お住み替えコラム

2024.03.28

固定資産税の計算方法は?減税措置やシミュレーションも紹介

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土地や家屋などの固定資産を所有すると、毎年固定資産税がかかります。
住宅の購入を検討しており、毎年どの程度の固定資産税がかかるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。数十万円の固定資産税がかかる場合もあるため、事前にある程度把握し、備えておくことが大切です。
この記事では、固定資産税の概要や計算方法、支払い方法などを解説します。減税措置や計算シミュレーションについても紹介するので、住宅の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

  1. 固定資産税とは?
  2. 固定資産税の計算方法
  3. 固定資産税の減税措置
  4. 固定資産税の計算シミュレーション
  5. 固定資産税の納付方法
  6. まとめ

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産を所有している方に課せられる税金(地方税)です。 毎年1月1日時点で固定資産を所有している方が市町村(東京23区内は東京都)に納めます。

固定資産税は、使い道が決められていない「普通税」であり、住民の生活を支えるための大切な財源です。公共施設の整備や行政サービスなど、さまざまな使途の費用に充てられます。

固定資産税の納税通知書は毎年4~6月ごろ、固定資産の所在する市町村(東京23区は東京都)から納税義務者に届きます。 納税通知書とは、課税標準額(税額の算出基礎となる金額)や税額、納期限などを知らせる書類です。

また、固定資産税は年4回に分けて納めますが、納期限は市町村によって異なります。1年分をまとめて納めることも可能です。

固定資産税がかかる固定資産の種類

固定資産税の課税対象となる固定資産は、土地、家屋、償却資産(事業の用に供することができる土地、家屋以外の資産)の3つです。具体的には、以下のようなものが該当します。

固定資産の種類 具体例
土地
  • 田んぼ
  • 宅地
  • 池沼
  • 山林
  • 温泉などの鉱泉地
  • 牧場
  • 原野などの土地
家屋
  • 住宅
  • お店
  • 工場
  • 倉庫その他の建物
償却資産
  • 構築物(フェンスや看板など)
  • 飛行機
  • 大型特殊自動車
  • パソコン
  • コピー機
  • 陳列棚など

固定資産税の計算方法

固定資産税は、以下の計算式で算出します。

固定資産税額=課税標準額×標準税率(1.4%)

課税標準額は、固定資産の評価額をもとに決まる仕組みです。以下で固定資産税を計算する流れを詳しく解説します。

  • 固定資産税評価額を確認する
  • 固定資産税額を算出する

1. 固定資産税評価額を確認する

固定資産税額を計算する際のもとになる固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。

  • 固定資産税台帳を閲覧する
  • 納税通知書に同封または添付されている課税明細書を確認する

固定資産税評価額とは、市町村長が固定資産評価基準(総務大臣が定めた基準)によって決定する、土地、家屋の評価額(適正な時価)です。

3年に1度、評価替えが行われ、原則として基準年度(評価替えの年度)の評価額が3年間据え置かれます。

土地、家屋、償却資産の評価方法は、それぞれ以下のとおりです。

固定資産の種類 評価方法
土地 地目別(用途による分類)に、売買実例価格や路線価などをもとに計算する
家屋 再建築価格に「経年減点補正率」などを乗じて計算する※
償却資産 取得価格から経年劣化などによる減価分を差し引いて計算する

※再建築価格とは、評価対象となる家屋と同一のものを評価時点で新築する場合に必要となる建築費です。

※経年減点補正率とは、経年劣化による減価(価値が下がること)などを表したものです。

一般的に、土地の固定資産税評価額は購入価格の7割程度、建物の固定資産税評価額は建築費の6割程度が目安と言われています。

新築の場合は住宅完成後、市町村による固定資産税の評価調査が実施されたあとに固定資産税評価額が決まるので、担当の不動産会社などに問い合せるとよいでしょう。

2. 固定資産税額を算出する

次に、固定資産税評価額に税率を乗じ、固定資産税額を算出します。 土地と家屋で別々に計算し、合計した金額が固定資産税額です。

原則として「固定資産税評価額=課税標準額」ですが、土地の場合、特例措置や負担調整措置などの適用があれば適用後の額が課税標準額となります。

負担調整措置とは、税負担が急激に大きくならないよう課税標準額を徐々に本来の額に近付ける措置です。前年度の課税標準額が本年度の評価額に対してどの程度の水準まで達しているかを示す「負担水準」を算出し、課税標準額の引き上げや据え置き、引き下げを行います。

なお、課税標準額が一定未満の場合、固定資産税は課税されません。

固定資産の種類 課税標準額
土地 30万円未満
家屋 20万円未満
償却資産 150万円未満

また、固定資産税の標準税率は1.4%ですが、財政上必要な場合、市町村は1.4%と異なる税率を条例で定めることができます。市町村によっては税率が異なる場合があるため、ホームページなどで確認しましょう。

固定資産税の減税措置

固定資産税には、減税措置が設けられています。

  • 住宅用地の特例
  • 新築住宅の減額特例(一般住宅)
  • 新築住宅の減額特例(長期優良住宅)
  • 改修した住宅に対する特例

住宅用地の特例

住宅用地には、特例措置が設けられており、免責に応じて固定資産税(および都市計画税)の課税標準額が軽減されます※。 住宅用地とは、人が居住するための建物の敷地(住宅やマンションなど)です。 なお、この特例には適用期限が定められていません。

区分 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地(住宅用地で200㎡までの部分) 評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地(住宅用地で200㎡超の部分) 評価額の1/3 評価額の2/3

※都市計画税は、原則として市街化区域内に所在する土地、家屋に課される税金です。固定資産税とあわせて納めます。

新築住宅の減額特例(一般住宅)

2024年3月31日までに新築された住宅で床面積の要件を満たす場合は、一定の間、固定資産税が1/2に減額されます。減額される期間は3年間(マンションなどは5年間)です。

対象住宅は、床面積が50㎡(一戸建て以外の貸家は40㎡)~280㎡のものに限られます。また、家屋のうち居住部分の床面積120㎡までが減額の対象です。

なお、新築住宅特例の適用期限は、2024年度税制改正大綱にて2年間延長されることが発表されました。

新築住宅の減額特例(長期優良住宅)

2024年3月31日までに新築された住宅が「長期優良住宅」に該当する場合は、新築住宅の特例が適用される期間が5年間(マンションなどは7年間)に延長されます。

長期優良住宅とは、長期に使用するための構造や設備を備えた住宅です。 認定を受けるには、劣化対策、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性などにおいて一定の基準を満たす必要があります。

長期優良住宅に該当する場合、一般住宅と同様、床面積120㎡までの固定資産税額が1/2に減額されます。

なお、長期優良住宅についても、2024年度税制改正大綱にて適用期限の延長(2年)が発表されました。

改修した住宅に対する特例

2024年3月31日までに特例の対象となる改修を行った場合、翌年度分の固定資産税が減額されます。対象となる改修と特例措置の内容は以下のとおりです。

区分 特例措置の内容
省エネ改修 1/3が減額
バリアフリー改修 1/3が減額
耐震改修 1/2に減額
長期優良住宅化(耐震、省エネ)改修 2/3が減額

特例の適用を受けるには、それぞれ一定の要件を満たす必要があるため注意してください。

なお、新築住宅の減額と同様、適用期限の延長(2年間)が予定されています。

固定資産税の計算シミュレーション

実際に固定資産税がどの程度かかるのかイメージできない方に向けて、いくつかシミュレーションを紹介します。

  • 新築一戸建ての計算シミュレーション
  • 中古マンションの計算シミュレーション
  • 住宅が建っていない土地の計算シミュレーション

新築一戸建ての計算シミュレーション

新築の一戸建てを購入した場合の固定資産税を試算しましょう。条件は以下のとおりです。

  • 土地の評価額2,400万円
  • 家屋の評価額1,500万円
  • 土地の面積150㎡
  • 家屋の床面積100㎡
  • 前年に新築
  • 税率1.4%

最初に、土地の固定資産税額を算出します。

課税標準額=2,400万円×1/6=400万円
固定資産税額=400万円×1.4%=5.6万円

土地の面積が150㎡であるため、住宅用地の特例が適用され、小規模住宅用地として課税標準額が評価額の1/6に軽減されます。

次に、家屋の固定資産税額を計算しましょう。

課税標準額=1,500万円(評価額)
固定資産税額=1,500万円×1.4%×1/2=10.5万円

新築後3年度分は、新築住宅の減額特例の適用を受けられるため、固定資産税が1/2に減額されます。

土地と家屋の固定資産税額を合計すると、税額は16.1万円(5.6万円+10.5万円)です。

なお、新築で固定資産税評価額がまだわからない場合、土地は購入価格の7割程度、建物は建設費の6割程度の金額で概算しましょう。

※負担調整措置は考慮していません。

中古マンションの計算シミュレーション

次に、中古マンションの固定資産税をシミュレーションします。条件は以下のとおりです。

  • 土地の評価額600万円
  • 家屋の評価額1,500万円
  • 専有面積80㎡
  • 築10年
  • 税率1.4%

土地の固定資産税額は以下のように算出できます。

課税標準額=600万円×1/6=100万円
固定資産税額=100万円×1.4%=1.4万円

土地の面積が150㎡であるため、小規模住宅用地に該当し、課税標準額が評価額の1/6に軽減されます。

続いて、家屋の固定資産税額は以下のとおりです。

課税標準額=1,500万円(評価額)
固定資産税額:1,500万円×1.4%=21万円

土地と家屋の固定資産税額を合計すると、税額は22.4万円(1.4万円+21万円)です。

※負担調整措置は考慮していません。

住宅が建っていない土地の計算シミュレーション

最後に、住宅が建っていない土地の固定資産税をシミュレーションします。条件は以下のとおりです。

  • 土地の評価額(本年度)1,000万円
  • 前年度の課税標準額650万円

負担水準は、650万円÷1,000万円=0.65(65%)です※1。

非住宅用地の場合、前年度課税標準額が評価額の60~70%であれば、前年度課税標準額がそのまま本年度の課税標準額となります※2。 つまり、課税標準額は650万円です。

課税標準額をもとに固定資産税額を算出すると、650万円×1.4%=9.1万円となります。なお、住宅の敷地でないため、住宅用地の特例は適用されません。

※1負担水準は、「前年度課税標準額÷本年度評価額×100」で算出できます。

※2 住宅用地の場合は、負担水準が100%を超えるかどうかで課税標準額の引き上げ、据え置き、引き下げが決まります。一方、非住宅用地は、負担水準が70%超、60~70%、60%未満のいずれに該当するかで決まります。

固定資産税の納付方法

固定資産税の納付方法は複数あり、市町村によって異なります。 主な納付方法を紹介します。

  • 窓口での納付
  • 地方税お支払サイトを利用した納付
  • スマホ決済アプリによる納付
  • 口座振替による納付

窓口での納付

金融機関や市町村、市税事務所、コンビニエンスストアなどの窓口に納付書を持参して納付する方法です。 手数料なしで納付でき、その場で領収証を受け取れます。

なお、コンビニエンスストアで納付する場合は30万円が上限です。

また、Pay-easy(ぺイジー)対応の金融機関ATMでも納付できます※。

※ Pay-easy(ペイジー)は、税金や各種料金などを金融機関のインターネットバンキングやATMなどから支払えるサービスです。

地方税お支払サイトを利用した納付

2023年4月1日から、地方税お支払サイトを利用した納付が可能になりました。

地方税お支払サイトとは、納付書に記載されている「eL-QR」(二次元コード)を読み取る、または「eL番号」を入力することで地方税を納付できるサイトです。窓口に出向く手間なく、スマートフォンやパソコンから納付できます。

地方税お支払サイトで利用できる決済方法は、以下の4種類です。

  • クレジットカード
  • インターネットバンキング
  • ダイレクト納付※
  • ペイジー番号発行

※ダイレクト納付とは、事前に登録した金融機関口座から直接納付できる方法です。

クレジットカード納付の場合、納付額に応じて「F-REGI 公金支払い」サイトのシステム利用料がかかる点に注意してください。システム利用料は、「F-REGI 公金支払い」のサイトにて試算できます。

なお、地方税お支払サイトで納付した場合は領収証が発行されません。納付済みの確認は画面上で行いましょう。

スマホ決済アプリによる納付

スマホ決済アプリで納付書のバーコードまたは「eL-QR」(二次元コード)を読み取って納付する方法です。納付可能なスマホ決済アプリは、市町村によって異なります。

原則として手数料はかかりません。ただし、アプリによっては発生する場合があるため事前に確認しましょう 。一般的に、1回あたり30万円が上限です。

アプリによっては、ポイントを使って納付できる場合もあります。

口座振替による納付

金融機関の口座から自動的に引き落とされる納付方法です。 窓口に出向く手間がなく、納付忘れも防止できます。

ただし、口座振替で納付したい場合は、事前に申し込みが必要です。 手続きに日数がかかるため、納付期限に間に合うよう余裕をもって申し込みましょう。

また、市町村によって口座振替が可能な金融機関も異なるため、事前に確認してください。

まとめ

不動産を所有すると、固定資産税がかります。毎年数万円~数十万円を納める必要があるため、不動産の購入を検討する際はどの程度の金額になるのかシミュレーションしておきましょう。

また、居住用の土地や新築住宅などには減税措置があり、適用されるかどうかで固定資産税の額も大きく変わります。正しく理解しておきましょう。

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この記事を監修した専門家

宮川 真一

税理士 宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、コンサルティング、税務対応を行っています。
保有資格:税理士、CFP®

掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。

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