書面の電子化|不動産用語集
書面の電子化(しょめんのでんしか)
書面が必要とされている手続き等について、電磁的な方法による手続き等を認め、書面化を不要にすること。「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(2021年制定)によって措置された。
不動産取引においては、次の書面について電子化されている。ただし、いずれの場合も、書面の作成・交付を電磁的な方法に代えることについて、取引の相手方の承諾が必要である。
(1)媒介契約書(媒介契約締結時に作成、交付しなければならない書面)
(2)重要事項説明書(重要事項等を記載し、交付しなければならない書面)
(3)賃貸借契約書・売買契約書(賃貸借・売買の契約締結時に交付しなければならない書面)
書面の電子化に当たっては、取引相手方の承諾を得るとともに、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどが必要である。
なお、書面の電子化にあわせて、書面に押印する義務は、(2)(3)については不要とされた。
用語解説
媒介契約書
宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成し、宅地建物取引業者がその書面に記名押印し、依頼者(売主・買主・貸主・借主)にその書面を交付しなければならない。
このとき交付される書面のことを「媒介契約書」と呼んでいる(宅地建物取引業法第34条の2第1項)。
また、媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。
重要事項説明書
宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。
重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引士が、記名押印して交付しなければならないとされている。
賃貸借
ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。
賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。
民法では、あらゆる賃貸借契約について、
1.契約期間は最長でも20年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない(賃貸人には登記義務がないとされるから結果として賃借人は対抗力を持つことができないこととなる)
等と規定している。
しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、
1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める
等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。