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お住み替えコラム
2024.09.13
相続した不動産に住む予定がない場合や、公平な遺産分割を実現させたい場合、相続した不動産を売却する選択肢が考えられます。
しかし、不動産の売却を経験したことがない方にとって、不動産の売却をどのように進めればよいのかわからないこともあるのではないでしょうか。
相続した不動産を売却する際には、売却のプロセスだけでなく税制なども知っておく必要があります。スムーズに相続した不動産を売却し、経済的な損失を回避するためにも、行うべきことを把握しましょう。
この記事では、相続した不動産を売却する際の流れや発生する税金、注意点などを解説します。
相続した不動産を売却する際には、まずは誰が不動産を相続するのかを決める必要があります。
そのうえで、不動産会社に売却活動を依頼するのが一般的です。以下で、相続した不動産を売却する流れを解説します。
相続が発生したら、被相続人(亡くなられた方)が保有していた不動産を誰が承継するのか決める必要があります。
なお、遺産相続の基本的なルールは以下のとおりです。
被相続人が有効な遺言書を遺している | 相続人全員に反対がない限りは遺言書の内容どおりに相続する |
被相続人が有効な遺言書を遺していない | 遺産分割協議を経て分割方法を決める |
相続が発生したら、まずは有効な遺言書の有無を確認しましょう。
生前に遺言書を遺している旨を伝えられていればスムーズですが、書いた本人しか知らないというケースもあり得るため注意が必要です。
いずれかの方法で不動産を相続する人を決めたら、続いて名義変更と相続登記を行いましょう。
相続した不動産を売却する際には、法務局にて登記簿上の名義を変更する必要があります。
他人名義だと不動産の売却はできないため、必ず名義変更を行いましょう。
なお、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続により不動産を取得した際には、必ず登記を行う必要があります。
遺言書により不動産を取得した場合は遺言の内容に基づく所有権移転登記、遺産分割協議により不動産を取得した場合は遺産分割の結果に基づく相続登記を行いましょう。
必要書類は法務局のホームページで確認できるため、事前に必要書類や流れに目を通しておくとよいでしょう。
不動産売却は、不動産会社に依頼することが一般的です。
実際に売却活動を依頼する前に、「いくらで売却できるのか」を把握するための査定を依頼しましょう。
不動産会社は、基本的に無料で不動産価格の査定を行ってくれます。
信頼できる不動産会社に査定を依頼し、売却が見込める金額を把握しましょう。
査定を経て不動産の売却を依頼する不動産会社を選定したら、媒介契約を締結します。
媒介契約には以下の3種類があるため、どの形態がベストか検討したうえで契約を締結しましょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | 〇 | × | × |
自己発見取引 | 〇 | 〇 | × |
不動産仲介会社から売主様への報告義務 | 報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズ(指定流通機構)への登録義務 | なし | あり(媒介契約の締結から7日以内) | あり(媒介契約の締結から5日以内) |
契約期間 | 規定なし | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
買主様が見つかり、交渉を経て成約金額に合意したら売買契約を締結します。
売買契約を締結する際には、不動産会社の事務所で、宅地建物取引士資格を保有している不動産会社の担当者による重要事項説明が行われます。
あわせて、売買契約書の確認と記名押印や引き渡しまでのスケジュールを話し合う流れになるのが一般的です。
不動産を売却するにあたって不明点や疑問点がある場合は、売買契約を締結する段階で解消しておきましょう。
なお、売買契約を締結する段階で買主様より手付金を受け取り、不動産を引き渡す日に残金を決済するのが一般的な流れです。
相続した不動産を売却するときには、さまざまな税金が発生します。
必ず発生する税金と場面に応じて発生する税金があるため、実際に売却する前に納めるべき税額をイメージしておきましょう。
以下で、不動産を売却する際に発生する税金の内訳と計算方法を解説します。
印紙税とは、契約書や領収書など経済的な取引を行う際に作成した書類に対して課せられる税金です。
不動産の売買契約書に関しても、取引金額に応じて以下の印紙税を納付(収入印紙を貼付)する必要があります。
なお、電子契約の場合は印紙税の納付は不要です。
契約金額 | 印紙税額(平成26年4月1日から令和9年3月31日までの軽減措置) |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円を超え10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 200円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 32万円 |
10億円を超え50億円以下 | 48万円 |
出典:国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
不動産を取得したときの価額よりも売却したときの価額のほうが高い場合、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は「利益が生まれたとき」に発生する税金なので、不動産を取得したときの価額よりも売却したときの価額のほうが低い場合は発生しません。
まずは、課税譲渡所得金額を求めます。
課税譲渡所得金額=「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」
課税譲渡所得を求めたうえで、以下の税率を乗じましょう。
不動産の所有期間 | 倍率 |
---|---|
所有期間が5年以内(短期譲渡所得) | 所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63% |
所有期間が5年超(長期譲渡所得) | 遺所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315% |
不動産を売却したとき、売主様の税負担を抑えられる特例があります。
特例を知っていると、場合によっては数百万円程度もの税負担を抑えられる可能性があります。
相続で取得した不動産の売却を検討している方は、どのような特例があるのか確認しておきましょう。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、発生した譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。
譲渡所得が3,000万円以下の場合、本特例を活用すれば納付する税額がゼロになります。
なお、特例を利用するための条件は以下のとおりです。
※住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまること
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
被相続人と同居していたものの、相続してから経過する日の属する年の12月31日までに売却するケースで、本特例を活用できます。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、自宅として使用していた不動産を売却したときに利用できる特例です。
相続した空き家を売却したときは、「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
例えば、遠方で暮らしている親が亡くなり空き家になった不動産を売却するケースで、利用できるか検討するとよいでしょう。
なお、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するための条件は以下のとおりです。
建築年数や耐震基準に関する要件があるため、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例よりも適用は難しいといえます。
しかし、空き家を相続したときは状況を確認したうえで、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できるか検討してみてください。
取得費加算の特例とは、相続が発生した日から3年10ヶ月以内に相続した財産を売却したときに利用できる特例です。
相続税を納付している売主様であれば、本特例を利用できる可能性があります。
なお、取得費加算の適用を受けるための要件は以下のとおりです。
例えば、2億円の財産を相続した際に1億円の相続税を納めたケースで考えてみましょう。
相続した財産のうち1億円分の財産を売却するとき、納めた相続税の2分の1にあたる5,000万円を取得費に加算できます。
相続税を納付している売主様は利用できる可能性があるため、知っておくとよいでしょう。
相続した不動産を売却することで、さまざまな負担から解放されるメリットがあります。
相続した不動産に住む予定がない場合は、売却を検討するとよいでしょう。
以下で、具体的なメリットを解説します。
不動産を保有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。
いずれも毎年1月1日時点において登記簿上の所有者に対して課されるため、住んでいなくても「保有しているだけ」で税金を納付しなければなりません。
税金だけでなく、不動産を維持管理するためのコストが発生する可能性があります。
空き家を放置していると行政から罰金を課されたり、倒壊したときに損害賠償責任を負ったりするリスクもあります。
売却して所有権を手放せば、いずれのコストも負担せずに済むため、住む予定がない不動産に関しては売却したほうが合理的です。
空き家といえども、所有者は適切に管理しなければなりません。
倒壊や破損を防ぐために不動産を管理する必要があるため、不動産を相続すると管理する手間が発生します。
もし相続した不動産が遠方にある場合、管理をする手間は重くなりがちです。
移動の手間や時間、経済的コストがかかり続けるため、相続人にとって重い負担といえるでしょう。
しかし、売却すれば不動産を管理する義務から解放されます。
手間だけでなく、ストレスの負担も軽減できるでしょう。
不動産も立派な資産ではありますが、分割しづらいデメリットがあります。
また、相続人全員が不動産を相続したいと考えているとは限らないため、場合によっては不動産を現金化したほうが公平な財産分配を実現できるでしょう。
現金であれば容易に分割できるため、公平な遺産分割を実現できます。
なお、相続した不動産の分割方法には、以下の「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」があります。
分割方法 | 特徴 |
---|---|
現物分割 | 不動産を売却せずに各相続人がそれぞれ不動産を取得する方法 |
換価分割 | 不動産を売却し、得られたお金を相続人間で分配する方法 |
代償分割 | 不動産を売却せず、財産を多く相続した方が他の相続人に代償金を支払い公平な相続をする方法 |
共有分割 | 不動産を売却せずに、相続人間で決めた相続割合で共有する方法 |
不動産を売却して現金化する「換価分割」は、相続人間の公平さを保てるメリットがあります。
例えば、相続人が3人いるときに遺産の内訳が「不動産8,000万円・預貯金1,000万円でその不動産は被相続人の自宅だけ」という場合、不動産の公平な遺産分割は困難です。
また、不動産に関する税金や維持管理費用を負担し続けなければなりません。
しかし、換価分割を行い得られたお金を「預貯金9,000万円」という形にすれば、3人の相続人が公平に遺産を分けられます。
相続した不動産を売却する際には、いくつか注意点があります。
注意点を認識しないと税金の負担が重くなる恐れがあるため、以下で解説する内容を参考にしてみてください。
相続で不動産を取得してから、おおむね3年以内に売却しないと税負担が重くなりやすいため注意しましょう。
以下のように、各種特例を適用できるか否かは3年を基準に判断するケースが多いためです。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
取得費加算の特例 | 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること(相続開始のあった日の翌日から3年10ヶ月以内) |
特例が適用される場合とされない場合を比較すると、納める税額に数百万円程度の差が生まれることもあります。
相続で取得した不動産を売却する際には、取得してから3年以内に売却できるようにスケジュールを立てるとよいでしょう。
不動産を相続した場合、取得費と取得期間は前の取得者の情報を引き継ぎます。
例えば、親が取得した不動産を相続した場合、親が購入したときの価額や取得日を継承します。
「自分が相続で取得した日の時価」「自分が相続で取得した日」が、それぞれ取得費と取得日になるわけではありません。
譲渡所得の計算や特例を適用できるかどうかの是非を判断する際に間違えやすいため、注意しましょう。
相続で取得した不動産の取得費が分からない場合は、売却した金額の5%を取得費とみなして譲渡所得の計算をすることとなります。
親が不動産を購入したときの契約書が見つからないときや売却した不動産が先祖伝来のもので取得費がわからないときは、売却金額の5%が該当します。
例えば、取得費不明の不動産を5,000万円で売却すると、取得費は250万円です。
実際に取得費はもっと高かったとしても、売却した金額の5%で計算しなければなりません。
このように、取得費が分からない場合は譲渡所得税と住民税の負担が重くなりやすい問題点があります。
売買契約書をはじめとした取得費に関する書面がない場合、当時の販売ディベロッパーから売買契約書の写しをもらったり、通帳の出金履歴から家の購入額を推測したりする方法があります。
しかし、手間がかかるうえに必ず税務署から認められるとは限らないため注意しましょう。
譲渡所得が発生したときは譲渡所得税と住民税が発生しますが、支払うタイミングがそれぞれ異なる点に注意が必要です。
譲渡所得税は、不動産を売却した翌年の確定申告(2/16~3/15)を経て納付を行いますが、住民税の支払いは不動産を売却した翌年の6月から始まります。
確定申告で納税手続きが完結したと勘違いすると、住民税の通知を見たときに驚いてしまう可能性が考えられます。
譲渡所得の金額によっては年間で100万円を超える住民税を負担するケースも有り得るため、納税資金を用意しておきましょう。
相続した不動産を共有名義にすると、スムーズに売却できない可能性があるため注意しましょう。
共有名義の家を売却する場合は共有者全員の同意が必要となるため、共有者がいないケースと比べて手続きが煩雑になります。
例えば、共有者の中に非協力的な方がいる場合、スムーズに売却できない恐れがあります。
売れない期間が長期化している間に不動産の価格が下落してしまい、経済的な損失を被る事態になりかねません。
なお、共有状態でも自分の持ち分のみを売却することは可能です。
しかし、共有状態にある不動産の持ち分を取得する方は少ないため、現実的な選択肢とはいえません。
相続した不動産を売却する際には、さまざまな手続きを経る必要があります。
売却を進める過程で仲介手数料や税金などの費用負担が発生するため、事前にどの程度の金額を用意するべきか確認しておきましょう。
不動産の売却をスムーズに進めたいときは、実績が豊富な不動産会社に売却活動を依頼するのがおすすめです。
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