賃貸人の地位の移転|不動産用語集

賃貸人の地位の移転(ちんたいにんのちいのいてん)

賃貸不動産が譲渡されたときに、賃貸人の地位が譲渡を受けた者に移転すること。民法に定められている制度である。

この移転は、賃貸借について、賃借権の登記、借地借家法の規定(登記がなくても建物の引き渡しがあれば対抗力が生じる旨の定め)などによる対抗要件が備わっていれば、原則として当然に(意思表示しなくても)効力を生じる。また、譲渡による賃貸人の地位の移転は、譲り受けた不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗できない。

なお、例外として、賃貸不動産を投資法人等が取得し、従前の所有者がその譲渡不動産を賃貸管理するために改めて賃借する場合には(もとからの賃借人は転借人となる)、売買当事者の合意によって、賃貸人の地位を譲渡した者に留保できることとされている。この場合、当事者間の賃貸借が終了すれば、賃貸人の地位は不動産の所有者に移転する。

 

用語解説

賃貸借

ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。

賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。

民法では、あらゆる賃貸借契約について、

1.契約期間は最長でも20年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない(賃貸人には登記義務がないとされるから結果として賃借人は対抗力を持つことができないこととなる)

等と規定している。

しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、

1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める

等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。

借地借家法

借地権および建物の賃貸借契約などに関して特別の定めをする法律で、民法の特別法である。1991年公布、92年8月1日から施行されている。

従前の借地法、借家法を統合したほか、定期借地権等の規定が創設された。借地借家法では、借地権の存続期間や効力等、建物の賃貸借契約の更新や効力等について、借地権者や建物の賃借人に不利にならないよう一定の制限が定められている。

意思表示

一定の法律効果を欲するという意思を外部に表示することである。
意思表示は次の3つの部分から構成されている。

1.内心的効果意思
具体的にある法律効果を意欲する意思のこと。例えば、店頭で品物を買おうと意欲する意思が内心的効果意思である。

2.表示意思
内心的効果意思にもとづいて、その意思を表示しようとする意思のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を伝えようとする意思である。
(なお、表示意思を内心的効果意思に含める考え方もある)

3.表示行為
内心的効果意思を外部に表示する行為のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を告げることである。

なお、内心的効果意思のもととなった心意は「動機」と呼ばれる。例えば、品物を家族にプレゼントしようという意図が「動機」である。しかし、現在は判例・通説では「動機」は原則として、意思表示の構成要素ではないとされている。

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