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耐震等級とは?家づくりや家探しで知っておくべき目安や1・2・3の違いを解説

家づくりや物件探しを始めると、耐震等級の文字をよく目にすると思います。営業担当から「耐震等級3がおすすめです」と聞き、等級1や2では不安なのか、費用を上乗せしてまで選ぶ必要があるのかと迷う方もいらっしゃるでしょう。

耐震等級は、地震に対する建物の強さを1から3で示した指標で、耐震性だけでなく地震保険料や住宅ローンの金利が変わることもあります。

この記事では、耐震等級の定義や等級ごとの違い、高い等級を選ぶメリットと注意点を解説します。

耐震等級とは?

耐震等級とは、地震に対する住まいの強さを数字で表したものです。まずは、耐震等級の定義や耐震基準との違いを解説します。

耐震等級の定義

耐震等級とは、地震に対する建物の強さを1から3の3つに分けて示した指標です。数字が大きいほど地震に強く、等級3がもっとも高い評価となります。

耐震等級は、2000年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく住宅性能表示制度のひとつです。それまで、建物の地震への強さは、図面や構造計算書を読める専門家しか判断できませんでした。そこで国が、誰でも住宅の性能を比べられる共通の指標を用意したのです。

耐震等級を判定するのは、国に登録された第三者の評価機関です。そのため、売り主やハウスメーカーの自己申告とは違い、中立的で信頼度が高い評価基準となっています。

耐震等級が注目されている理由

耐震等級に注目が集まっている理由は、震度7クラスの大きな地震が各地で相次いでいるためです。2016年4月の平成28年熊本地震では熊本県益城町で震度7を2度観測。2024年1月の能登半島地震、2026年7月の令和8年熊本地震でも震度7が観測されています。

こうした被害を受け、耐震の考え方では、「倒れないか」とあわせて「地震のあとも住み続けられるか」も重視されるようになりました。国土交通省の調査では、益城町中心部で耐震等級3を取得していた木造住宅16棟のうち14棟が無被害、残る2棟も損傷は軽微であったと発表しています。

このように、地震被害が多い日本において、耐震等級は家づくりや物件探しの比較軸として定着しています。

参考:国土交通省「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」

耐震基準と耐震等級の違い

耐震基準と耐震等級の大きな違いは、守るべき最低ラインか、あるいはそこに上乗せした性能かという点です。どちらも地震への強さを表していますが、根拠となる法律も取得の義務も異なります。

主な違いは以下の比較表を参考にしてください。

比較項目耐震基準耐震等級
法律建築基準法品確法
取得の義務必須(すべての建物が対象)任意(希望する建物のみ)
基準
  • 倒壊を防ぎ人の命を守ること
  • 建物に重大な損傷が残ることは許容
  • 地震後もそのまま住み続けられること
  • 建物の損傷を抑えること
  • (どちらも耐震等級2以上)
指標旧耐震基準・新耐震基準耐震等級1・2・3
制度の開始時期1981年6月(新耐震基準)2000年(品確法)

それぞれの中身を具体的に見てみましょう。

耐震基準は建築基準法で定められた最低ライン

耐震基準は、日本で建物を建てるときに必ず守るべき法律上の最低ラインです。建築基準法で定められており、満たさなければ建築の許可はおりません。

現在の基準のベースとなっているのは、1981年(昭和56年)6月に改正された新耐震基準です。震度6強から7程度の大地震でも建物が倒れず、中にいる人の命を守ることを目的としています。

ただし、耐震基準で守られるのは人の命であって、建物が無傷で残るかは別の話です。地震による倒壊を免れたとしても、大きな損傷が残り住み続けられなくなる可能性があります。

耐震等級は性能の高さを評価する指標

耐震基準をクリアしたうえで、どれだけ地震に強いかを証明するのが耐震等級です。命が守られるかだけでなく、大地震のあとも住み続けられるか、繰り返す余震に耐えられるかまでを見据えた指標となっています。

平成28年熊本地震では、1度目の揺れで柱や壁が傷んだ家が2度目の揺れで倒れる例も確認されました。前述の益城町での事例を踏まえれば、耐震性の余力を数字で確認できる点が、耐震等級を取得する大きな意味といえるでしょう。

耐震等級1・2・3の強さの違いと目安

耐震等級は、数百年に一度とされる大地震にどれだけ耐えられるかを基準に、1から3の3つに分けられています。どの等級も震度6強から7の揺れでも倒壊しない強度があり、そこにどれだけ耐震性を上乗せするかで等級が変わります。

ここでは、3つの等級それぞれの目安と、身近な建物の例、実際の地震で確認された事例をご紹介します。

耐震等級1

耐震等級1は、建築基準法が求める水準と同じ耐震性を備えています。数百年に一度とされる震度6強から7の揺れを受けても倒壊・崩壊しない強度が目安です。

耐震等級1の身近な建物には、一般的な建売住宅や多くの分譲マンションが含まれます。耐震等級の表示がない住宅でも、現在の耐震基準で建てられていれば等級1に当たる耐震性を備えています。

平成28年熊本地震の調査では、耐震等級1レベルの木造住宅301棟のうち181棟(60.1%)が無被害でした。一方で、7棟(2.3%)が倒壊、12棟(4%)が大破しています。

参考:国土交通省「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」

耐震等級2

耐震等級2は、等級1で想定する地震の1.25倍の力を受けても倒壊・崩壊しない強さであることを指します。壁の量や配置、床や接合部を強化することで、大きな揺れを受けたときの損傷を軽減する仕組みです。

身近な例としては、学校や病院など、災害時に避難所となる建物が挙げられます。住宅では、良好な状態で長く住み続けるために必要な一定の基準を満たした住宅であることを行政が認める「長期優良住宅」の認定を受ける条件の1つとして、耐震等級2以上であることが定められています。

耐震等級3

耐震等級3は、等級1で想定する地震の1.5倍の力に耐えられる耐震性を備えていることを指します。消防署や警察署など、災害のあとも動き続ける必要がある建物が耐震等級3に当たります。

前述のとおり、平成28年熊本地震では、益城町中心部の調査で、等級3の木造住宅16棟のうち14棟(87.5%)が無被害となり、残る2棟も損傷は軽微でした。一方、耐震等級1レベルで無被害だった住宅は60.1%とされており、被害の差は決して小さくないことがわかります。

参考:国土交通省「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」

耐震等級が高い物件を選ぶメリット

ここからは、耐震等級が高い物件を購入することで得られるメリットを3つご紹介します。

地震保険の保険料が割引になる

耐震等級を取得している住宅は、地震保険の保険料が割引になります。割引率は耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%と定められており、等級が上がるほど負担が軽減されます。

例えば、地震保険料が年3万円の住宅であれば、耐震等級3の割引で1万5,000円まで下がります。35年間払い続けると、その差は52万5,000円です。地震保険は住み続ける限り払い続ける費用のため、生涯コストで見ると差はさらに大きくなるでしょう。

参考:日本損害保険協会「そうだったんだ!! 地震保険」

住宅ローンの金利優遇が受けられる

全期間固定金利のフラット35を利用するのであれば、耐震等級2以上で一定期間の金利引き下げを受けられます。新築住宅の場合、耐震等級3は金利Aプラン、耐震等級2以上は金利Bプランの対象で、引き下げ幅はAプランが当初5年間で年0.5%、Bプランが年0.25%となっています(※)。

3,000万円を金利2.0%、35年返済で借りたケースで比べてみましょう。引き下げがなければ総返済額は約4,173万円ですが、金利Aプランなら約4,093万円まで下がります。その差は約80万円で、当初5年間の毎月の返済額も約7,000円軽くなる計算です。

※金利引下げ内容、適用要件、受付期間等は変更または終了される場合があります。最新の情報は住宅金融支援機構のホームページ等でご確認ください。

参考:住宅金融支援機構「【フラット35】S プランと技術基準」

売却する際のアピールポイントになる

耐震等級3を証明できる住宅は、将来売却する際にアピールポイントになります。そのため、相場より高く売れたり、早期売却につながりやすかったりする傾向にあります。耐震性は見た目だけで判断できるものではありませんが、第三者機関のお墨付きがあれば購入希望者は安心して検討を進められるのです。

さらに、耐震等級2以上の中古住宅であればフラット35Sの金利Aプランを使えるため、住宅ローンを組む際に金利の引き下げを受けられます。毎月の返済が軽くなるとわかれば、購入を前向きに検討する方も増えるでしょう。

耐震等級が高い物件を選ぶ際の注意点

耐震等級の高い物件には、費用や設計の面で押さえておくべきポイントがあります。ここでは3つの注意点をご紹介します。

物件価格(または建築・改修費用)が高くなる

耐震等級3の住宅は、柱や耐力壁を増やして基礎や接合部を強化するため、その分だけ物件価格が高くなります。また、住宅性能評価書を取得・審査する費用として10万~20万円程度が別にかかります。

ただし、地震保険の割引と住宅ローンの金利引き下げを合わせれば総額100万円を超える軽減も見込めるため、長い目で検討することが重要です。

壁や柱が増えるため、間取りや窓の大きさに制限が出やすい

耐震等級が高い物件ほど、間取りの自由度は下がってしまいます。地震の力を受け止める耐力壁を増やし、上下階でバランスよく配置しなければならないためです。

これにより、例えば、柱や壁で仕切られていない広いLDKや壁一面を占めるような大きな窓は構造上難しくなります。吹き抜けやスキップフロアも、床が地震の力を伝える役目を担っているため計画に制限がかかることがあるでしょう。

とはいえ、打ち合わせの早い時期に耐震等級の希望を伝えておけば、開放感と耐震性を両立できるかもしれません。間取りが固まってから等級を上げようとすると壁の追加などで当初の間取り案から大きく変わってしまう可能性があるため注意が必要です。

中古物件探しで「等級3」に限定すると、選択肢が非常に狭まる

住宅性能表示制度が始まったのは2000年のため、中古住宅を探す際に耐震等級3で絞り込むと、候補はほとんど残らない可能性があります。

耐震性を重視して中古物件を探すのであれば、耐震等級だけに絞らず、建てられた時期も確認してみましょう。実際、平成28年熊本地震後の調査では、2000年6月以降に建てられた木造住宅の倒壊率は2.2%となっており、1981年5月以前の28.2%とは大きな差がありました。

参考: 国土交通省「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」

耐震等級に関するよくあるQ&A

最後に、耐震等級についてよくある質問をまとめました。

新築や中古物件の耐震等級は、どうすれば確認できますか?

耐震等級は、登録住宅性能評価機関が発行する住宅性能評価書で確認できます。設計段階の評価と完成後の検査により、それぞれ書面が交付されます。

ただし、パンフレットや広告に書かれた「耐震等級3相当」の表記には注意が必要です。これは施工会社が独自に判断した性能で、第三者の審査を受けていない場合もあり、地震保険の割引やフラット35Sの対象にはなりません。物件を検討する際は、住宅性能評価書があるかを不動産会社に確認しましょう。

地震対策で聞く「耐震」「免震」「制震」は何が違いますか?

この3つは、地震に対する構造のアプローチが異なります。耐震は柱や壁を強くして揺れに耐える構造、免震は建物と地盤の間に装置を入れて揺れそのものを建物へ伝えにくくする構造、制震はダンパーなどで揺れのエネルギーを吸収して建物の変形を抑える方法です。

耐震等級1の家は、地震が来たら危ないですか?

耐震等級1でも、ただちに危険というわけではありません。新耐震基準を満たしていれば、震度6強から7の大地震を1度受けても倒壊しない強度が確保されています。ただし、繰り返しの揺れで損傷が積み重なる可能性はあります。

家づくりや家探しの際は、予算や間取りなどの希望に合わせて総合的に判断することが大切です。

まとめ

耐震等級は、品確法に基づいて地震に対する建物の強さを1から3の等級で示した指標です。等級が上がるほど地震保険料が割引になり、フラット35Sの金利引き下げも受けられる一方、書類作成や審査で費用が上乗せされ、間取りの自由度も下がる傾向にあります。

耐震等級の高い家を選びたい方は、住む期間や予算、間取りの希望を整理したうえで不動産会社や施工会社に相談してみましょう。

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