GX志向型住宅|不動産用語集

GX志向型住宅(じーえっくすしこうがたじゅうたく)

「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換である「GX(グリーントランスフォーメーション)」を推進するため、国土交通省および環境省は、ZEH水準をも大きく上回る省エネルギー住宅の建築を促進することとした。これを「GX志向型住宅」と呼び、一定の要件を満たすものについては、建築費等に対する補助などの予算措置を行なっている。

具体的には2024(令和6)年11月に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づき、同年12月に成立した令和6年度補正予算において、「子育てグリーン住宅支援事業」(国土交通省・環境省)が創設され、その一環として、GX志向型住宅の新築(注文住宅分譲住宅・賃貸住宅)等に対する予算措置が盛り込まれた。

GX志向型住宅として認められるためには、(1)断熱等性能等級6以上であること、(2)一次エネルギー消費量の削減率が再生可能エネルギーを除いて35%以上であること、(3)再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量は、100%以上が必要(ZEHは、断熱等性能等級5以上、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率20%)とされており、こうした住宅の新築に当たっては1戸当たり160万円が支給される。2024(令和6)年11月22日以降に建築着手された床面積50~240平方メートルの新築住宅が対象となる。本事業は、2025(令和7)年度予算においても、継続して措置された。

用語解説

省エネ基準適合住宅の義務化

新築住宅について省エネルギー基準への適合を義務化すること。2025年度から義務化することとされている。

建築物の省エネルギー化については、エネルギー基本計画(2021年10月)において、「住宅及び小規模建築物の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化する」とされ、また、社会資本整備審議会は、「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)」(2022年2月)において、「2025年度以降に新築される原則全ての建築物を対象に、現行の省エネ基準への適合を義務付ける」必要があるとした。

このような方針を受けて、2022年6月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が改正され、3年以内(2025年度)に、原則すべての新築住宅・非住宅について省エネルギー基準への適合を義務化することとされた。

2025年4月からは建築確認の手続きの中で適合性審査を行なうこととされており、基準に適合しない場合や必要な手続き・書面などの整備を怠った場合は、確認済証や検査済証が発行されない。また、基準については、風土への適合、居住スタイルの自由の確保など、住宅に求められる特性に配慮する必要がある。

なお、住宅以外の一定規模以上の建築物については、2017(平成29)年4月から、エネルギー消費性能基準への適合が義務化されている。

注文住宅

自ら工事を発注して建築する住宅。一般に戸建て住宅であって、デザイン、間取りなどを自分で決めることができるほか、建築途上で設計を変更するなど、建築過程に関与することができる。この場合、土地の手当ても自らが行なうことになる。

建築に当たっては、自らが建築主として建築確認を申請しなければならないが、通常は、設計や工事監理を建築士に委託する。また、木造の住宅で高さが13mを超える場合など一定のものの工事については、必ず建築士が設計・工事監理に当たらなければならないとされている。

注文住宅と対比されるのが「分譲住宅」で、分譲住宅は、販売事業者が住宅を建築し、居住者がそれを購入することとなる。

分譲

土地や建物を分割して譲渡すること。たとえば、「宅地分譲」は広い土地の一部を宅地として売り渡すこと、「分譲マンション」は一棟の建物及びその敷地を複数に区分して売り渡された住戸(区分所有している建物)である。

通常、分割した土地や建物の所有権を売買契約によって移転する方法で行なわれる。

断熱等性能等級

住宅性能表示制度における必須項目である「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」のうち、「外壁、窓等(これらをまとめて「外皮」という)を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度」を表す評価項目。

「外皮平均熱貫流率(「UA値」という。住宅内部から外皮を通じて外部に放出される熱量を外皮全体で平均した値。)を基準に、講じられている熱損失の削減対策の程度に応じ、併せて結露の発生を抑制するための対策の程度も加味した上で、

等級7:より著しい削減
等級6:著しい削減
等級5:より大きな削減
等級4:大きな削減(建築物エネルギー消費性能基準を定める省令(平成28年経済産業省・国土交通省令第1号)に定める基準相当程度)
等級3:一定程度の削減
等級2:小さな削減
等級1:その他

の7等級により評価するよう定められている。

また、既存住宅の性能表示の場合においては、断熱等の性能に大きく影響すると見込まれる劣化事象が認められないこと等を確認することとされている。

UA値および「冷房期の平均日射熱取得率(数値が小さいほど日射熱を取得しにくく、暑さを軽減)」については、最上位等級の場合のみ、数値を明示することができるとされる。

北海道等から沖縄等までの8地域に区分され、建設地の気候条件に合わせた評価を可能としている。

床面積

建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令第2条1項3号)。

なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。

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