簡易耐火建築物|不動産用語集

簡易耐火建築物(かんいたいかけんちくぶつ)

建築基準法において、主要構造部(壁、柱、床、屋根階段)が、準耐火構造と同等の準耐火性能を有するための技術的基準に適合し、かつ、延焼の恐れのある開口部やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合の技術的基準としては、外壁を耐火構造とする方法(外壁耐火型)、または、主要構造部を不燃材料とする方法(不燃構造型)についての要件が定められている。

簡易型耐火建築物は、もともと建築基準の制度上、主要構造部が準耐火構造ではないが耐火性があると認められる建築物として扱われていたが、現在は準耐火建築物の類型の一つとされ、もはや法令上は独立に定義された用語ではない。しかし通称として使用されることがある。また、準耐火建築物の法令上の定義に即して、「ロ準耐」(建築基準法第2条第9号の3ロに該当する準耐火建築物という意味)といわれることもある。

用語解説

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

主要構造部

建築物の構造上、重要な役割を果たしている部分のこと。

建築基準法第2条5号では、主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」であると定義している。

ただし、構造上重要でない最下階の床、間仕切り用の壁、間柱、つけ柱、局所的な小階段、屋外階段などは主要構造部から除外されている。

小屋組や床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。

柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。

屋根

建物の上部に設ける覆い。屋根は、雨露、風雪、寒暑を防ぐために設けられ、建築構造の一部となる。

屋根の形には、二つの面が棟で山型に合わさる「切妻屋根」、山型の二面とその両端を斜めに切る二面で構成する「寄棟屋根」、傾斜した四つの面が頂点で合わさる「方形屋根(ほうぎょうやね)」、一つの傾斜面の「片流れ屋根」、水平面の「陸屋根(ろくやね)」、切妻屋根の両端に傾斜面を付加した「入母屋屋根(いりもややね)」などがある。

屋根材としては、粘土瓦、セメント瓦(プレスセメント瓦、コンクリート瓦)、スレート(化粧スレート、天然スレート)、金属(銅、トタン、ガルバリウム鋼板等)が用いられるほか、陸屋根の屋根材には、アスファルト、モルタル、防水シート等の防水材が使用される。また、古民家のなかには茅や藁を用いるものもある。

なお、屋根を仕上げることを「葺く」といい、屋根を「瓦葺」「スレート葺」「茅葺」などに分ける場合もある。

階段

昇り降りする段差のある通路。「きざはし」「梯子段」とも言う。建物の階を移動するための設備として造り付けるほか、傾斜の大きい道などにも設置される。

階段は、複数の平面を高低差をもって順次に連結した構造になっている。この構造において、隣り合う平面の高低差を「蹴上げ」、足を乗せる平面の奥行きを「踏面」、高い階段の途中に設ける広い平面部分を「踊り場」という。

建築基準では、住宅用の階段について、蹴上寸法を23cm以下(共同住宅の共用階段は22cm以下)、踏面寸法を15cm以上(同21cm以上))、幅員を75cm以上とすること、高さ4m以内ごとに踊り場を設けること、手すりを設けることを義務付けている。ただし、蹴上寸法と踏面寸法との関係や階段の斜度については特に決まりはない。

階段のかたちには、まっすぐに昇降するもの(直階段)のほか、踊り場で直角に向きを変えるもの(かね折れ階段)、踊り場で向きを正反対に変えるもの(折り返し階段)、らせん状に回りながら上り下りするもの(螺旋階段)などがある。

 

 

 

準耐火構造

建築基準法において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。

この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(おおむね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。

準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。

開口部

壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。

採光や換気のために建物の外壁などに設ける開口部。

一般に、ガラス板、ガラス板を固定する框(かまち)、窓枠、鍵・開閉器具等によって構成されている。開口面に、ガラス板ではなく、障子紙などを用いる窓もある。

窓の種類は、開閉の方法や設置のかたちによって分類される。開閉の方法には、屋外に向かって開く「開き窓」、横方向にスライドする「引き違い窓」、縦方向にスライドする「上げ下げ窓」、上端または下端を倒す「倒し窓」などがあるほか、固定し開閉しない「はめ殺し窓(FIX窓)」もある。設置のかたちとしては、屋根面から突出し垂直に設置する「屋根窓 (ドーマーウインドー)」、壁から外に突き出た「出窓」、床に接し大きく開く「掃き出し窓」などがある。

なお、建築基準は、居室には、採光及び換気のため、一定面積以上の窓等の開口部を設置しなければならないとしている。

防火戸

遮炎性能を有する戸のこと。火災発生時の延焼を防ぐ目的で設置される鉄製のドア等。

建築基準法上は、防火シャッターや耐熱性のガラスを用いたものも防火戸の一種としてされ、性能により「特定防火設備」としての防火戸と、それよりやや遮炎性能の低い「防火設備」としての防火戸に分けられる。

都市計画防火地域又は準防火地域と定められた地域等において、規模等一定の条件に合致する建築物等、防火性能のある構造が求められる場合においては、外壁の開口部等に防火設備または特定防火設備の性能を有するものとして国土交通大臣の定めた基準に適合する防火戸を設けなければならない。

 

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

耐火構造

建築基準法において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。

この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1~3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。

例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、原則として耐火構造である。

準耐火建築物

建築基準法において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合、準耐火性能を満たすというのは、

1.主要構造部が準耐火構造であること

2.準耐火構造と同等の準耐火性能を有するための技術的基準(準耐火性能を確保するための方法としては、外壁を耐火化する手法、または、主要構造部を不燃材料化する手法が認められていて、それぞれの要件が定められている)に適合すること

である。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた準防火地域内の一定の建築物は、準耐火建築物でなければならない。

ロ準耐

準耐火建築物の一つで、「建築基準法第2条9号の3ロ」に規定されている建築物のこと。

主要構造部が、準耐火構造と同等の準耐火性能を有すると同時に、延焼の恐れのある開口部を防火戸等とした建築物である。

具体的には、主要構造部を「不燃構造」または「外壁耐火構造」とし、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物のことである。

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