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住まいリレーコラム
2025.12.26
家の売却では、判断を誤ると想定より低い価格で手放すことになったり、契約後に思わぬトラブルが発生したりする可能性があります。後悔を避けるためにも、事前に失敗しやすい例を知っておくことが大切です。
この記事では、売却の準備から引き渡し後までの各ステップで初心者が陥りがちな、家の売却でやってはいけないことを具体的に解説します。
家の売却は、多くの方にとって初めての経験となるため、何を優先すべきかわからず失敗につながることもあります。安心して進めるために、準備段階でやってはいけないことを7つピックアップします。
売却スケジュールを立てずに売却を進めるのは避けましょう。売却の計画が曖昧なまま進めると、準備が後手に回り、売却活動が長期化する恐れがあります。
例えば、「子どもの進学に合わせて3月までに売却したい」というゴールがあるにも関わらず、無計画に2月から売却を始めても、希望の時期までに売却ができないでしょう。
売却には、査定、媒介契約の締結、販売活動、内覧対応、売買契約の締結、引き渡しなどの多くのステップがあり、それぞれに一定の時間が必要です。
希望の時期に納得のいく価格で売却を完了させるためにも、まずは「いつまでに売りたいか」を明確にし、そこから逆算した具体的な計画を立てる必要があります。
売却にかかる費用や税金を把握せずに進めると、手元に残る資金が想定より少なくなり、そのあとの資金計画に大きな影響をおよぼす恐れがあります。
家の売却では、売却価格がそのまま手に入るわけではありません。不動産会社に支払う仲介手数料や契約書に貼る印紙代、抵当権抹消のための登記費用など、さまざまな諸費用が発生します。これらの支出を計算に入れずに、「売却価格=新居の購入資金」と考えていると、資金が足りなくなるなどの問題が発生します。
予期せぬ出費で資金計画が狂うのを避けるためにも、どのような費用や税金がいくらぐらいかかるのか、事前に把握しておきましょう。
家の管理や清掃をしないまま売却を進めると、物件の印象が悪くなり、査定額の低下や売却機会の損失につながります。
不動産会社の担当者が査定で家を訪れた際、部屋が散らかっていたり、水回りにカビがあったりすると、管理状態が良くない家という印象を与えてしまいます。また内覧においても、購入希望者の購入意欲を失わせる理由となってしまいます。
少し手間をかけるだけで売却結果がよい方向に変わる可能性があるため、家の管理と清掃は普段から怠らず、汚れや物の散乱などがある場合は、売却を決めた時点で掃除や整理を始めましょう。
市場の相場からかけ離れた価格設定をすると売却が長期化する原因となります。相場や近隣の価格を調べずに価格を決めてはいけません。
例えば、「住宅ローンがこれだけ残っているからこの金額で売りたい」という売り主の希望だけで価格を設定すると、相場より高すぎて購入希望者が一人も現れない状況に陥る恐れがあります。一方、売出価格が相場に比べて安すぎると、「何か問題があるのでは」と思われ、問い合わせ数の減少につながります。
売出価格を決める際は、不動産情報サイトなどで近隣の似たような物件がいくらで売り出されているか、過去にいくらで成約したかなどを調べておきましょう。
得意分野や販売戦略は不動産会社によって異なり、担当者の能力もそれぞれです。その違いが売却の結果を左右する場合があるため、不動産会社を比較せずに契約するのはやめましょう。
例えば、査定額の高さだけを理由に不動産会社を決めてしまうのは危険です。査定価格は一般的に「3ヵ月程度で売却できるだろう」という見込みで決められる額であり、実際に売れる価格ではありません。なかには根拠なく高い査定額を提示し、売出後に値下げを繰り返す不動産会社も存在します。
大切な家の売却を任せる不動産会社選びは、売却の成否を左右する重要なポイントです。安易に決めずに比較検討しましょう。
家の売却を家族や親族に相談せずに進めるのは避けるべきです。手続きの途中で反対されることや、あとからトラブルに発展するなど、売却そのものが進められなくなる恐れがあります。
家が夫婦の共同名義になっている場合、双方の同意がなければ売却できません。また、たとえ単独名義であっても、同居している家族がいるのであれば、売却後の生活について事前に話し合い、合意を得ておく必要があります。
特に注意したいのが、親から相続した実家を売るケースです。きょうだいなど他の相続人全員の同意を得る必要があり、同意を得ずに売却を進めると深刻な親族間トラブルに発展しかねません。
トラブルを防ぎ売却手続きを円滑に進めるためにも、売却を決意したら早い段階で家族や親族に相談し、理解と協力を得ておくことが重要です。
不動産売却の手続きでは各段階でさまざまな書類が必要となり、準備が遅れると売却スケジュール全体に影響が出てしまいます。そのため、事前に必要な書類を揃えておくと安心です。
不動産売却では、主に以下の書類が必要です。
上記の書類が手元になければ、購入希望者が見つかっても売却手続きを進めることはできません。書類によっては紛失した場合の再発行に時間がかかったり、手続きが複雑だったりするものもあります。いざというときに慌てないためにも、査定を依頼する段階から不動産会社に必要な書類を確認し、早めに準備を始めることが大切です。
売却活動が本格化すると、購入希望者からの内覧や条件交渉が始まります。ここでは、内覧や交渉の場でやってはいけないことを解説します。
内覧の対応や準備を怠ると、家の第一印象が悪化し、購入希望者の購入意欲が下がってしまいます。
購入希望者は、物件情報や室内写真を見て、期待を膨らませながら内覧に訪れます。その際、玄関が靴で散らかっていたり、水回りにカビが生えていたりすると、「大切に使われていない家」というマイナスの印象を与えてしまいます。一方、隅々まで清掃が行き届き、照明などで明るく見えるように工夫された部屋は、購入希望者に好印象を与えます。
第一印象でマイナスイメージを与えてしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。内覧前に掃除や整理を済ませ、当日は丁寧な対応を心がけましょう。
購入希望者からの価格交渉や条件提示に対して十分に検討せずに応じるのは避けましょう。その場の雰囲気や焦りから安易に承諾すると、あとで「もっとよい条件で売れたかも」と後悔するかもしれません。
家の売却では、購入希望者から「この価格なら即決します」「引き渡し時期を1ヵ月早めてほしい」などの交渉が入ることが多くあります。このとき、早く売りたい一心で不動産会社に相談せず、その場で「わかりました」と返事をしてしまうと、結果的に満足いかない結果を招いたり、無理なスケジュールで引越しをせざるを得なくなったりします。
買い主から価格交渉や条件提示があった場合は、必ず不動産会社の担当者と相談したうえで慎重に回答しましょう。
売却を進める際、不動産会社との連絡は密に取るようにしましょう。連絡が遅れると購入希望者への対応が滞り、せっかくの成約のチャンスを逃してしまう恐れがあります。
家の売却中は、内覧希望日時の調整や購入希望者からの質問、価格交渉の連絡など、迅速な判断が求められる連絡が不動産会社から頻繁に入ります。これらの連絡に対して「忙しいからあとで返信しよう」と対応を後回しにしていると、その間に購入希望者の気持ちが変わり、他の物件に心が傾いてしまうかもしれません。
売却活動を円滑に進めるためには、こまめに連絡を確認しておくと安心です。
売却活動や価格交渉などをすべて不動産会社に任せきりにするのではなく、疑問や希望があれば積極的に共有することが大切です。
広告の作成や内覧対応などは不動産会社が主導で進めてくれますが、売主さまの意向をしっかり反映させるためにも、活動の進捗や反響状況を定期的に確認しながら、一緒に進めていく姿勢が望ましいでしょう。
また、価格交渉の場面では、不動産会社から提案を受けたうえで、納得できる条件を一緒に検討していくことが大切です。「任せて安心」な関係を保ちながらも、ご自身の希望や考えをしっかり伝えることで、より満足度の高い売却につながります。
家の売却中に物件の欠陥や情報を意図的に隠してはいけません。引き渡し後にその事実が発覚した場合、契約不適合責任を問われ、法的なトラブルに発展するリスクがあります。契約不適合責任とは、売買契約の内容と異なる物件を引き渡した場合に売り主が負う責任のことです。
例えば、過去に雨漏りやシロアリ被害、給排水管の故障などがあったことを知っていながら買い主に伝えずに売却し、入居後に買い主がその事実を知ったとします。この場合、買い主は売り主に対して、修理費用の請求や代金の減額請求、損害賠償請求や契約の解除を求める権利があります。
「これくらいなら言わなくてもばれないだろう」という安易な考えは、後々大きな負担となって自分に返ってきます。物件に関するマイナス情報も誠実に開示して、不要なトラブルを防ぎましょう。
売却活動中に家を大幅に改装すると、広告の写真と実際の物件が異なり、購入希望者からの信頼を失う恐れがあります。その結果、交渉決裂やキャンセルの原因になることが考えられます。
購入希望者は、インターネットに掲載された写真や内覧で実際に見た家の状態を前提に購入を検討します。その状態が気に入って購入を決断したにも関わらず、売り主が良かれと思って壁紙全面を張り替えたり、キッチンを最新のものに入れ替えたりすると、買い主は「思っていたのと違う」と感じてしまうのです。
この認識のズレがトラブルを生み、最悪の場合、契約の白紙撤回という事態を招く恐れがあるため、売却活動が始まったら物件の状態を変えないのが原則です。どうしても必要な補修がある場合は必ず不動産会社に相談し、購入希望者の合意を得たうえで行いましょう。
無事に家の引き渡しが完了しても、売却に関する手続きすべてが終わったわけではありません。ここでは、家の売却を円満に完了させるために、引き渡し後にやってはいけないことを解説します。
契約内容をしっかりと確認せずに署名・捺印してはいけません。契約書に署名・捺印をすれば、内容を十分に理解できていなかったとしても、すべての条件に同意したとみなされます。
売買契約書には、価格や手付金の額だけでなく、引き渡し日や設備の取り扱い、物件に欠陥が見つかった場合の対応(契約不適合責任)など、重要な取り決めが記載されており、売却後の責任に影響します。
あとになって「こんなはずではなかった」と予期せぬトラブルに発展する恐れがあるため、疑問点は必ず不動産会社に確認し、納得したうえで契約に臨みましょう。
売却後の税金の支払いや手続きを忘れると、本来支払う必要のないペナルティが課され、手元に残る資金が減ってしまいます。
例えば、家を売却して利益が出た場合は、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は原則、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をして納付しなければなりません。もしこの手続きを怠ると、本来納めるべき税額に加えて、無申告加算税や延滞税などのペナルティが上乗せされます。
売却で得た資金を不必要に目減りさせないためにも、税金に関する手続きは確実に行いましょう。
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不動産を売却すると税金はいくらかかる?課税の種類と計算方法を解説
家の売却後、買い主からの連絡を放置していると、法的措置に発展し、金銭的・精神的に大きな負担を強いられる場合があります。
例えば、引き渡し後に買い主から「契約書に記載のない雨漏りが見つかった」と連絡があった場合、これは契約不適合責任を問われる恐れがある重大な問題です。この連絡を無視し続けると、修理費用の請求だけでなく、損害賠償や契約解除を求められる事態に発展しかねません。
また、売却前に隣人と境界線をめぐる問題があったにも関わらず、それを伝えなかったために買い主がトラブルに巻き込まれ、その責任を問われるケースもあります。
売却後であっても買い主からの連絡には誠実に向き合い、問題が小さいうちに不動産会社に相談して解決を図りましょう。
双方の合意のもとで成立した契約内容をどちらかの都合で変更することは、原則として認められません。トラブルの原因となるため、契約後に再度条件変更を求めるのはやめましょう。
「もっと高く買ってくれる方が現れたから売却価格を引き上げたい」「自分の都合で引き渡し日を延期したい」などの要求はトラブルの元です。
また、契約書で取り決めたエアコンなどの付帯設備を勝手に撤去したり、契約そのものを一方的にキャンセルしたりすれば、買い主から違約金を請求されることになるでしょう。
売買契約の締結は、すべての条件に納得したうえで行う最終的な意思表示です。あとから後悔しないよう、契約前の段階で希望をすべて伝え、慎重に判断しましょう。
引き渡し時に契約で取り決めた残置物などの処分を怠ると、契約違反に該当し、買い主からの損害賠償請求やクレームに発展する恐れがあります。
売買契約では通常、家のなかを空っぽの状態で引き渡すのが一般的です。にも関わらず、古い家具や照明器具、物置にしまったままの私物などを残した状態で引き渡してしまうと、買い主はそれらの不用品を自らの費用と手間で処分しなければならなくなります。その場合、処分にかかった費用や損害賠償を請求される恐れがあります。
引き渡し時に何を残し、何を処分するかは、契約時に付帯設備表で取り決めます。付帯設備表に従って、引き渡し日までに責任を持って残置物を処分しましょう。
家の売却後に確定申告を忘れると、利用できるはずの税金の特例が使えなくなったり、ペナルティとして余計な税金を支払うことになったりします。
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、原則として売却の翌年に確定申告が必要です。確定申告を忘れて税務署から指摘されると、本来の税金に加えて延滞税や無申告加算税が課されます。
逆に、売却で損失が出た場合でも、一定の要件を満たせば、給与所得など他の所得と損失を相殺して所得税の還付を受けられる「譲渡損失の繰越控除」が受けられるケースがあります。しかし、譲渡損失の繰越控除は確定申告をしないと適用されません。
「利益が出なかったから関係ない」と自分だけで判断せず、売却に関わる税金の手続きは、税務署や税理士に確認して適切に行いましょう。
家の売却では、準備段階から引き渡し後まで、やってはいけないことが数多く存在します。やってはいけないことを把握していなかったがために、せっかくの好条件を逃してしまったり、大きなトラブルに発展してしまったりすることは、絶対に避けたいものです。
好条件で家を売却するためにも、信頼できる不動産会社をパートナーに選び、やるべきこと、やってはいけないことをしっかりと把握しながら、二人三脚で売却を進めましょう。
掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。
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