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住まいリレーコラム
2025.12.26
親の高齢化や相続を機に、実家をどうするか悩んでいらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。「管理が大変」「固定資産税の負担が大きい」などと感じつつ、いざ売却となるとその方法がわからないという方も多いと思います。
実家の売却は、親の生前か相続後かで手続きや税金のメリットが変わるため、状況に合ったタイミングを見極めることが重要です。この記事では、実家を売却するタイミングごとのメリットや注意点、具体的な流れを解説します。
空き家になった実家を放置しておくと、金銭面や管理面でさまざまなリスクが生じます。まずは実家を放置した場合に起こりうる4つのリスクを解説します。
たとえ誰も住んでいない状態でも、実家の維持費はかかります。特に、固定資産税や都市計画税の納税義務からは逃れられません。庭の草木をメンテナンスする費用や掃除を行うための電気代や水道代もかかります。
また、火災や自然災害に備えるための火災保険料も必要です。家によっては火災保険料が年間数十万円にのぼる場合もあり、放置する期間が長引くほど経済的な負担が大きくなります。
空き家は老朽化が進みやすく、放置しておくと資産価値がどんどん下がります。人が住んでいない家は換気が行われないため湿気がこもりやすく、カビやシロアリが発生しやすくなったり、壁紙が剥がれたり、柱が腐食したりと、想像以上に建物の傷みが早く進みます。
いざ売却しようと考えたときには、すでに建物の状態が悪化しており、想定より資産価値が下がっているケースも考えられます。
管理されていない空き家は、行政から特定空き家に指定される場合があります。
特定空き家とは、倒壊の危険性や衛生上・景観上の問題があり、周辺環境に悪影響を及ぼすと自治体が判断した空き家のことです。自治体からの改善の要求や指導に従わず特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税額が最大6倍になる恐れがあります。さらに、行政代執行によって強制的に解体され、その費用が所有者に請求されることも考えられます。
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実家を放置しておくと、相続トラブルのもとになる恐れがあります。特に、相続財産が実家だけというケースでよく起こります。
相続人が複数いる場合は、誰が実家を継ぐのか、売却して現金で分けるのかなどで意見がまとまらず、対立が生まれます。
また、誰も住まない実家の管理責任や固定資産税の支払いを誰が負担するのかで揉めることも考えられるでしょう。親が元気なうちに実家をどう処分するのかを話し合っておかなければ、兄弟姉妹の関係に亀裂が入る原因になってしまう場合があるため注意が必要です。
実家を放置するリスクを解説しましたが、では売却するならいつがよいのでしょうか。ここでは、生前と相続後の2つのタイミングに分けてそれぞれの特徴を解説します。
相続時のトラブルを回避したい、税金の優遇制度を存分に活用したいと考える方には、生前に売却するのがおすすめです。
親が元気なうちに実家を売却するメリットは、所有者である親の意思を直接確認しながらスムーズに手続きを進められることです。売却で得た資金の使い道についても親自身が決められるため、将来の介護費用や新居への資金として活用できます。
また、売却によって実家が現金化されるため、のちの相続で「不動産をどう分けるか」というトラブルを未然に防げます。さらに、親が住んでいる家を売る場合には「居住用財産の3,000万円特別控除」が使える可能性もあります。
親が亡くなったあとに実家を売却する場合は相続人全員の合意が必要となるため、話し合いに時間がかかる可能性があります。相続人全員が合意したあとも、法務局で不動産の名義を親から相続人へ変更する相続登記の手続きが必要なため、生前に売却するよりも手間がかかります。
ただし、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「相続空き家の3,000万円特別控除」や「小規模宅地等の特例」は相続後でなければ利用できません。手続きの手間や時間を考慮しても上記の優遇制度を活用したいと考えるのであれば、相続後に売却するのがおすすめです。
実家の売却を進める際には、そもそも売却の手続きは誰ができるのかを正しく理解しておく必要があります。ここでは、実家を売却できる方を3つのケースに分けて解説します。
家を売却できるのは、原則的に不動産の所有者本人です。登記簿上の所有者名義が親になっている場合、売却の権利は親にあります。そのため、子どもが売却を望んでも、所有者である親の同意なしには売却できません。
一番スムーズなのは、所有者である親自身が不動産会社とやり取りをして契約を進める方法です。売買契約の締結や、宅地建物取引士から買主様への重要事項説明も、親本人が対応するのが最も楽な方法です。
相続トラブルを防ぐためにも、親に売却の意思があるかを明確にしたうえで、売却への同意を確認しておきましょう。
親の代理人として子どもが実家の売却手続きを進めることも可能です。親が高齢で不動産会社とのやり取りが負担になる場合や、遠方に住んでいて手続きが難しい場合、親が作成した委任状があれば、子どもが代理で売買契約できます。
ただし、代理人である子どもがすべての判断を独断で行えるわけではありません。委任状には代理人が行える権限が記載されているため、あらかじめ代理手続きの範囲や制限を十分に確認しておきましょう。
また、親が認知症などで売却の意思を自分で判断できない(意思能力が不十分な)状態だと、委任状は無効となります。その場合は、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任しなければなりません。
受贈者が実家を売却する方法もあります。受贈者とは、贈与によって財産を受け取った方のことです。親から子へ生前に実家を贈与し、所有者の名義を子どもに移せば、新たな所有者である子ども(受贈者)の判断で売却できます。
ただし、実家の名義が子どもに移ったからといって、親の合意なしに売却すると、家族間でトラブルが発生する恐れがあります。円満に実家を売却するためにも、売却前にあらかじめ親の意思を確認しておくことが大切です。
また、贈与の際には贈与税がかかる可能性がある点にも注意しましょう。ケースによっては数百万円の贈与税がかかることも考えられます。売却前提の贈与の場合は、事前に税理士などの専門家に相談しましょう。
解説したとおり、実家を売却するタイミングには生前と相続後の2つがありますが、一概に「こちらがよい」とは断言できません。家庭の状況によってベストなタイミングは異なるため、ポイントを押さえながら総合的に考える必要があります。
まず確認すべきは、親の判断能力がはっきりしているかです。親が元気で自分の意思をしっかりと伝えられる状態であれば、生前にスムーズに売却できます。逆に、認知症などで判断能力が低下している場合、子どもが代理で売却するためには成年後見制度を利用する必要があります。成年後見制度の手続きには手間や時間がかかるため、相続後に売却するほうがスムーズに進むことも考えられるでしょう。
相続人同士の関係性も判断ポイントです。もし相続人同士が意見がまとまりにくい関係性であれば、親の意思で売却を進められる生前売却がおすすめです。実家を売却して現金化しておくことで、相続時の「どう分けるか」という問題を円満に解決できるでしょう。
一方、相続人同士の関係性が良好な場合は、実家の活用方法をじっくりと考えられる相続後の売却でも問題ありません。
「何のために売却するのか」という資金の使い道もタイミングを左右します。例えば、親が介護施設に入居するためのまとまった資金が必要な場合は、実家を現金化できる生前売却がおすすめです。
一方、特に差し迫って現金を用意する必要がなく、資産として実家を子どもたちに残したいという親の意向があれば、急いで売却する必要はありません。
実家の資産価値や、ほかにどれくらいの相続財産があるかも考慮しましょう。相続では、不動産の評価額は実際の市場価格より低くなるのが一般的です。そのため、不動産のまま相続したほうが現金で相続するよりも相続税を抑えられる可能性があります。
実家以外に預貯金などの金融資産が多い場合は、あえて実家を売らずに相続し、相続税の負担を軽減することも検討してみてください。
税金の特例をどのタイミングで使うかも判断ポイントです。例えば、親が住んでいる家を売る場合、生前の売却なら譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」が使える可能性があります。
一方、相続後に売却する場合は、一定の要件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できます。税理士や不動産会社に相談し、どちらがより高い節税効果があるのをシミュレーションしてみましょう。
ここからは、実家を生前に売却する際のメリットと注意点をご紹介します。
親が元気なうちに売却の意思を確認できるのが生前売却のメリットです。所有者である親の判断で売却を進められるため、将来誰が実家を相続するのか、どうやって管理するのか、などといった相続時の争いを未然に防げます。
親の意思のもとで実家を売却し現金化しておけば、相続人は公平に財産を分けられます。家族全員が納得したうえで手続きを進められるため、円満に資産を整理できるでしょう。
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実家に誰も住んでいなくても、所有していれば、固定資産税や都市計画税、火災保険料などの支払いは続きます。また、建物の老朽化を防ぐための定期的な修繕や庭の手入れといった管理費も発生するため、長期間放置すればするほど経済的に大きな負担となるでしょう。
生前に売却すれば、このような金銭的負担や管理の手間から解放されます。
親が高齢になると、介護施設の入居費などさまざまな費用がかかることが予想されますが、売却によって得た現金を親の介護費に活用できる点も生前に売却するメリットの1つです。また、年金だけでは不安な場合の老後の生活資金としても役立ちます。
不動産のままではすぐには現金化できませんが、実家を売却して手元に資金を確保しておけば、急な出費にも対応しやすくなります。
親の生前に売却すると、相続後にしか使えない税金の特例が使えません。「相続空き家の3,000万円特別控除」は売却で得た譲渡所得(利益)から最大3,000万円が控除される特例ですが、この制度は相続後の売却にしか適用されないのです。
このように、生前の売却には適用されない特例もあるため、生前・相続後のどちらのタイミングで売却するのが税金面で有利かは、税理士や不動産会社などの専門家へ相談したうえで慎重に判断しましょう。
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親の生前に売却を検討する場合は、相続税にも気を配りましょう。不動産の相続税評価額は一般的に実際の売却価格よりも低く評価される傾向にあり、例えば時価3,000万円の不動産でも、相続税評価額は2,000万円程度になる場合があります。
そのため、生前に売却して現金化してしまうと、相続財産の評価額が不動産のままよりも高くなり、その分相続税の負担が増えてしまう可能性ます。
続いて、相続後に実家を売却するメリットと注意点をご紹介します。
相続税の評価額を抑えられることは、相続後に売却する第一のメリットといえます。
相続税を計算する際、現金は額面そのものが評価額になりますが、不動産は実際の売却価格よりも低い路線価や固定資産税評価額をもとに評価されます。
相続時の土地の評価額は、一般的に実際の売却価格の8割程度です。そのため、生前に売却して現金で相続するよりも不動産のまま相続したほうが相続財産の総額が低くなり、結果として相続税の負担を軽減できる可能性があるのです。
相続後の売却にのみ利用できる税制優遇がある点もメリットです。
相続後の税制優遇の代表的なものに、「小規模宅地等の特例」があります。これは、一定の条件を満たす土地を相続した場合、その土地の評価額を最大80%減額できる制度です。また、相続した不動産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を譲渡所得の計算上、取得費に加算できる「取得費加算の特例」もあります。
上記の特例をうまく活用すれば、相続税や売却時の譲渡所得税を抑えられるため、相続後の手取り金額を増やせます。
また、売却で得た譲渡所得(利益)から最大3,000万円が控除される「相続空き家の3,000万円特別控除」も、相続後の売却にのみ使えます。
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相続後に実家を売却する際は、相続人全員の合意が必要です。相続した遺産をどのように分けるかを話し合う遺産分割協議では、誰が実家を相続するのか、または売却してお金で分割するのかについて、相続人全員で話し合い、合意を得なければなりません。
遺産分割協議で1人でも反対する方がいると、売却手続きは進められません。その場合、話し合いが長引き、手続きが複雑になる可能性があります。
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相続後に実家を売却するためには、まず法務局で不動産の相続登記を済ませる必要があります。2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続の開始を知った日から3年以内に申請しなければならなくなりました。正当な理由なく相続登記を怠るとペナルティが科される恐れがあります。
相続登記には戸籍謄本をはじめ多くの書類が必要となるほか、遺言書がない場合は遺産分割協議で全員の合意を得る必要があるため、手続きに手間と時間がかかります。
専門家である司法書士に相続登記を依頼する方法もありますが、その場合には依頼費がかかる点も理解しておきましょう。
相続してから売却が完了するまでの間、空き家の管理や維持費がかかり続ける点にも注意が必要です。空き家であっても固定資産税や火災保険料は毎年かかります。定期的な換気や庭の草むしりなど、建物の維持管理も必要です。
管理を怠って家が傷んだり、庭が荒れたりすると、資産価値が下がり、売却価格に影響します。また、老朽化した家は不審火や害虫が発生する恐れもあり、近隣住民に迷惑をかけることも考えられます。さらに、遠望の実家の場合は、管理のために何度も足を運ぶ際の時間的・金銭的な負担も大きくなるでしょう。
実家を売却する流れは、親の生前と相続後のどちらのタイミングで進めるかによって異なります。ここからは、それぞれのタイミングごとの売却の流れをご紹介します。
親が元気なうちに実家を売却する場合は、所有者である親の意思確認が重要です。親子で協力しながら以下のステップで売却を進めていきましょう。
①親の意思を確認する
最初に、所有者である親の「売却したい」という明確な意思を確認します。子どもが主導で話を進めても、親の同意がなければ売却はできません。将来どう暮らしたいか、売却した資金をどう使うかなど、十分に話し合いましょう。
②誰が主体となって売却を進めるのかを決める
次に、誰が主体となって売却手続きを進めるかを決めます。本来は親本人が不動産会社とのやり取りを行うのが基本です。
しかし、親が高齢で手続きが負担な場合は、子どもが代理人として動くことも検討しましょう。その際は、親に委任状を作成してもらう必要があります。
③不動産会社に査定を依頼する
売却の意思が固まったら、不動産会社に査定を依頼し、実家がいくらで売れそうかを把握します。査定結果が提示されたら、その根拠を確認しつつ、信頼できる担当者かを判断することが重要です。売却を依頼する不動産会社が決まれば、不動産会社と媒介契約を締結します。
④売却活動を行い、購入希望者と売買契約を締結する
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動の開始です。不動産会社が物件の広告掲載や内覧対応などを行い、購入希望者を見つけます。
購入希望者が見つかり、価格などの条件がまとまれば、売買契約を締結します。契約時には宅地建物取引士から重要事項説明を受け、契約書に署名・捺印をします。契約書には聞き慣れない言葉が多いため、内容で不明な点があれば積極的に質問しましょう。
⑤実家を引き渡し、登記手続きを行う
売買契約後、準備が整ったら、実家の引き渡しと登記手続きが行われます。登記手続きは司法書士に依頼して行うのが一般的です。不動産会社や司法書士と連携し、万全な状態で手続きを行いましょう。
⑥売買代金を受領する
すべての手続きが完了すると、売却で得た代金が親の口座に振り込まれます。これで売却の一連の流れは終了です。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年に確定申告が必要になることを覚えておきましょう。
親が亡くなり実家を相続したあとに売却する場合は、相続に関する手続きが加わるなど、生前の売却とは異なる手続きが必要です。間違えないように順を追って進めましょう。
①相続人全員の合意を形成する
遺言書がない場合、遺産分割協議で法定相続人全員から「実家を売却する」という合意を得る必要があります。協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書に記し、相続人全員が署名・捺印します。
②相続登記を行う
遺産分割協議書が完成したら、実家の名義を亡くなった親から相続人へ変更する相続登記を行います。2024年4月から相続登記は義務化され、相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。相続登記が完了していない場合、所有権が親のままであるため、売却活動を始められません。
③どう売却するかを決める
相続登記が完了したら、実家をどのように売却するかを決めます。少しでも高く売却したい場合は、不動産会社に仲介を依頼して買主様を探す方法を選びましょう。すぐに現金化したい、内覧対応などの手間を省きたいという場合は、不動産会社に直接買い取ってもらうのも選択肢の1つです。
④不動産会社に査定を依頼して売却活動を始める
生前に売却するケースと同様、不動産会社に査定を依頼し、売却を依頼する不動産会社を決めます。媒介契約締結後、不動産会社が販売活動を開始します。実家を売却する場合は相続人が遠方に住んでいるケースも多いため、担当者と密に連絡を取りながら売却活動を進めていきましょう。
⑤売買契約の締結後、実家を引き渡し登記手続きを行う
購入希望者が見つかり条件がまとまれば、売買契約を結びます。複数人が共同で実家を所有している場合は、全員の署名・捺印が必要です。その後、売買代金を受け取り、物件の引き渡しと所有権移転登記を行います。売買代金は、相続した方の口座へ振り込まれます。
⑥確定申告を行う
売却して利益が出た場合は、売却した翌年に確定申告を行います。相続した不動産の売却では、「相続空き家の3,000万円特別控除」や「取得費加算の特例」などの特例が使える可能性があります。自分が適用条件を満たすかを確認し、忘れずに申告しましょう。
実家を放置していると、固定資産税などの維持費がかかり続けたり、相続トラブルが発生したりといったリスクを抱えることになります。一方、実家の売却はタイミングによって進め方が変わり、1人で判断するのは簡単ではありません。実家をスムーズに売却するためにも、まずは実績豊富な不動産会社に相談し、サポートを受けながら進めるようにしましょう。
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