不動産用語集
不動産、住宅、法規制等、不動産取引に関連する用語を多数収録しています。
お住み替えコラム
2023.06.29
マイホームの住み替えを検討する際、まずは売却と購入のどちらを優先するかを慎重に考える必要があります。順番によって注意すべき点が異なるためです。今回は、住み替えにありがちな失敗を具体的に紹介し、その対策方法について解説します。
住み替えには、現在の住まいを売却してから新居を購入する「売り先行」と、新居購入後に元の住まいを売却する「買い先行」の2パターンがあります。売却物件・購入物件の引渡しを同じ日に行うのが理想ですが、タイミングを合わせるのは難しく、どちらかを先行するケースがほとんどです。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自分に合う方法を選択するようにしましょう。
売り先行のメリットは、新居購入の資金計画が立てやすくなることです。売却後に手元に残った金額を確認してから新居を探すことができ、新居の予算設定の目途がつきやすく、住宅ローンを利用する場合は無理のない返済計画が立てられます。売り急ぐ必要もないので、納得のいく条件での売却が可能です。
デメリットとしては、仮住まいの費用負担があげられます。売却が成立すると売買契約書に基づく期日までに自宅を引き渡すこととなり、それまでに新居に入居できなければ賃貸マンションなどの一時的な仮住まいが必要です。そのため、仮住まいの家賃や二度の引越し代なども予定しておかなくてはなりません。
買い先行の場合、売却時にはすでに新居での生活がスタートしているので仮住まいが不要です。新居選びに十分な時間がかけられることもメリットといえるでしょう。
ただし、売却が決まるまでは2つの家を所有することになり、それぞれに固定資産税や管理費・修繕積立金などの支払い義務が生じます。売却する家のローンが残っている場合は、新居とあわせて二重にローンを返済しなくてはなりません。売却までの期間が長引くほど経済的な負担が大きくなることに注意が必要です。
住まいの売却・購入には、それぞれ諸費用がかかります。どのような費用が発生するのか、目安はいくらくらいなのかを押さえておきましょう。
売却時にかかる諸費用の目安は、売却価格の5%前後といわれています。内訳は以下のとおりです。
費用項目 | 目安 |
---|---|
仲介手数料 | 売却金額が400万円超の場合 ・(売却金額×3%)+6万円+消費税 |
印紙税 | 売却金額により異なる ・1,000円~6万円 |
登録免許税 | 抵当権抹消登記:不動産1個につき1,000円(土地・建物それぞれに抵当権が設定されている場合は2,000円) |
登記費用 (住宅ローンの抹消手続きが必要な場合) |
司法書士に依頼する場合 ・5,000円~2万円前後 |
ローン一括返済手数料 | 金融機関により異なる ・1~3万円 |
譲渡所得税 (譲渡所得=売却益が発生した場合) |
売却した年の1月1日における保有期間で異なる ・保有期間5年以下:譲渡所得×39.63% ・保有期間5年超:譲渡所得×20.315% |
購入にかかる諸費用は、新築の場合は物件価格の3~7%、中古では6~10%ほどといわれています。その内訳は以下のとおりです。
費用項目 | 目安 |
---|---|
仲介手数料(中古物件のみ) | 物件価格が400万円超の場合 ・(物件価格×3%)+6万円+消費税 |
印紙税 | 売却金額により異なる ・1,000円~6万円 |
融資事務手数料 | 金融機関により異なる ・3~5万円 または 融資額の1~2%前後 |
登録免許税 | 所有権保存登記(新築):固定資産税評価額×0.4% 所有権移転登記(中古):固定資産税評価額×2.0% 抵当権設定登記:借入額×0.4% ※軽減措置あり |
登記費用 | 司法書士に依頼する場合 ・5~15万円前後 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×4% |
固定資産税 | 中古物件は決済時に売主と精算 |
火災保険料 | 構造、築年数、延床面積などによって異なる |
マンションや戸建てなど自宅を売却しての住み替えでは、売却のタイミングや価格の決め方で失敗することがあります。以下にて具体的に解説します。
売却と購入が期間を空けずにスムーズに進めばよいのですが、必ずしも都合よく進むとは限りません。たとえば、新居が見つかる前に売却が決まってしまった場合は賃貸マンションなどの一時的な仮住まいが必要となり、新居へ引越すまでに2度の引越しが必要です。
反対に、売却が決まる前に新居を購入した場合は、売却が決まるまで2つの自宅を所有することになります。2つの自宅に対してそれぞれ固定資産税等の負担が発生し、現在の住まいの住宅ローンを完済していなければ新居とあわせて二重にローンを返済しなくてはなりません。どちらのケースも売却するまでの期間が長くなればなるほど費用負担は大きくなります。
住み替えに限らず、自宅を売却するときはできるだけ高く売りたいと誰もが思うものです。しかしながら、売出価格が相場よりも高値だったために売れ残ってしまったというケースもあることに注意が必要です。
購入者側は良いものをできるだけ安く購入したいと考えます。相場よりも高値の物件は敬遠されがちで、なかなか売却に至りません。いつまでも市場に残る物件には「なにか問題があるのではないか」という疑問や不安を持たれることも多く、売れ残ってしまうという悪循環に陥ります。高値で売り出しても、無理な値引きに応じるなどして最終的には相場よりもかなり安くなってしまうことは珍しくありません。
失敗のない住み替えを目指すには、目的を整理し、その目的に合った計画を立てることが大切です。ここからは、住み替えで失敗しないために取るべき対策を紹介します。
住み替えの目的は人によってさまざまです。よく挙げられる理由には次の3つがあります。状況によっては売却を急ぐ必要もあるため、住み替えのタイミングを計画的に考えなくてはなりません。
それぞれ具体的に解説します。
家が古くなった、通勤通学に不便、家族が増えて手狭になったなどの理由から住み替えを検討する人が多い傾向にあります。子どもの入園や入学がきっかけになる場合は、その時期に合わせて住み替えを行う必要があるため、売却・購入に向けて早めの行動が大切です。
転勤の辞令は急に出されることが多いので、転居前に売るのは難しいかもしれません。売り急ぐと不利な条件で手放すことにもなりかねないので、転居後にじっくり売却活動を行うのがよいでしょう。賃貸物件として貸し出すことも1つの方法です。
子どもたちが独立して夫婦二人の生活に戻ったことをきっかけに、手頃な広さの家へ住み替えるといったケースはよくあります。また、階段のある一戸建てやエレベーターのない集合住宅などは、年齢を重ねるにつれて住みにくさを感じがちです。住戸内の段差はリフォームで解決できますが、共用部分であるエレベーターの問題や敷地内の段差などを解消するためには、スロープが設けられたバリアフリー設計のマンションなどへ住み替えを検討することが多いようです。
そもそも不動産取引は手続きにある程度の期間を必要とします。特に売却は買い手が現れるまで成立しないため、早くても数か月、長ければ1年以上かかる場合もあります。住み替えを考えるときは売りと買いを並行して行うのが理想的ですが、状況によってはどちらかを先行することになるでしょう。「売り」を先行した場合と「買い」を先行した場合のメリット・デメリットを理解し、自分たちに合った方法を選択することが大切です。
ある期限までに確実に売却したい場合は「買取保証」を検討してみましょう。買取保証とは、一定期間の売却活動(仲介)で売れなかった物件を不動産会社が買い取ってくれるシステムです。希望条件で売却できる可能性もありますし、最終的には不動産会社が買い取ってくれるという安心感があります。ただし、買取価格は相場の7割程度になるため、ローンの残債がある場合は注意が必要です。なお、すべての不動産会社で買取保証を行っているわけではないので、事前に確認するようにしましょう。
自宅の売却は不動産会社に査定してもらうことから始まります。査定額が適切であるかどうかは、自分でも相場を知っておかなくては判断できません。インターネットの物件情報で自宅近隣の似たような物件を検索すると、だいたいの相場がつかめるでしょう※。より実態に近い価格を調べるには、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」や、不動産流通機構が運営する「レインズ マーケット インフォメーション」などが利用できます。不動産仲介会社が公開している「相場情報」などのコンテンツをチェックする方法もあります。
※ただし、売出中の物件は相場よりも若干高い価格で売り出されている事が多いため注意が必要です。
複数の不動産会社に査定してもらい、相場と比較して極端に高かったり安かったりする会社は避けたほうがよいでしょう。ただし、建物の状態や地型によっては相場より高値がつくこともあります。査定額の根拠を質問し、明確に答えられる信頼できる不動産会社をパートナーに選定することも大切です。
住み替えを相談する不動産会社は、査定額だけではなく総合的に選ぶことが大切です。売却と購入のスケジュール、住み替えに伴う手続き、住宅ローンなどトータルに相談できる不動産会社を選ぶのがよいでしょう。
住み替えの対応実績が豊富か、自分に合った住み替え計画を提案してくれるかが、不動産会社選びのポイントです。また、担当者に不信感が生じるようでは満足のいく住み替えにはなりません。問い合わせに対して迅速に返事をしてくれるか、専門用語を避けてわかりやすい言葉で説明してくれるかなど、担当者との相性もチェックしてみてください。
売却する物件がマンションや分譲住宅の場合は、分譲会社のグループ会社に住み替え相談をすると安心です。分譲時の資料を保有し、物件の特徴や魅力をよく知っていることはもちろん、過去に多数の取引実績があるケースや、分譲マンションの場合にはマンション管理会社と深い繋がりがある場合もあります。
また、不動産会社によっては、さまざまな特典が用意されている場合もあります。たとえば、三菱地所ハウスネットでご成約いただくと、三菱地所グループの住宅サービスをご利用頂いている皆様の会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」に入会することができます。旅行やショッピング・インテリアなど全10ジャンル160種類を超える会員様限定の特典を受けることができるほか、ワインセミナーなどくらしに役立つセミナーや、家族で楽しめるイベントに参加できるのも特徴です。
「三菱地所のレジデンスクラブ」のご紹介はこちら
また、三菱地所グループが分譲したマンションのお取引では、お取引に係る仲介手数料等の割引サービスをご利用いただけます。
さらに、「ザ・パークハウス」をご売却される方の場合には、売主様のご負担なしで住宅設備検査や保証を行うサービスを提供するなど(あんしん5年保証)、分譲会社のグループ会社ならではの充実したサービスを取り揃えています。
三菱地所グループ分譲マンションご売却時のサービス内容についてはこちら
売りと買いのどちらを先行させるかは、住み替え先の住宅タイプによって左右されることもあります。なるべくスムーズに住み替えるための注意点をまとめましたので、参考にしてください。
建築中の分譲戸建ての場合、すでに建築始まっていて引渡しまでの期間が短いことから買い先行になるケースがほとんどです。売却活動を始めてから実際に売却が決まるまでの平均的な期間は3~4ヶ月といわれています。新居を先に購入した場合、売却できるまで2つの家の維持費がかかるため、できれば同日決済できるよう早めに売却活動をスタートさせましょう。
決済日や引渡し日は売主・買主双方の合意によって決められます。建設中の建売り戸建てや注文住宅に比べ、既存の中古戸建は住み替えのタイミングを調整しやすいことがメリットです。同日決済できる可能性が高いため、売却活動と新居選びを計画的に進めていきましょう。
注文住宅は契約から引渡しまで数ヶ月かかるため、必然的に買い先行となります。同日決済を目標に売却活動をスタートさせましょう。新居の完成前に売却が決まった場合は仮住まいが必要になるため、注意してください。
買い先行でマンションを決め、売主であるマンションデベロッパーに現在の住まいの売却を相談することをおすすめします。グループ会社に不動産仲介会社がいる場合には、購入と売却の担当者間で密な連携が取りやすくなるため、スムーズな住み替えが実現できるよう調整してくれるはずです。
中古マンションへの住み替えも買い先行が多い傾向にあります。中古戸建て同様、タイミングを調整できることがあるので計画的に進めていきましょう。マンションではローン返済のほか、管理費や修繕積立金など月々の支払いが発生します。戸建てにはない費用なので、分譲マンション・中古マンションともに資金計画に盛り込むことを忘れないようにしてください。
ここからは、住み替えで利用できる減税措置や特例を紹介します。いずれも確定申告をしないと適用されないため、利用できる制度があれば忘れずに手続きしてください。
不動産を購入時よりも高額で売却できた場合、その差額には譲渡所得税が課されます。ただし、マイホームについては「3,000万円特別控除」により非課税になる可能性があります。たとえば、3,000万円で購入したマンションが5,000万円で売れた場合、本来であれば売却益の2,000万円に対して39.63%、または20.315%の譲渡所得税が発生します。特別控除が適用されれば売却益はゼロになるため、譲渡所得税はかかりません。
この特例が利用できるのは、主に次のような適応条件を満たしたマイホームです。詳しくは、国税庁のWebサイトでご確認ください。
参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁」
売却益が出るのは嬉しいことですが、「3,000万円特別控除」の対象にならないほど大きな利益が出た場合は譲渡所得税が重くのしかかります。その際、条件を満たせば「買い替え特例」で譲渡所得税を繰り延べることができます。税金が免除されるわけではありませんが、住み替え時の負担軽減に役立つ制度です。
適用には「新居の価格が旧居の売却価格を上回る」ことのほか、新居・旧居それぞれに以下のような条件が設けられています。
適用には「新居の価格が旧居の売却価格を上回る」ことのほか、新居・旧居それぞれに以下のような条件が設けられています。
詳しくは国税庁のWebサイトをご覧ください。
参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁
不動産所得には「損益通算」が認められています。損益通算とは赤字分をほかの所得の黒字分と相殺することで、所得全体が少なくなり、所得税・住民税が軽減されるという仕組みです。購入時よりも安く売却した場合、その差額は譲渡損失になり、その年の給与所得などと相殺することができます。損失が大きくて控除しきれないときは売却の翌年から3年間、繰越控除が可能です。
参考:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁
原則として、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければ家を売却することはできません。住み替え時には売却代金でローンを完済して抵当権抹消という方法が一般的ですが、完済しきれない場合は次のような方法で新居購入が可能になります。
既存の住宅ローンの残債と新居の購入資金をまとめて新たに借り入れできるサービスで、売却・購入の同日決済が条件
注文住宅やリノベーションの着工金・中間金の支払いに利用されることが多い一時的な融資
既存の住宅ローンとは別に新たな住宅ローンを組む方法
自宅の売却を考えるとき、不動産一括査定サイトで複数の不動産会社に査定をしてもらうのはよい方法ですが、査定額だけで依頼先を決めてしまうのはおすすめできません。住み替えには人それぞれの目的やライフスタイルに適した進め方があります。そのため、自分に合った提案をしてくれる不動産会社と出会うことが、住み替えを成功させる重要なポイントといえます。
三菱地所のハウスネットは「売りたい」お客様と「買いたい」お客様をつなぐ三菱地所グループの不動産仲介プロフェッショナルとして、長年にわたり、豊富な経験と確かな売買実績を蓄積している会社です。三菱地所ハウスネットが運営するサービスサイト「三菱地所の住まいリレー」では、三菱地所グループならではの安心と信頼、総合力を生かし、住まいに関するトータル的なサポートを提供しています。お住み替えを検討されているお客様一人ひとりに寄り添った、売主様・買主様どちらにも安心して取引していただける高品質なサービスが用意されていますので、住まいの売却・購入・お住み替えをお考えの方は、三菱地所の住まいリレーをご利用されてみてはいかがでしょうか。
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