保有水平耐力|不動産用語集
保有水平耐力(ほゆうすいへいたいりょく)
水平方向の外力に対する建築物の強さや抵抗力のこと。地震に際して、建築物が損傷したとしても倒壊しないことを目的として、一定の建築物の設計において考慮することが建築基準法上義務付けられている(建築基準法施行令第1款の2等)。
保有水平耐力は、建築物の材料強度によって国土交通大臣の定める方法(平成19年国土交通省告示第594号)に従い求められる。また、大規模地震時に崩壊しないために必要とされる水平耐力である「必要保有水平耐力」は、建築物の構造による減衰性や靭性、剛性率および偏心率及び各階に生ずる水平力の積として国土交通大臣が定める方法(昭和55年建設省告示第1792号)により計算され、保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることが求められる。
用語解説
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
偏心率
偏心とは中心からずれていることであり、建築物の重さの中心である重心と、抵抗力の中心である剛心が一致していれば建築物は破壊も倒壊もしにくいが、そうでない場合には、そのずれの分だけ、バランスが悪くなり、地震等の外力に対して脆弱になる。安全性を確保するためには、偏心率をできるだけ小さくすることが必要である。
建築基準法施行令第82条の6第2号ロでは、各階の偏心率が「15/100を超えないこと」としている。