同意権|不動産用語集

同意権(どういけん)

他人のなす行為について、それを肯定する旨の意思表示をする法律上の権限。法律の規定によって、一定の者が行なう一定の行為について、法律上完全な効力が生じるためには特定の者の同意が必要とされている場合に、その同意する権能が同意権である。

同意権を定める規定は民法に多い。たとえば、未成年者が法律行為をするには原則としてその法定代理人の同意を得なければならないが、同意を得ないで行なった行為は取り消すことができるとされている。あるいは、被保佐人不動産等に関する権利の得喪を目的とする行為などをするときには、保佐人の同意を得なければならず、同意を得ないでなした行為は取り消すことができる。

同意権が及ぶ範囲、同意する方法、同意を得ないで行った行為の効力などは法律に規定されていて、定められた同意権ごとに異なる。

用語解説

意思表示

一定の法律効果を欲するという意思を外部に表示することである。
意思表示は次の3つの部分から構成されている。

1.内心的効果意思
具体的にある法律効果を意欲する意思のこと。例えば、店頭で品物を買おうと意欲する意思が内心的効果意思である。

2.表示意思
内心的効果意思にもとづいて、その意思を表示しようとする意思のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を伝えようとする意思である。
(なお、表示意思を内心的効果意思に含める考え方もある)

3.表示行為
内心的効果意思を外部に表示する行為のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を告げることである。

なお、内心的効果意思のもととなった心意は「動機」と呼ばれる。例えば、品物を家族にプレゼントしようという意図が「動機」である。しかし、現在は判例・通説では「動機」は原則として、意思表示の構成要素ではないとされている。

未成年者

民法上、満18歳の誕生日を迎える前の者をいう。

未成年者が契約をなすには、親権者または未成年後見人(「法定代理人」と総称する)がその契約に同意することが必要である。この同意を得ないで未成年者が契約をした場合には、未成年者はこの契約を取り消すことができる。

なお、2022年3月31日までは、婚姻をした者は、満20歳未満であっても「未成年者」でなくなる制度があった(成年擬制)。

法定代理人

「法定代理人」とは、法律の規定によって定められた代理人という意味である。
これに対して、当事者同士の合意によって定められた代理人は「任意代理人」と呼ばれる。

具体的には、民法にもとづく法定代理人には次の3種類がある。

1.親権者
2.未成年後見人
3.成年後見人

1.および2.は、未成年者の法定代理人である。
また3.は、成年被後見人の法定代理人である。

このような法定代理人には、未成年者・成年被後見人の財産を管理し、法律行為を代表するという大きな権限が与えられている(民法824条、859条)。

被保佐人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる(民法第11条)。

家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する(民法第876条の2)。

こうした手続きにより保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。
保佐とは「たすける」という意味である。

この「被保佐人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。

被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。
こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取り消すことが可能である。
ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第13条)。

従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

保佐人

被保佐人に対して、保佐開始の審判のときに、家庭裁判所が職権で選任する保佐人のことである(民法第876の2条)。

保佐とは「たすける」という意味である。
保佐人は、重要な財産行為などについて同意する権限を持つ(民法12条)。

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