不動産用語集
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お住み替えコラム
2022.07.19
ライフステージの変化や昨今の新型コロナウイルスによる住環境についての考え方の変化などにより、マンションから戸建てに住み替えることを検討している方が増えています。この場合、今のマンション売却と住み替え先の戸建て住宅の購入を同時に行うことになりますが、売却と購入のタイミングが離れるほど、出費が増えることにもなります。そこで今回は、上手に住み替えるために知っておきたいポイントについて解説します。
マンションから戸建てに住み替えることにはメリットと注意点がそれぞれあります。住み替える目的や理由によって、それらは変わってきますが、どんなものがあるでしょうか。
まず、マンションから戸建てに住み替えることで得られるメリットについて解説します。
地域にもよりますが、マンションの場合、家族4人のファミリータイプでは70~75㎡前後がスタンダードになります。人によっては狭いと感じる方もいるかもしれませんが、どこかで妥協点を見つけなければ価格がつり上がってしまいます。しかし、親の介護が必要になったり、親戚が同居することになったり、テレワークをするようになったりすると、さらに広さが必要になることがあります。
一方、戸建ての場合、4人家族が快適に過ごすために必要な広さは一般的に125㎡前後とされていて、そうした広さの戸建てはたくさん不動産市場に供給されています。戸建てに住み替えると居住空間が広がり、余裕ある生活ができるでしょう。
マンションの場合は、あらかじめ各部屋の用途を想定して設計されている場合が多く、その設計コンセプトのまま、リビングはリビング、寝室は寝室として利用される場合がほとんどです。
一方、戸建ての場合は、各居室の用途の幅が広いのはもちろん、リフォーム・リノベーションについてもマンションのように管理規約・使用細則といった厳しい規制がないため、ライフスタイルに合わせた自由度の高い暮らしを実現できることは大きなメリットです。
マンションから戸建てに住み替えた場合、土地をさまざまな用途で自由に使えるメリットは大きいでしょう。一部のマンションにも1階の部屋であれば専用庭がついているケースもありますが、そもそも数は少なく、管理規約で使用用途が限られています。戸建てであれば、敷地内で子供を遊ばせたり家庭菜園ができるくらいの広い庭や、駐車場として使えるスペースが備わった物件もあります。キャンプ用品を置いたり、大型犬を飼ったり、サーフィン板や大型バイクを置くなど、マンション住まいでは制限されていたことが可能となり、生活に楽しみが広がります。
次に、マンションから戸建てに住み替える際の注意点について解説します。
一般的にマンションよりも戸建ての方が近所付き合いなど近隣住民とのやり取りが一対一になるため、人間関係が濃密になる傾向にあります。そのため、隣人トラブルの種になりそうなことは事前に売主にヒアリングしておくと安心です。
また、マンションでは階下や隣の部屋に響かないように足音や大きな音には注意するものですが、戸建てであればそうした制約から解放されます。そのため、つい楽器の音や子供の泣き声などに対する感度が鈍くなってしまい、これが原因で近隣とのトラブルになってしまうこともあります。逆に隣人の騒音が原因でストレスを抱えることもあるかもしれません。住み替えの前に、過去の隣人トラブルの有無について、売主にヒアリングをしておくとよいでしょう。
戸建ての場合は、駅近マンションなどと比較すると、駅からバスや自転車を利用しなければならないケースも少なくありません。このため、通学や通勤に不便を感じる人もいることでしょう。また、閑静な住宅地で、商業施設が建てられるエリアでない場合、スーパーやホームセンター、レストランなど生活に必要な店が近くにないこともあります。静かな住環境を優先して立地を選択する場合は、その点にも注意が必要です。
一般的に戸建ては木造であることが多く、鉄筋コンクリート造のマンションよりも資産価値の下落が早いとされます。また、前述のように駅から離れた立地であったり、マンションと比べてプランの自由度が高いため、間取りなどに建築主の意思が濃く反映されている個性の強い物件などは、売れにくいケースもあることを知っておきましょう。なお、戸建てでも長期優良住宅や住宅性能評価付き住宅など、性能についての保証などの付加価値がついている場合は、中古住宅購入者に安心感を与えることができるため、一般の物件よりも需要が見込めます。
上記でマンションから戸建てへ住み替える際のメリットと注意点をご紹介しましたが、さらに戸建てならではのチェックポイントについてもご紹介します。
売却されている戸建ての中には「旗竿地」と呼ばれる道路から奥まった土地にあるものがあります。旗竿地にある物件は価格が安く、人通りが少ないために静かに暮らすことができるというメリットがあります。しかし、接道部分が2メートル未満の場合は法律で「再建築不可」となっています。自主的な建て替えは勿論のこと、家が火事や天災で滅失した場合でも、その土地には原則、家を再建築することができません。購入する場合は、こうした規定についても理解しておくとよいでしょう。
子どもや高齢者がいる家庭においては、とくに交通事故のリスクが少ないエリアを選ぶことが大切です。交通量の多い道路は、交通事故が起きやすく危険度が高くなります。
戸建ての場合はマンションと異なり、敷地からすぐに公道にでることが多いため、より注意が必要です。
次に、戸建ての種類別にどんなメリットや注意点があるのか見ていきましょう。戸建ての新築物件は、完成している物件(建売住宅)と探した土地または自分が持っている土地に自由に設計して建てる物件(注文住宅)の2つのパターンがあります。戸建ての中古物件は、所有者が不動産業者である場合と、一般のお客様が所有しているものを不動産会社が仲介する場合があります。それぞれみていきましょう。
建売住宅とは、すでに完成している新築住宅のことで、土地と建物をセットで販売します。中には建物を建てる前から販売しているものもあります。
同じく土地と建物をセットで販売する分譲住宅との違いは「個別に販売されるか、分譲地にまとめて販売されるか」です。個別に販売される場合は建売住宅、分譲地にまとめて販売される場合は分譲住宅といいます。
前述のように、建売住宅は自分の好みにあわせて設計されたオーダーメイドの注文住宅と比較すると、安い価格で購入することができます。土地と建物がセットで販売されることから購入金額が明確なため、住宅ローンの利用もしやすいといえるでしょう。
また、建売住宅はすでに完成している実物か、モデルハウス(オープンハウス)を見学し、実際の間取りや設備を確認して、家族のライフスタイルや好みにマッチしているか確認したうえで購入を検討することができます。
さらに、購入契約を済ませると、すぐに入居できることが建売住宅を購入する最大のメリットといえるでしょう。
一方、建売住宅の注意点としては、好みに合う物件に出会えるまで時間がかかることがあることでしょう。その時々のトレンドを取り入れた万人受けするデザインであることが多いですが、個性を求める人には物足りないかもしれません。
また、間取りなどを変更する必要がある場合、リフォーム費用は実費となります。購入後はすぐに入居できることが建売住宅のメリットの一つですが、完成済の物件をリフォームすれば、その工事期間分、入居時期が遅くなります。
注文住宅とは、探した土地または自分が持っている土地に自由に設計して建てる住宅のことです。使用する木材や断熱材、家の色やデザイン、間取りから使う設備関係まですべてを自分で決める「フルオーダー」と、基本的な仕様は建築会社が提案し、変えたい部分だけを指定する「セミオーダー」の2種類があります。
フルオーダーだとあまりにも手間がかかり、資金も高額となるため、最近では注文住宅というとセミオーダーを指すことが多くなっています。
注文住宅の最大のメリットは自分の理想の家(好みに合わせた家)を建てることができる点です。すでに完成している建売住宅は家族の好みやライフスタイルをすべて反映させることは難しいかもしれませんが、間取りや外観、設備などすべての面で、予算の範囲内で理想を貫くことができます。一方、こだわりのない部分にコストをかけないようにすれば、予算を調整することも可能です。
また、すでに完成している建売住宅と違い、建築の過程を買主がしっかり自分の目で確認できることも注文住宅ならではのメリットと言えるでしょう。
土地探しから始める場合、入居までに時間と手間がかかることは注意点です。入居時期を確定することができないため、売却と支払いのタイミングを合わせることは非常に難しく、今住んでいる住宅を先に売却する場合、仮住まいの期間が長くなります。
仮住まいについてはこちらで解説しています。
中古戸建て物件の購入は、一般の方が現在住んでいる(所有している)家が売り出されている場合に、不動産会社に仲介してもらい購入するか、不動産会社が買い取って再販する家を購入するかに分かれます。
不動産会社が売主となって販売している場合には、リフォームされているケースが多いのも特徴です。
戸建ての中古物件を購入する最大のメリットは、「注文住宅」、「建売住宅」に比べて価格が安く、市場での供給戸数が多いため立地が希望に合うものが見つかりやすいということでしょう。築年数が経っている物件でもリフォームやリノベーションをすれば新築並みに快適になることもありますが、それが建売住宅よりも安価な金額で実現できる可能性があります。戸建ての購入時期と住んでいるマンションの売却時期を調整すれば、同日決済やタイミングを近づけることも可能でしょう。
立地がいいと資産性が評価される可能性が高く、売却もしやすいということにつながります。今後、再度住み替えが必要となった場合に建売住宅や注文住宅よりも有利になる可能性があります。
注意点としては、中古物件は経年劣化でいろいろと不具合が潜んでいる可能性が高いことです。将来的に修繕費用が多くかかってしまうことは考慮しておく必要があります。購入するときは売主との間で瑕疵担保責任について明確にしておきましょう。また、1981年6月1日以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で建築されています。耐震工事が必要な場合や、ローンの融資条件に制限が付く場合もあるので注意が必要です。
掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。
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