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お住み替えコラム
2024.08.23
相続により取得した建物の減価償却費の計算について、複雑で分からないことはないでしょうか。
特にマンションやアパートのオーナー様にとっては、気になることも多いかもしれません。
この記事では、相続により取得した建物の減価償却費の計算方法や、注意する点をご紹介します。
年数が経つほどに価値が減っていく有形資産(不動産など)を所有している場合で、賃貸などの事業の用に供しているときは、減少した価値を経費として計上することが可能です。
この経費を「減価償却費」といい、不動産における減価償却費は、建物・建物付帯設備・構築物 が対象となります。
相続税対策で賃貸不動産を用いることもあるため、賃貸不動産の取得を検討している方は減価償却費の計算方法も抑えておく必要があるでしょう。
それでは、減価償却費はどのように計算すればよいのでしょうか。
賃貸している建物を相続した場合、被相続人から「取得価額」「耐用年数」「未償却残高」を引き継いで減価償却費を計算することになります。
取得価額は、不動産を購入した際の価格となります。不動産取得時の売買契約書があれば、そこに明記されている建物部分の金額が取得価額です。
減価償却資産の「耐用年数」とは、通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数、すなわち通常の効用持続年数のことをいいます。
耐用年数が分かれば、国税庁の「減価償却資産の償却率表」で償却率などを確認することができます。
減価償却資産の取得価額のうち、まだ減価償却をしていない額を未償却残高といいます。
未償却残高は、今後経費にできる金額です。
減価償却資産を前年以前より取得している場合に次の計算式で算出します。
未償却残高=取得価額-前年末までの償却費の累計額
建物を相続した場合、上記3つは引き継ぎますが、「償却方法」については引き継がない点に注意しましょう。
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産の償却費の計算方法については、償却可能限度額および残存価額が廃止され、1円まで償却することとされました。
また、定率法の計算方法についても大幅に改正され、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産の一般的な減価償却の方法である定額法と定率法による償却費の計算方法は、次のとおりとなりました。
定額法 | 定率法 | |
---|---|---|
特徴 | 償却費の額が原則として毎年同額となる。 | 償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する。 ただし、定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同額となる。 |
計算方法 | 取得価額×定額法の償却率 |
未償却残高×定率法の償却率 ただし、上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は次の算式による。 改定取得価額×改定償却率 |
参照:国税庁|定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
かつては建物も定率法で減価償却が認められていましたが、現在は建物・付帯設備・構築物は定額法のみが認められています。
実際に、以下の計算例を用いて相続した建物の減価償却費を計算してみましょう。
計算例
■被相続人の減価償却計算
耐用年数47年 償却率0.048(旧定率法)
平成9年 40,000,000円×0.048=1,920,000円
40,000,000円-1,920,000円=38,080,000円
平成10年 38,080,000円×0.048=1,827,840円
令和5年 11,133,224円×0.048=534,394円
令和5年末の未償却残高
11,133,224円-534,394円=10,599,830円
■相続人の減価償却計算
耐用年数47年 償却率0.022(定額法)
令和6年 40,000,000円×0.022=880,000円
令和6年の未償却残高
10,599,830円-880,000円=9,719,830円
建物を相続した場合、節税のためにも減価償却費を計算する機会があった際、どのように計算していいかわからないことが多いかと思います。
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