お住み替えコラム

2024.11.07

離婚時の財産分与で家はどうする?対象財産や税金についても解説

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住み替えのノウハウ特集
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家を保有している状況で、離婚を予定または検討している方もいるのではないでしょうか。離婚をするときに考えなければならないのが、財産分与です。
婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産は公平に分ける必要があるため、家も基本的に財産分与の対象となります。夫婦が共同生活を送る中で形成した財産は公平に分配する必要があるため、家をどのように分与するか考えなければなりません。
家を財産分与する際には、売却して現金化するか、片方が住み続けて片方にお金を渡す方法などがあります。どのような方法が適するかは、資産状況や今後の生活スタイルによって異なるため一概にはいえません。
この記事では、離婚をしたときの財産分与の方法や、家を財産分与する方法を解説します。

  1. 離婚時の財産分与とは
  2. 財産分与の方法
  3. 離婚時の財産分与の対象となる財産
  4. 離婚時の財産分与の対象とならない財産
  5. マイナスの財産の取り扱い
  6. 離婚時に家を財産分与する方法
  7. 離婚時の不動産売却の査定・相談なら三菱地所の住まいリレー

離婚時の財産分与とは

財産分与とは、離婚をした夫婦の一方が、他方に対して財産の分与を請求できる制度です。
婚姻期間中は夫婦が協力して資産を築いていると解されるため、離婚時における財産を公平に分配する必要があります。

例えば、専業主婦世帯で離婚時に夫が多くの資産を有していたとしても、婚姻期間中は妻が家事や育児をすることで夫の資産形成に貢献していると言えます。

また、離婚時に妻が十分な資産を保有していないと生活が困窮してしまう恐れがあるため、生活保障の観点からも財産分与を請求することが可能です。

ほかにも、財産分与には離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質があると解されています。
例えば、離婚の原因が夫にある場合、財産分与の手続きの中で慰謝料請求を含めることもあります。

なお、財産分与は夫婦の財産を2分の1ずつ分けるのが一般的ですが、必ず2分の1ずつ分けなければならないわけではありません。

まずは当事者間で協議して、当事者間で協議が整わないときや協議できない状況にあるときは家庭裁判所に調停または審判を申し立てる流れとなっています。
離婚から2年が経過すると、家庭裁判所に申立てをすることができなくなるため注意が必要です。

財産分与の方法

財産分与の方法には、「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3種類があります。

以下で、それぞれの特徴を解説します。

清算的財産分与

清算的財産分与は、最も一般的な財産分与の形です。
婚姻期間中に夫婦間で協力して形成した財産を、名義に関係なくそれぞれの貢献度に応じて公平に分配する方法です。

2人の財産を2人で分ける、というシンプルな考え方に基づいています。
単に「財産分与」というときは清算的財産分与を指しており、離婚の原因を作った側の者でも請求できます。

扶養的財産分与

扶養的財産分与は、離婚に伴って夫婦の一方が生活に困窮してしまう恐れがあるときに用いられる方法です。
夫婦の一方が経済的に弱い立場にある場合、離婚後の生活を保護しなければなりません。

例えば、夫婦の一方が障害を抱えているケースや専業主婦(夫)で自分の資産を十分に有していないケースでは、夫婦の片方が離婚後の生活で困窮する恐れがあります。

扶養的財産分与では、経済的に強い者が弱い立場の者を扶養する目的があるため、一定額を定期的に支払うのが一般的です。
具体的な金額は双方が協議して決定しますが、協議が整わない場合は裁判を通じて決定するケースもあります。

慰謝料的財産分与

夫婦の一方が慰謝料を支払う義務を負うとき、離婚時の財産分与をまとめて請求するのが慰謝料的財産分与です。

本来であれば、慰謝料と財産分与は原因が異なるため別々で請求します。
しかし、いずれも金銭の支払いをもって解決を図るため、慰謝料請求と財産分与を区別せずにまとめるケースがあり得るのです。

慰謝料的財産分与が用いられる具体的なケースとして、夫婦の一方が不倫やDVなどの問題行為を行い、慰謝料を支払う義務を負ったときが挙げられます。

離婚時の財産分与の対象となる財産

婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産は、財産分与の対象となります。
離婚時にそれぞれが保有している財産ではなく、婚姻期間中に築いた財産が対象となる点を押さえておきましょう。

具体的に、財産分与の対象となる財産は以下のとおりです。

  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 自動車・家財
  • 退職金
  • 企業年金
  • 保険の解約返戻金

結婚したあとに取得や増加した預貯金や有価証券は、財産分与の対象となります。
不動産に関しても、婚姻中に購入した家や土地は名義に関係なく財産分与の対象です。

退職金に関しては、婚姻期間中の年数に応じて計算します。
例えば、勤続年数40年に基づく退職金が支給された(される予定含む)とき、婚姻期間が10年の場合は退職金の4分の1(10年÷40年)が財産分与の対象となります。

年金に関しては、企業などに勤めている方が必ず加入する厚生年金について財産分与とは異なる年金分割という手続きにより分割されます。
夫婦の一方に第3号被保険者に該当する期間がある場合、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割できる制度です。

企業内で任意に加入する企業年金(企業型確定拠出年金)やiDeCoは、年金分割ではなく財産分与の対象として処理されます。
なお、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が必ず加入する国民年金は、年金分割・財産分与ともに対象になりません。

終身保険や養老保険のように、貯蓄性があり解約返戻金が発生する保険も財産分与の対象です。
婚姻期間に相当する部分の解約返戻金について、財産分与の対象としてカウントする必要があります。

離婚時の財産分与の対象とならない財産

離婚時におけるすべての財産が、財産分与の対象となるわけではありません。
婚姻前から夫婦の一方が有していた財産や、婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産は財産分与の対象外です(特有財産)。

例えば、婚姻前から貯めていた預貯金や婚姻前に購入した有価証券など、各自が保有していた財産が該当します。
婚姻前から保有していた自動車や貴金属なども同様です。

また、親族から相続した財産も特有財産に該当し、財産分与の対象になりません。
相続が発生したタイミングが婚姻期間中でも、相続財産は財産分与の対象とならない点を押さえておきましょう。

不動産に関して、夫婦の一方が結婚前に貯めた貯金で購入した場合や夫婦の一方の親族から経済的援助を受けて購入した場合は、財産分与の対象外です。

マイナスの財産の取り扱い

財産分与を行う際には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金)も夫婦共同の債務として取り扱います。

例えば、住宅ローンや教育ローンの残債が代表的です。
ほかにも、日常生活費を決済しているクレジットカードの未決済分や水道光熱費なども、夫婦でそれぞれ負担します。
マイナスの財産がある場合は、プラスの財産から差し引いたうえで残ったプラスの財産を分けることになります。

ただし、夫婦のどちらかがギャンブルや浪費などで個人的に作った借金は、財産分与の対象とはなりません。
自分の責任で負った借金は婚姻生活とは関係ないため、自分の責任で返済する必要があります。

離婚時に家を財産分与する方法

財産分与の対象に家が含まれる場合、どのように分けるべきか状況に応じて検討しなければなりません。
家は物理的に分けられないため、分与が難しい特徴がある点に留意しましょう。

以下で、家を財産分与する方法を解説します。

家を売却して現金化してから分ける

離婚したあと、夫婦のいずれも現在の家に住まない場合は現金化したうえで公平に分ける方法があります。
現金化したうえで分け合えば、公平感を保ちつつお互い新生活に向けた資金を用意できるでしょう。

ただし、家を売り出したとしても、実際に買主様が見つかるまで長期化する可能性があります。
場合によっては売却期間が1年以上にわたるケースがあるため、スムーズに現金化できないケースもあり得ます。

なお、現金化してから分ける場合は、住宅ローンの有無にも気をつけなければなりません。
住宅ローンが残っている場合は、売却代金と残債を確認したうえで、どのような選択をするか考える必要があります。

売却代金で住宅ローンを完済できる(アンダーローン)の場合

住宅ローンがある家を売却するとき、残債よりも売却金額が高い「アンダーローン」の状態であれば、住宅ローンを完済したあとのお金を分ければ問題ありません。

例えば、家が3,000万円で売却でき住宅ローンの残債が2,000万円の場合、1,000万円を二人で分け合います(実際には、仲介手数料をはじめとした売却に伴う諸費用がかかります)。

家を売却すれば、離婚後に住宅ローンの支払いを続ける必要がなくなります。夫婦の双方が納得しやすく、わかりやすい方法といえるでしょう。

売却代金で住宅ローンを完済できない(オーバーローン)の場合

売却代金よりも住宅ローンの残債が多い「オーバーローン」の場合は、不足分を預貯金から出してローンを全額返済しなければなりません。

住宅ローンがある不動産には抵当権が設定されており、抵当権が設定されている不動産は、一般的に買主様が見つかりません。

抵当権とは、債権者(お金を貸している人)が担保となる不動産に設定する権利です。
債務者(お金を借りている人)が債務不履行となったとき、担保となっている不動産を売却して優先的に弁済を受けられます。

つまり抵当権が設定されている不動産を購入しても、いつ所有権を失うかわからないため、買主様が現れにくいのです。
抵当権を抹消するにはローンを完済する必要があるため、預貯金を取り崩す必要があります。

手元の預貯金が不十分で、売却代金とあわせてもローンを完済できない場合、売りたくても売れない状況になりかねません。
この場合、離婚する場合でも住宅ローンの返済を継続する必要があります。

以下記事では、抵当権の概要から抹消手続きまでの流れを解説しています。

抵当権とは?概要から設定のタイミング、抹消手続きまでをわかりやすく解説

一方が住み続けて一方は現金を受け取る

夫婦の一方が、現在の家に住み続けるというケースもあるでしょう。
例えば、子どもがいて転校させたくなかったり、仕事の関係で転居が難しかったりする場合などが挙げられます。

この場合、夫婦の一方が今の家に住み続けて、もう一方が現金を受け取ってバランスを取る方法があります。

具体的には、不動産鑑定士に不動産の価格を調査してもらい、住み続ける方が住まない方に不動産価格の半分を渡す流れです。

例えば、家の価格が3,000万円と評価された場合、家に住み続ける方が1,500万円を渡すことになります。
家の価値によっては、住み続ける方が多額の現金を用意しなければならない点に注意が必要です。

住宅ローンの債務者が住み続ける場合

住宅ローンの債務者が住み続ける場合は、契約どおりに返済を続ければ問題ありません。

夫婦の一方が連帯保証人になっている場合、連帯保証人を変更する手続きが必要です。
ただし、金融機関からすると連帯保証人の変更は貸したお金を回収できなくなるリスクに影響するため、希望どおりに変更できるとは限りません。

多くの場合、新たな連帯保証人を立てることを求められます。
新しく設定する連帯保証人の返済能力や住宅ローンの残債次第では、連帯保証人の変更が認められない可能性があるため注意しましょう。

住宅ローンの債務者でない方が住み続ける場合

住宅ローンの債務者でない方が住み続ける場合でも、債務者である方(住んでいない方)が返済する必要があります。

住み続ける方としては、住宅ローンの返済が滞ると家が競売にかけられ、住居を失ってしまう恐れがあります。
住居を失ってしまう事態を避けるためにも、離婚する際に住宅ローンに関する公正証書を作成しておくとよいでしょう。

例えば、債務者である方が返済を滞った場合に、住み続ける方がいったん住宅ローンの返済をした上で返済額と同額を債務者へ請求できるという取決めをしておけば、いったんは住宅ローンの負担をしなければいけませんが同額の支払いを後日求めることができます。

もし返済が滞った場合でも、公正証書で住宅ローンに関する条件を定めておけば、内容によって金銭の支払いについて債務者への強制執行が可能になります。
住居を失うリスクを軽減できるでしょう。

ペアローンの場合

夫婦がペアローンを組んでいる場合は、新たに住宅ローンに借り換えるケースが一般的です。

「ペアローンから一方のローンに契約内容を変更したい」と考えても、当初の契約内容とは条件が異なるため、応じてもらえないでしょう。
金融機関からすると、二人分の返済能力を評価してペアローンを設定しており、返済者が一人になるとリスクが大きくなるためです。

住宅ローンの借り換えができない場合、住み続ける方と出て行く方の双方が、契約どおりに返済を続けなければなりません。

また、ペアローンでは夫婦の双方がそれぞれの連帯保証人となるのが一般的です。
一方が滞納すると、もう一方が返済負担を負う必要があるため、トラブルに発展しやすいでしょう。

離婚時の不動産売却の査定・相談なら三菱地所の住まいリレー

婚姻期間中に築いた財産は、財産分与の対象となります。
預貯金や有価証券だけでなく、家も財産分与の対象となる点に留意しましょう。

家を財産分与する方法として、家を売却して現金化してから分ける方法や、一方が住み続けてもう一方が現金を受け取る方法があります。
家の売却金額や住宅ローンの残債に応じて、最適な方法は異なるため、判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。

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この記事を監修した専門家

古関 俊祐

弁護士 古関 俊祐
弁護士法人HAL代表弁護士。
地元である東京都葛飾区の新小岩にて新小岩法律事務所を開設後、弁護士法人HALを設立し秋葉原と新小岩にオフィスを構えて活動。
消費者金融、銀行ローン各社との債務整理、過払金請求事件を多数取り扱い、多くの依頼者からの相談を受けています。
また、債務整理案件だけでなく、保険や不動産など財産にまつわる問題、離婚や相続など家庭内の問題など、個人の生活において避けては通れない様々な問題について手広く対応しています。
分かりやすく、人当たりの良い弁護士になることを目標とし、日々業務に取り組んでまいります。

掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。

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