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住まいリレーコラム
2026.01.13
マンション売却によって利益(譲渡所得)が発生する場合には、基本的に確定申告の手続きが必要です。特に、普段は勤務先での年末調整によって税金計算を行っている会社員でも、不動産売却による譲渡所得が発生した場合には、確定申告義務が生じるケースも多いため注意が必要です。
この記事では、マンション売却における確定申告が必要なケースと不要なケース、譲渡所得の計算方法、準備すべき書類や申告の流れ、そして適用できる税制上の特例について解説します。
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、原則として翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署へ申告・納税する手続きのことです。
通常、会社員などの「給与所得者」であれば、勤務先での年末調整によって税金計算が完了するため、確定申告手続きは必要ありません。しかし、マンション売却によって譲渡所得(利益)が発生した場合など、給与所得以外の所得が発生する場合には、勤務先での年末調整手続きとは別に、別途確定申告を行う必要があります。
具体的には、マンションを売却した際に、以下のようなケースに該当する場合、確定申告を行うこととなります。
マンションなどの不動産の売却については、一般的に大きな金額が動く取引であり、売却によって多額の譲渡所得が生じるケースも少なくありません。そのような場合には、譲渡所得に対して税金(譲渡所得税)が発生するため、確定申告が必要となります。
譲渡所得とは、マンションなどの資産を売却して得た利益のことで、「譲渡所得=収入金額ー(取得費+譲渡費用)」によって算出されます。
例えば、取得費が3,000万円のマンションを3,500万円で売却(譲渡費用200万円)した場合には、「3,500万円-(3,000万円+200万円)=300万円」が譲渡所得となります。
このようにマンションの売却による譲渡所得がプラスとなった場合には、譲渡所得に対して譲渡所得税(所得税や復興特別所得税、住民税)が課税されるため、申告期限までに税務署へ確定申告書を提出し、納税を行います。
ただし、給与所得者の場合、給与所得や退職所得以外の所得(譲渡所得など)の合計が20万円以下である場合には、所得税の確定申告は不要です。例えば、会社員がマンションを売却した場合に、譲渡所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
しかし、このような確定申告義務のルールは所得税特有のものであり、住民税には適用されません。そのため、譲渡所得が20万円以下で所得税の確定申告義務がない場合でも、譲渡所得がわずかでも発生している段階で、住民税の申告義務は生じるため注意が必要です。
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マイホーム(居住用財産)を売却した場合において、譲渡所得税の税負担が大き過ぎると、売却後の新居の購入や生活資金のやり繰りにも影響がおよびかねません。
税法上もそのような実態に配慮し、マイホームを売却した場合の譲渡所得に関しては、税負担を軽減できるようにさまざまな特例制度が設けられています。
マイホームを売却した場合における特例制度としては、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が代表的です。この特例は、マイホームの売却によって発生した譲渡所得から、最大で3,000万円を控除できるため、節税効果の高い制度です。
ただし、この特例は自動的に適用されるわけではないため、適用を受ける場合には、必要書類を添付した確定申告書を提出しなければなりません。申告手続きを怠ると、最悪の場合には特別控除を適用できず、税負担が大幅に増加するリスクも考えられます。特にこの特例を利用することで、譲渡所得税がゼロになる場合でも、確定申告は必要となるため注意しましょう。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用要件などについては、以下の国税庁ホームページをご確認ください。
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
また、「3,000万円の特別控除」に関する注意点や具体的な申告手続きの流れなどについては、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。
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なお、「3,000万円の特別控除」のほかにも、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を併用するケースが多いです。この特例を利用することで、譲渡所得に課される所得税や住民税の税率を軽減でき、譲渡所得税の負担を軽減できます。この特例制度についても、適用を受ける場合には、所定の書類を添えて確定申告を行うことが要件となります。
参考:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
譲渡所得が0円以下(損失)となった場合、原則として確定申告は不要です。しかし、売却によって損失が出た場合でも、あえて確定申告を行うことで税制上のメリットを受けられるケースがあります。
マイホーム売却などの一定の要件を満たす場合、その損失を他の所得から差し引く「損益通算」や、控除しきれなかった損失を翌年以降に繰り越せる「繰越控除」という特例が利用できます。これらを適用すれば、払いすぎた税金が還付される可能性があるため、損失が出た場合でも要件を確認し、申告を検討することをおすすめします。
なお、各特例制度の概要や適用要件に関しては、以下の国税庁ホームページをご参照ください。
参考:国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
確定申告は、売却した年の翌年2月16日〜3月15日の間に行う必要があります。この申告期限内に、確定申告書と添付書類を所轄税務署へ提出します。
先述した譲渡所得における特例制度を利用する場合には、別途追加で用意すべき書類もあるため、必要書類を正しく理解し、スケジュールに余裕をもって準備することが重要です。
確定申告にあたって譲渡所得の計算を行うためには、原則として以下の書類を準備しなければなりません。
なお、これらの書類については、確定申告書とともに税務署へ提出するものばかりでなく、提出は不要であるものの、譲渡所得を適切に計算するために用意すべき資料もあるため注意が必要です。
売買契約書とは、マンションなどの不動産の売買を行う際に作成する契約書のことで、一般的にはマンションを売買するときに、不動産会社から入手します。
確定申告の際には、「取得時」と「売却時」の双方の売買契約書を用意しなければなりません。
まず、売却時の売買契約書については、譲渡所得の計算における収入金額や譲渡日(引渡し日)、売却先などの情報を確認するための重要書類です。
それに対し、購入時の売買契約書は、マンションを購入したときの価額や取得日が記載されているため、譲渡所得の計算における「取得費」を算出するために必要です。
なお、購入時の契約書を紛失した場合など、売却したマンションの取得費が不明の場合には、譲渡価額の5%を「概算取得費」として計算することが可能です。ただし、その場合には取得費が僅少となり、譲渡所得税の負担が重くなる可能性が高いため、購入時の売買契約書はきちんと保管しましょう。
確定申告書を提出する際には、原則として「売却時」と「購入時」の売買契約書の写しを添付する義務はありません。ただし、「提出をお願いしている書類」の1つとして売買契約書が挙げられているため、差し支えなければ申告書に添付することをおすすめします。
また、税務上の特例制度を適用する場合には、これらの売買契約書の添付が必須となるケースもあるため、各制度の必要書類をきちんとチェックしましょう。
譲渡所得の計算において、売却した不動産の「取得費」が大きいほど譲渡益を圧縮できるため、正確に計算することが大切です。
取得費には、マンション購入時の本体価額だけでなく、購入時の諸経費の一部も含まれるため、以下の支出の有無を確認したうえで、支払いの根拠となる領収書や請求書を支払先から入手し、きちんと保管しておきましょう。
なお、取得費に関する上記の領収書などの写しについても、先述した売買契約書と同様、確定申告書への添付義務はないものの、「提出をお願いしている書類」に含まれています。そのため、取得費の計算根拠として、できる限り申告書に添付することをおすすめします。
マンションの売却時に直接要した費用については、「譲渡費用」として譲渡所得の計算上控除できるため、支出の内容や金額を証明できる領収書などの書類を用意しましょう。
譲渡費用の具体例としては、以下の支出が挙げられます。
なお、売却したマンションの住宅ローンの残債、抵当権抹消登記にともなって支払った登録免許税や司法書士報酬などは、原則として譲渡費用に含まれません。
また、定期的に発生する固定資産税や管理費、修繕積立金、引越し費用なども譲渡費用には該当しないため、注意が必要です。
譲渡費用の計算根拠となる請求書や領収書などの資料についても、支払先から受領したうえで、売買契約書や取得費を証明する書類と同様に、確定申告書へ添付するとよいでしょう。
所轄税務署へ提出する書類に関しては、主に以下の書類を用意します。これらの書類はそれぞれの税務署の窓口や国税庁ホームページからダウンロードすることも可能です。
税務上の特例制度を適用する場合には、上記の書類のほかに、計算書や明細書を作成して添付しなければならないケースもあるため、各特例制度を適用するうえでの必要な手続きを必ず確認しましょう。
なお、税務署へ確定申告書を提出する場合には、マイナンバーカードや運転免許証などの「本人確認書類」も用意しなければなりません。
特に直接税務署に出向いて確定申告書を提出する場合には、本人確認書類の提示が必要となるため、本人確認書類を忘れずに持参しましょう。e-Taxで電子申告を行う場合にも、マイナンバーカードを利用することによって、よりスピーディーに申告書を提出することが可能です。
自宅マンションを売却し、確定申告を行う場合には、上記の書類以外にも、追加の書類が必要となるケースがあります。
特に譲渡所得における特例制度を適用する場合には、制度ごとに定められた書類を用意し、確定申告書と合わせて提出しなければならないため、添付漏れがないように注意しましょう。
自宅マンションの売却益に対して特例制度を適用する場合、制度ごとに定められた書類の添付が必要です。
例えば「3,000万円の特別控除」を受けるには、マイホームであったことの証明として売却日から2ヵ月以上経過した「住民票の写し」が必須となり、現住所と異なる場合は「戸籍の附票」も求められます。
また、「軽減税率の特例」では所有期間を証明するための「登記事項証明書」が、「買い換え特例」では売却物件と新居双方の「売買契約書の写し」や「登記事項証明書」などが必要となります。適用したい特例に合わせて、不備がないよう準備しましょう。
自宅マンションの売却で損失が発生し、損益通算や繰越控除の特例を受ける場合は、所定の「計算明細書」の作成に加え、要件を証明する書類が必要です。
共通して売却した自宅の「登記事項証明書」や「売買契約書の写し」が必須となるほか、買い換えの特例なら「新居の登記事項証明書・契約書・住宅ローン残高証明書」が、買い換えずローンが残る場合の特例なら「売却した自宅の住宅ローン残高証明書(売買契約前日のもの)」などがそれぞれ求められます。適用する特例に合わせて不足なく揃えましょう。
自宅マンションを売却し、新たな居宅を購入・建築する場合には、その新居について住宅ローン控除を適用する場合も少なくありません。
確定申告において住宅ローン控除を適用する場合には、以下のような書類を添付する必要があります。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や「住宅の工事請負契約書」については、それぞれ税務署やハウスメーカーなどから入手しましょう。
また、認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅などに該当する場合には、都道府県・市区町村による「長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し」や、建築士などが発行する「住宅省エネルギー性能証明書」なども添付する必要があります。
ケース別の具体的な必要書類については、以下の国税庁ホームページからご確認ください。
確定申告書を提出する場合には、マンションを売却した年の翌年2月16日〜3月15日までの間に行います。具体的には、以下の5つの手順に沿って計画的に進めましょう。
①必要書類を準備する
譲渡所得の計算に必要な売買契約書や請求書、領収書などを用意します。
なお、3,000万円の特別控除や軽減税率など、マイホームに関する特例制度を適用する場合には、それぞれの適用要件や必要書類を確認し、スケジュールに余裕をもって準備を進めましょう。
②譲渡所得税を計算する
準備した売買契約書や領収書などに基づいて、譲渡所得の収入金額や取得費、譲渡費用をそれぞれ算出し、譲渡所得の金額を計算します。
譲渡所得の計算が完了したら、所有期間に応じた所得税率を乗じることで、所得税額を算出します。
③確定申告書類を作成する
計算した譲渡所得に基づいて「譲渡所得の内訳書」を作成したあと、「申告書第三表(分離課税用)」および「確定申告書第一表・第二表」にそれぞれ記入します。
特例を適用する場合には、計算書や明細書などの書類を別途作成すべきケースもあるため、作成漏れがないように注意しましょう。
④申告書を提出する
確定申告書や添付書類に不備や不足がないかを十分に確認し、申告期限内に所轄税務署へ提出します。
申告書の提出については、税務署窓口へ直接持参する方法のほか、郵送やe-Tax(電子申告)で提出することも可能です。
⑤納税する
確定申告によって所得税の納税が発生する場合には、上記の申告期限までに納付も済ませる必要があります。
納税方法については、税務署や金融機関の窓口での現金納付以外にも、インターネットバンキングやクレジットカード、口座振替、コンビニエンスストアでの納付、スマートフォンアプリによる納付などから選択できます。
マンション売却後に確定申告を怠ると、税金面で大きなリスクを負うことになります。
もし利益(譲渡所得)が出ていた場合、本来納めるべき税額に加えて「追徴課税」や、納付が遅れるほど増額される「延滞税」、さらには「無申告加算税」などのペナルティが課される恐れがあります。
また、申告期限を守らないことで、「3,000万円の特別控除」といった税負担を大幅に軽減できる特例措置の適用を受ける権利まで失ってしまいかねません。
無申告の状態が続くと、税務署からのお尋ねや税務調査に発展し、対応の手間や心理的な負担も増大するため、必ず売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に申告手続きを行うことが重要です。
マンションの売却によって利益(譲渡所得)が発生する場合には、原則として売却年の翌年2月16日〜3月15日までの間に確定申告書を提出し、所得税の納税を行う必要があります。
また、マイホームを売却した場合には、税負担を軽減するためのさまざまな特例制度が設けられています。譲渡所得の計算だけでなく、特例制度ごとに必要な書類は異なるため、あらかじめ用意すべき書類をチェックし、スケジュールに余裕をもって準備を進めることが重要です。
確定申告の手続きや税制上の判断に不安がある場合は、税理士や所轄税務署に相談し、適切な申告を行いましょう。
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