特定建築物(環境衛生維持に関する〜)|不動産用語集

特定建築物(環境衛生維持に関する〜)(とくていけんちくぶつ(かんきょうえいせいいじにかんする~))

維持管理について環境衛生上特に配慮が必要な建築物。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づき、政令で、店舗、事務所、学校等の用途に利用される面積が3,000平方メートル以上(学校の場合は8,000平方メートル以上)の建築物が指定されている。

特定建築物の維持管理に権原がある者は、その建築物について、空気環境の調整、給排水の管理、清掃等に関する基準(建築物環境衛生管理基準)に従って維持管理しなければならない。また、建築物環境衛生管理技術者を選任して監督させ、基準に適合させるための意見を尊重することとされている。

そのほか、特定建築物に関しては、建築確認申請時に必要に応じて環境衛生上の措置について事前協議すること、建築物の使用開始の日から1月以内に特定建築物届を提出すること、一定の帳簿類を備え付けることが義務付けられている。

なお、建築基準法に基づき、敷地、構造および建築設備について定期的に調査し結果を報告しなければならない建築物も「特定建築物」というが、これは、環境衛生管理基準に従って管理しなければならない特定建築物とは異なる(特定建築物(定期報告が必要な~)」を参照)。

 

用語解説

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。

これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備

上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

建築確認

一定の建築物を建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。

確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。

建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。

建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。

なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。

なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。

ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。

1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

特定建築物(定期報告が必要な〜)

敷地、構造および建築設備について定期的に調査し、結果を報告しなければならない建築物。建築基準法に基づいて報告義務が課せられている。

定期報告が必要な特定建築物は、安全上、防火上または衛生上特に重要なものであって、政令または特定行政庁によって指定されている。指定されているのは、不特定多数の者が利用する一定の建築物のうち、一定の階数、面積等を有するものであるが、その詳細は指定する特定行政庁によって異なる。また、高齢者等が就寝用途で利用する一定の福祉施設も指定されている。

特定建築物の所有者・管理者は、1級建築士・2級建築士・建築物調査員(設備については建築設備等検査員)に調査を依頼し、その結果を特定行政庁が定める期間ごとに報告しなければならない。

なお、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づき、空気環境の調整、給排水の管理、清掃等に関する基準(建築物環境衛生管理基準)に従って維持管理しなければならない建築物も「特定建築物」というが、これは建築基準法に基づき定期報告が必要な特定建築物とは異なる。

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