不動産用語集
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お住み替えコラム
2024.02.13
住宅の購入は、人生の中でも極めて高い買い物のひとつです。数千万円ほどの費用が必要なため、多くの方が住宅ローンを利用して購入します。
住宅ローンは、住宅を取得する際に利用できるローンです。民間の金融機関が提供する住宅ローンのほかに、公的融資や協調融資(フラット35)があります。
この記事では、住宅ローンの仕組みや金利、審査内容のほか、借りるまでの流れをわかりやすく解説します。
利用の流れや必要書類、審査についても説明するので、住宅の購入を考えている方はぜひ参考にしてください。
住宅ローンとは、住宅を取得する際に利用できるローンです。金融機関から借り入れし、長期間にわたって分割で返済する仕組みです。
新たに住宅を購入するときだけでなく、リフォームや借り換えにも利用できます。
基本的に、申し込み者本人または親族が住む住宅の取得資金にのみ利用でき、第三者に賃貸する目的で取得する物件や店舗、事務所には利用できません。
また、住宅ローンに限らず、借り入れをすると利息が発生します。利息とは、借りたお金の使用料として貸主(金融機関)に支払うお金です。ただし、住宅ローンの金利(元本に対する利息の割合)は、使い道が限定されない無担保ローンと比べて低く設定されています。
住宅ローンは、提供先によって大きく3つに分けられます。
それぞれ詳しく解説します。
銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫、JAなどの民間金融機関が独自に提供する住宅ローンです。
金融機関所定の条件を満たした場合に申し込みできます。収入や勤続年数に制限を設けている金融機関もあるので、事前に確認しましょう。
金利や手数料は、金融機関によって異なります。また、銀行のその他のサービスを利用しているなどの条件を満たすと、金利の優遇を受けられる、ポイントが貯まるなど、各銀行独自の特典を受けられる可能性があります。
なお、民間の金融機関が扱う住宅ローンを契約する際は、基本的に団体信用生命保険への加入が必要です。団体信用生命保険とは、契約者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が住宅ローンの残債に充てられる保険です。
公的機関が扱う住宅ローンのことで、「財形住宅融資」や「自治体融資」が該当します。
「財形住宅融資」とは、財形貯蓄を1年以上続けており、貯蓄残高が50万円以上あるなどの要件を満たす方が利用できる住宅ローンです。財形貯蓄を導入していない企業の従業員や、個人事業主、フリーランスの方は利用できません。
なお、財形貯蓄は給与からの天引きで積み立てられる貯蓄のことで、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3つがあります。
財形住宅融資の金利タイプは、返済開始から終了までの全期間、5年ごとに適用金利を見直す「5年間固定金利制」です。また、融資限度額は財形貯蓄残高の10倍の額(最高4,000万円)です。ただし、住宅取得価額の90%が限度となります。
一方、「自治体融資」は、都道府県や市町村が申し込みの窓口となる住宅ローンです。
金融機関と提携して一般的な住宅ローンよりも有利な条件で融資をあっせんする制度や、住宅ローンの利息の一部を補助する「利子補給制度」など、自治体によって制度が異なります。
「その自治体に住んでいる勤労者である」、「所得が一定以下である」など、自治体が定める要件を満たす場合に利用できます。
フラット35は、民間の金融機関と住宅支援機構が提携して提供する長期固定金利住宅ローンです。金利や手数料は金融機関ごとに設定されています。
借り入れ期間は15年(本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上35年以内です※1。
フラット35は、民間金融機関の住宅ローンと比べて、比較的申し込みできる方の幅が広い傾向があります。申し込めるのは、以下の要件を満たす方です。
また、原則として、すべての借り入れに関して総返済負担率が30%(年収400万円以上の場合は35%)以下の方が対象となります※2。
また、民間の金融機関が扱う住宅ローンでは、団体信用生命保険への加入が必須ですが、フラット35では任意です。したがって、健康上の理由で民間金融機関の住宅ローンに加入できない場合も契約できる可能性があります。
※1 「80歳-申し込み時の年齢(1年未満切上げ)」と比較して短いほうが上限です。
※2 総返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合です。
住宅ローンの金利タイプは、大きく固定金利(全期間固定金利型)と変動金利の2つに区分されます。変動金利にはさらに、変動金利型と固定金利期間選択型の2つがあります。
住宅ローンは一般的に返済が長期にわたるため、金利タイプの違いを理解し、現在の金利の状況やライフプランに合ったものを選びましょう。
なお、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2023年4月)によると、住宅ローン利用者の72.3%が変動金利型を選択しています。
金利タイプ | 利用した方の割合 |
---|---|
変動金利型 | 72.3% |
固定金利期間選択型 | 18.3% |
全期間固定金利型 | 9.3% |
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」
超低金利が続いているため、多くの方が変動金利型を選んでいますが、注意点も理解しておく必要があります。3つの金利タイプと選び方を以下で詳しく解説します。
全期間固定金利型は、借り入れ期間中、金利が変わらないタイプです。
市場金利が上昇しても借り入れ時の金利のまま変わらないため、返済計画を立てやすいというメリットがあります。
一方、デメリットは、市場金利が下がっても返済額が下がらないことです。また、変動金利型と比べて金利が高めに設定されています。
例えば、子どもが小さく、今後教育費の負担が大きくなる家庭や、収入の変動が大きく金利上昇リスクに対応するのが難しい方は、全期間固定金利型を選ぶと安心でしょう。
固定金利期間選択型は、一定期間、金利が固定されるタイプです。
固定金利が適用される期間は、2年・3年・5年・7年・10年など金融機関によって異なります。一定期間経過後は、その時点の金利でその後の金利タイプを固定金利選択型、変動金利型から選択できる仕組みです。一般的に、固定金利期間が短いほど金利が低くなります。
固定金利期間選択型のメリットは、固定金利期間中、市場金利が上昇しても返済額が変わらないことです。一方、固定金利終了後の返済額は、借り入れ時点では確定しません。
「5年後、共働きに戻るまでは家計に余裕がない」など、一定期間の金利変動リスクを避けたい方は、固定金利期間選択型を検討するとよいでしょう。
変動金利型は、金利情勢の変化に応じて金利が変動するタイプです。半年ごとに金利が見直されます。
変動金利型のメリットは、市場金利が下がると、毎月の返済額も少なくなることです。また、通常、変動金利型の金利は固定金利型よりも低く設定されています。
一方、借り入れ後に市場金利があがると、返済額が増えます。ただし、毎回の返済額は5年ごとに見直されるため、すぐに家計に影響するわけではありません。返済額が増える場合、元の返済額の1.25倍が上限となります。
変動金利型は、未払利息が発生する可能性がある点にも注意が必要です。金利が上昇すると、利息部分が毎月の返済額を上回り、ローン残高が減らなくなる場合があります※3。
「共働きで収入が多い」、「子どもがある程度成長して教育費の負担が重くない」などで家計に余裕があり、返済額が増えても問題なく返済できる場合は、変動金利型が選択肢になるでしょう。
※3 返済額を上回った部分の金額を未払利息といいます。
住宅ローンを利用するには、金融機関の審査に通過する必要があります。審査は、事前審査と本審査の2段階で実施されます。
事前審査とは、本審査の前に実施される簡易的な審査です。申し込み者本人の年収や借り入れ希望額などの情報をもとに、滞りなく返済できる能力があるかどうかが簡易的に判断されます。
一方、本審査は、事前審査の通過後に実施される正式な審査です。本審査に通過すると、ご契約手続きへと進みます。
国土交通省の「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、住宅ローンの審査では、主に以下の項目がみられます。
※上記は、9割以上の金融機関が審査項目と回答した項目です。
ただし、住宅ローンの審査項目や基準は公表されておらず、明確に把握することはできません。
民間の金融機関が扱う住宅ローンを借りるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。
それぞれ順番に解説します。
金融機関所定の情報を申告し、事前審査の申し込み手続きを行います。年収が確認できる書類や物件に関する資料を用意したうえで手続きしましょう。
多くの場合、事前審査の申し込みはインターネットで手続きが可能です。金融機関によって異なりますが、結果は数日~1週間程度で通知されるのが一般的です。
事前審査の通過後、必要書類を用意したうえで本審査(正式審査)の申し込みを行います。本審査の申し込みに際して、団体信用生命保険の申し込み手続きも必要です。
本審査は、事前審査よりも日数がかかる傾向があります。10日~2週間程度かかるケースが多く、金融機関によっては1ヶ月以上かかる場合もあります。
本審査通過後、融資内容や条件を確認し、問題がなければ契約手続きに進みましょう。金融機関によっては、自宅にいながら電子契約できます。電子契約の場合、収入印紙代がかかりません。ただし、多くの場合、別途電子契約を利用するための手数料がかかります。
金融機関が電子契約に対応しているか、電子契約の利用に手数料がかかるのかを事前に確認しておきましょう。
住宅の引き渡し当日に融資が実行され、借り入れ額が申し込み者の銀行口座に振り込まれます。融資実行と同時に住宅の残代金や諸費用の精算を行い、引き渡しとなるのが一般的です。多くの場合、当事者や不動産仲介会社、司法書士などが集まって決済します(立会決済)。
融資実行後、司法書士が登記手続きの準備が整ったことを確認し、同日に所有権移転の登記、抵当権※4設定の登記を行います。以上ですべての手続きが完了です。
※4 抵当権とは、債務者が返済できなくなった場合に、担保不動産を売却した代金から弁済を受けられる権利です。住宅ローンを利用する際、金融機関が担保不動産に抵当権を設定します。抵当権については、下記でご紹介しています。
住宅ローンの審査に必要な書類は、大きく「本人確認書類」「収入関連書類」「物件関連書類」の3種類です。
区分 | 必要書類の例 |
---|---|
本人確認書類 |
|
収入関連書類 |
|
物件関連書類 |
|
ただし、必要な書類は、物件の種類や契約形態によるほか、会社員や公務員の方、確定申告をしている方でも異なります。
また、事前審査の時点で提出する書類も金融機関によって異なるため、事前に確認しましょう。
住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が受けられます。
13年間(既存住宅および増改築は10年間)、「年末時点での住宅ローン残高の0.7%」が控除され、住宅ローンの返済負担を軽減できます※5。また、所得税で控除しきれなかった場合は、住民税から控除される仕組みです。
2022年に控除率が1%から0.7%に引き下げられた点には注意が必要ですが、13年間(既存住宅および増改築は10年間)にわたって控除が受けられるため、家計の負担を大きく軽減できるでしょう
なお、住宅ローン控除を受けるには、「住宅取得日から6ヶ月以内に住み始めている」などの要件を満たす必要があります。 また、住宅ローン控除を受ける初年度は、確定申告の手続きが必要です。
※5 2024年1月1日から2025年12月31日までに居住し始めた場合の控除率、控除期間です。
団体信用生命保険とは、契約者が死亡または高度障害状態になったときに、保険金から住宅ローンを返済する保険です。
住宅ローンは通常、長期間にわたって返済していきます。団体信用生命保険に加入していなかった場合、契約者が返済期間中に病気や予期せぬ事故で亡くなってしまうと、遺された家族が住宅ローンを返済していく必要があります。
団体信用生命保険に加入することで、契約者に万一のことがあったときに、家族が住宅ローンの返済に追われることなく安心して自宅に住み続けられます。つまり、住宅ローンの団体信用生命保険は、万一のことがあったときの家族の経済的な負担を軽減するための重要な仕組みです。
保障内容や加入条件は、金融機関によって異なります。また、団体信用生命保険に加入するには、健康状態を告知し、保険会社の審査を受ける必要があります。健康状態によっては加入できない場合があることを知っておきましょう。
住宅ローンは、住宅を取得する際に利用できるローンです。住宅の購入には、数千万円の費用がかかります。住宅ローンを利用することで長期にわたる返済が可能となり、一括での購入が難しい場合も希望する住宅を購入できる可能性があります。
また、13年間(既存住宅および増改築は10年間)にわたって住宅ローン控除が受けられることも住宅ローンのメリットです。住宅ローンを組む際は、基本的に団体信用生命保険に加入するため、契約者に万一のことがあった際にも備えられます。
三菱地所の住まいリレーでは、豊富な実績をもとに、不動産のご売却やご購入のお手伝いを行っています。不動産に関する悩みや不安を軽減し、安心して検討や手続きを進められるよう、お客様のお考えやご要望をお伺いするご相談のプロセスを大切にしています。
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