お住み替えコラム

2024.12.13

不動産売却後の確定申告のやり方は?流れや特例をわかりやすく解説

コラムカテゴリ:
住み替えのノウハウ特集
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不動産の売却を検討しており、自身に確定申告が必要なのか、またどのように確定申告をすればよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
売却した金額が取得したときの費用を上回る場合は、確定申告が必要です。また、税金を軽減できる特例を利用する際にも、確定申告が必要となります。
確定申告が必要であるにも関わらず申告を怠ると、脱税となり税務署から指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。
今回は、不動産売却時に確定申告が必要なケースや申告の方法、具体的な流れなどを解説します。税負担を軽減できる特例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 不動産を売却したら確定申告は必要?
  2. 不動産売却後に確定申告が必要なケース
  3. 不動産売却後に確定申告が不要なケース
  4. 確定申告の方法
  5. 不動産売却後の確定申告の手順
  6. 三菱地所の住まいリレーなら顧問税理士への無料税務相談ができる

不動産を売却したら確定申告は必要?

不動産を売却すると、確定申告が必要となることがあります。

まずは、確定申告に関する基本的な内容や手続きが必要となる方の要件から解説します。

確定申告とは

確定申告とは、1年間の所得を計算して納税額を申告する手続きです。会社員や公務員などの給与所得者は勤務先が税額の計算を行ってくれるため、給与所得以外の所得がない場合は、確定申告をしないことが一般的です。

しかし、不動産を売却して所得を得た場合は確定申告が必要です。土地や建物の譲渡所得に対する税金は他の所得と区分して計算する「分離課税」となっており、自分で税額を計算して申告しなければなりません。

不動産売却の確定申告で必要な書類

不動産を売却した際に譲渡益が発生した場合、確定申告が必要です。確定申告をするにあたって必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(第一表・第二表・第三表)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 売買契約書のコピー
  • 建物・土地の登記事項証明書

確定申告書と譲渡所得の内訳書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、税務署に足を運んで入手することも可能です。

売買契約書は、売却を依頼した不動産会社から渡されています。もし紛失してしまったら、不動産会社に問い合わせてみましょう。建物・土地の登記事項証明書は法務局で入手できます。

また、特例を受ける場合は別途で専用の書類を用意しなければなりません。適用したい特例によって必要書類は異なるため、国税庁のホームページや税務署の窓口で必要書類や入手方法を確認するとよいでしょう。

不動産売却後に確定申告が必要なケース

初めて不動産を売却する方は、確定申告が必要なケースと不要なケースの判断が難しく感じるかもしれません。

以下で、不動産売却の際に確定申告が必要なケースを解説します。

売却益が出た場合

売却益が出た場合、つまり不動産の購入費用や売却に伴って発生した費用の合計よりも、売却金額のほうが大きい場合は確定申告が必要です。「譲渡価格-(取得費+譲渡費用)」の計算式に当てはめ、値がプラスになる場合が該当します。

例えば、2,000万円で取得した不動産が4,000万円で売却でき、売却に伴って発生した費用が500万円の場合は1,500万円の売却益が発生します。この場合、確定申告が必要です。

なお、課税譲渡所得金額を求めたら、以下の税率に当てはめれば税額を計算できます。

長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える) 短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えない)
所得税・特別復興所得税 15.315% 30.63%
住民税 5% 9%
合計 20.315% 39.63%

平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付します。

例えば、課税譲渡所得が1,500万円で長期譲渡所得の税率が適用される場合、所得税・特別復興所得税・住民税をあわせて「1,500万円×20.315%=304万7,250円」が発生します。

実際に所得税・復興特別所得税・住民税を納付するのは不動産を売却した翌年になるため、計画的に納税資金を用意しましょう。

特例を利用する場合

不動産を売却するときには、税負担を軽減するための特例がいくつかあります。特例を利用する際には、特例の条件を満たしていることを証明する書類の提出が必要となるため、確定申告が必要です。

特例を利用できる要件を満たしていても、確定申告を行わないと適用を受けられないため、注意しましょう。

不動産売却時に利用できる可能性がある特例

不動産売却時に、利用できる可能性がある特例を解説します。特例を使用すれば税負担を抑えられるため、要件を確認しておきましょう。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、譲渡益から3,000万円を控除できる特例です。譲渡益が3,000万円までであれば、所得税や住民税が発生しません。

なお、特例を適用するための要件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  • 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

※ 住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

この特例を利用する際には、確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を添えて提出する必要があります。

ただし、別荘や投資用のマンション、一時的な目的で入居したと認められる家屋には特例が適用されない点に注意しましょう。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームを売ったときの軽減税率の特例とは、10年以上居住している不動産を売却したとき、本来よりも低い税率が適用される特例です。この特例は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と併用できます。

なお、特例を適用するための条件は以下のとおりです。

  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること※2
  • これらの家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること※2
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと。ただし、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができる
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと

※2 住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまること
・取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

この特例を利用できる場合、以下のように軽減された税率が適用されます。

課税長期譲渡所得金額 所得税と特別復興所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10.21% 4%
6,000万円超の部分 15.315% 5%

特例を利用する際には、確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」と、売却した居住用家屋や敷地の登記事項証明書を添付する必要があります。

登記事項証明書については、「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に不動産番号を記載すると添付を省略できます。

特定のマイホームを買い換えたときの特例

特定のマイホームを買い換えたときの特例とは、マイホームの買い換えにあたって売却益が出たとしても、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です。

例えば、3,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、6,000万円のマイホームに買い換えた場合で考えてみましょう。

本来であれば、古いマイホームを売却したときに2,000万円の譲渡益が発生し、納税の必要性が生じます。しかし、この特例の適用を受ければ買い換えたマイホームを将来売却するときまで課税を繰り延べられ、納税のタイミングを遅らせることができます。

なお、特例を適用するための条件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること※3
  • 売った年、その前年および前々年にマイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除く)またはマイホームを売ったときの軽減税率の特例もしくはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。また、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けないこと
  • 売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあるものであること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること
  • 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること
  • マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。また、買い換えたマイホームには、取得した時期により次の期限までに住むこと
    • 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで
    • 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで
  • 買い換えるマイホームが、建築後使用されたことのない住宅である場合において、令和6年1月1日以後に入居(または入居見込み)であるときには、特定居住用家屋に該当するもの以外のものであること
  • 買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または一定の耐震基準を満たすものであること
  • 買い換えるマイホームが、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

※3 住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまること
・取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

出典:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

特例の適用を受けるためには、マイホームの状況に応じて、以下の書類を確定申告書に添えて提出する必要があります。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類
  • 売った資産の登記事項証明書等で所有期間が10年を超えるものであることを明らかにするもの
  • 買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写しで、取得したことおよび買い換えた資産の面積を明らかにするもの
  • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの
  • 買い換えた資産が令和6年1月1日以後に入居する(または入居見込みの)建築後使用されたことのない住宅である場合、確認済証の写しまたは検査済証の写しなど
  • 買い換えた資産が中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであることを明らかにする書類、または耐震基準適合証明書など

出典:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

この特例に節税効果はなく、あくまでも税金の支払いを将来に繰り延べる効果しかない点に注意しましょう。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、住宅ローンのあるマイホームを売却したとき、売却額が住宅ローンの残高を下回っていると利用できる特例です。

売却損が発生した場合は、譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除できます。損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)できます。

特例を利用するための要件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること(貸付けを含む)※4
  • 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること
  • 災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)に売ること
  • 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
  • マイホームの譲渡価額が上記(4)の住宅ローンの残高を下回っていること

※4 住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまること
・取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

【必要書類】

  • 「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
  • 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)」
  • 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの
  • 「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書」(売買契約日の前日のもの)

出典:国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

売却損が発生し、なおかつ住宅ローンを完済できなかったときは利用するとよいでしょう。

なお、譲渡損失の損益通算限度額は、売買契約日の前日における住宅ローンの残高から売却価格を差し引いた残りの金額です。

例えば、不動産を売買する前日における住宅ローンの残債が3,000万円で、売却価格が1,500万円の場合、残債が1,500万円となります。このケースでは、損益通算できる限度額は1,500万円となります。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、マイホームを買い換える際に、古いマイホームの売却時に発生した損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除できる特例です。

特例を利用するための要件と必要書類は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること※5
  • 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること
  • 災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)に売ること
  • 譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること
  • 買換資産(新居宅)を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供することまたは供する見込みであること
  • 買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること

※5 住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまること
・取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以後3年に繰り越して繰越控除できます。不動産の売却損を他の所得と相殺して税負担を軽減できるため、売却損が出てしまったときは適用できないか確認しましょう。

不動産売却後に確定申告が不要なケース

不動産を売却する際に、すべてのケースで確定申告が必要とは限りません。確定申告が不要なケースに当てはまる場合は、確定申告の手続きが不要です。

以下で、確定申告が不要なケースを解説します。

譲渡損失が発生する場合

確定申告は利益(所得)を得たときに必要となる手続きなので、不動産売却時に譲渡損失が発生した(売却した金額よりも購入費用や諸費用のほうが大きい)ときは、行う必要がありません。

例えば、不動産を3,000万円で売却したとき、取得費と譲渡費用を合わせた金額が3,000万円を超える場合は確定申告が不要です。

ただし、売却損が発生したときでも「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けるためには確定申告が必要です。

譲渡損失が発生し特例も利用しない場合

譲渡損失が発生したときに、特例を利用する際には確定申告が必要です。

しかし、特例を利用しない場合または特例を利用するための条件を満たしていない場合は、確定申告を行う必要はありません。

確定申告の方法

確定申告にはいくつか方法があるため、自分に合った方法で手続きを進めましょう。

自分で行うか税理士に依頼するか、状況に応じてどの方法が適しているか考えてみてください。

税務署に足を運んで申告する

税務署に足を運んで確定申告をする方法があります。確定申告の時期は毎年2月16日~3月15日と決まっており、税務署で特設窓口が開設されているのが一般的です。

必要書類を用意したうえで足を運べば、税務署の職員に確定申告の手続きをサポートしてもらえるメリットがあります。ミスなく確定申告を行えるため、不安がある場合に有用な方法といえるでしょう。

ただし、確定申告の時期は税務署が非常に混雑しやすく、待ち時間が数時間にもおよぶことがあります。

書類を用意したうえで郵送する

確定申告に必要な書類を用意したうえで、郵送することも可能です。

確定申告書と譲渡所得の内訳書、特例に関する申請書は国税庁のホームページでダウンロードできます。ダウンロードして必要事項を記載し、売買契約書のコピーをはじめとした添付書類を用意すれば確定申告を行えます。

国税庁のホームページに記入例があるため、参考にしながら自分で作成できる方は郵送で手続きをするとよいでしょう。

ただし、基本的には自分で作成しなければならないため、ミスが発生してしまうリスクが考えられます。税務署へ電話で質問できるものの、手間がかかるうえに確定申告の時期は電話回線も混み合うため、なかなかつながらない可能性もあります。

e-Taxで申告する

e-Taxとは、インターネットを利用して電子的に確定申告を行えるシステムです。自宅にいながら、スマートフォンやパソコンなどで確定申告を行えるため便利です。

画面上でスムーズに確定申告書類を作成し、データの送信もインターネット上で行えるため、スムーズに確定申告を行えます。

なお、e-Taxを利用するためには、事前準備として利用者識別番号の取得や電子証明書の取得が必要となります。

事前準備で手間がかかるうえに、基本的に自分で申告書類を作成する必要がある点に注意しましょう。

税理士に依頼する

確定申告を税理士に依頼することも可能です。税理士は税金の専門家なので、ミスなく確定申告を済ませてくれるでしょう。

自力で確定申告を行える自信がなく、また税務署へ足を運ぶ手間や時間が惜しい場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。

不動産売却における確定申告は、売却価格だけでなく取得費用の計算や特例の利用可否など、専門的な知識が求められる場面が出てきます。初めて不動産を売却した方にとって、自力で確定申告するのはハードルが高いため、不安がある方は税理士に依頼するのがおすすめです。

依頼費用は税理士によって異なりますが、10万円程度が相場となります。事前に依頼費用を見積もっておくとよいでしょう。

不動産売却後の確定申告の手順

不動産売却に関する確定申告は手間がかかるため、スムーズに済ませるためには計画的に準備を進めておく必要があります。

以下で、不動産売却後に着手すべき確定申告の準備や手順を解説します。

必要書類を用意する

確定申告書をはじめ、譲渡所得の内訳書や売買契約書のコピーなどを用意する必要があります。特例を利用する場合はさらに必要書類が増えるため、事前に用意しておくとよいでしょう。

特に、売買契約書のコピーや取得費用・譲渡費用を証明するための書類は自分で用意する必要があります。紛失していると再発行の依頼が必要となるため、早い段階で探しておくとよいでしょう。

もし不動産の取得費が分からない場合、取得費が「売却額の5%」とされてしまいます。取得費が「売却額の5%」とされてしまうと、所得税や住民税の負担が重くなりやすいため、注意が必要です。

取得費や譲渡費用を計算する

売却益が発生するのか売却損が発生するのかは、取得費や譲渡費用を正確に把握しないと判断できません。確定申告が必要かどうかに関わってくるため、不動産の売却が完了したら計算しておきましょう。

なお、取得費・譲渡費用に含まれる支出は以下のとおりです。

【取得費】

  • 土地や建物を購入(贈与、相続または遺贈による取得も含む)したときに納めた登録免許税(登記費用も含む)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
  • 借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
  • 土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
  • 土地の取得に際して支払った土地の測量費
  • 所有権などを確保するために要した訴訟費用
  • 建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
  • 土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
  • 既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

【譲渡費用】

  • 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
  • 印紙税で売主が負担したもの
  • 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
  • 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
  • 既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
  • 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

取得費・譲渡費用に計上できるか判断に迷う支出がある場合は、税務署で確認しておくとよいでしょう。

特例を利用できるか確認する

売却益が出たときでも売却損が出たときでも、要件を満たせば特例を利用できます。特例を利用する際には確定申告が必要となるため、要件を確認したうえで確定申告の要否を判断するとよいでしょう。

利用できる特例があるか確認し、必要書類を用意しておくと確定申告の手続きがスムーズに進みます。特例の要件について判断に迷う場合は、税務署で確認するのがおすすめです。

譲渡所得税を計算する

売却金額から取得費や譲渡費用を差し引き、売却益が発生する場合は譲渡所得税が発生します。課税譲渡所得を求めて税率を乗じれば納付する税額を計算できるため、事前に把握しておくとよいでしょう。

所得税を納付するのは確定申告時(不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日)、住民税を納付するのは不動産を売却した翌年の6月以降となります。

売却益が発生する場合は納税資金を用意する必要があるため、事前にシミュレーションしておくと安心です。

確定申告書類を記入し提出する

確定申告書類を記入し、必要書類を一式用意できたら税務署へ提出します(e-Taxの場合は電子申告)。原則として毎年2月16日~3月15日までに、住所地管轄の税務署に提出する必要があるため、期限を過ぎないように注意しましょう。

納税するまたは還付を受ける

確定申告の結果、納税が必要になった場合は2月16日~3月15日に、キャッシュレス納付かコンビニエンスストアなどで納税する必要があります 。確定申告時に振替納税の手続きをすれば、指定口座から自動引き落としになるため、払い忘れが不安な方は振替納税を利用しましょう。

源泉徴収の状況や所得控除・税額控除の兼ね合いで、確定申告を通じて還付を受けられるケースもあります。還付を受ける場合は、3月以降に指定口座に入金されます。

三菱地所の住まいリレーなら顧問税理士への無料税務相談ができる

不動産を売却したとき、状況次第では確定申告を行う必要があります。期限内(不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日)に申告する必要があるため、忘れずに行いましょう。

確定申告は自分で行うことも可能ですが、自信がない場合は税理士に依頼することをおすすめします。申告に誤りがあると、必要以上に税金を納める事態になったり、税務署からの指摘を受けて追徴課税となったりするリスクがあるためです。

三菱地所の住まいリレーへ不動産売却についてご相談いただいたお客様で、税金で不安な点やお悩みがある場合、税理士による税務相談をご利用いただけます。お電話でのご相談は無料、ご売却やご相続に関する面談相談は初回無料となっています。

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この記事を監修した専門家

宮川 真一

税理士 宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、コンサルティング、税務対応を行っています。
保有資格:税理士、CFP®

掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。

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