の税率15.315%が10.21%に 軽減されます。ただし譲渡所得が6,000万円以下までであり、6,000万円を超える場合は超過する所得に対しては通常の15.315%となるため、注意しましょう。

なお、居住用財産売却の軽減税率の特例は「居住用財産の3,000万円特別控除」と併用できるため、まず3,000万円特別控除により譲渡所得を減額させ、残った所得に対してこの軽減税率を適用させる方法が一般的です。

ほかにもこまかな要件がありますので、国税庁のホームページ を確認してみましょう。

居住用財産の買換え特例

居住用財産の買換え特例も居住用財産に関するものですが、譲渡所得の減額や税率を低減させる特例ではなく、納税を繰延べするものです。

居住用財産を売却し新たに居住用財産を取得した場合、先に売却した時点での譲渡所得課税を、新たに取得した居住用財産を売却する時まで課税を伸ばすことができます。

重要な要件として次のようなものがあります。

  • 居住中に売却するか、住まなくなってから3年経過する年の12月31日までに売却することが必要
  • 住宅を取壊し土地のみを売却する場合は、住宅の取壊しから1年以内に売買契約を締結することが必要
  • 転勤等で単身赴任の場合、配偶者等が居住している家屋を売却したとき(ただし、2つの家屋を所有する場合は、主たる居住用家屋)

買換え特例には紹介した以外にもたくさんの要件がありますので、国税庁のホームページ を参照することをおすすめします。

不動産売却のご相談は信頼できる不動産仲介会社へ

不動産を売却することによりかかる税金で、もっとも大きな金額となりやすい項目は譲渡所得税です。所得税には復興特別所得税の加算や、地方税の住民税も課税されます。

ただし、譲渡所得税には特別控除や軽減税率などの特例もあり、課税がされない場合や低く抑えられるケースもあります。不動産売却の計画が具体化した時点で、税金以外の費用も含め確認することが大切です。

また、特別控除などの適用条件は多岐にわたるため、理解するには十分な知識も必要です。さらに、税金の試算をするにも難しい面があります。

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この記事を監修した専門家

宮川 真一

税理士 宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、コンサルティング、税務対応を行っています。
保有資格:税理士、CFP®

掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。

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