要物契約|不動産用語集

要物契約(ようぶつけいやく)

当事者の合意のほか、物の引き渡しなどの給付があって初めて成立する契約

民法改正(債権法関係、2020年4月施行)までは、消費貸借、使用貸借、寄託の契約が要物契約として規定されていた。しかしながら、近代民法は当事者の合意のみによる契約成立(諾成契約)を基本原則としていること、要物性を厳格に適用すると不都合な場合があることなどから、判例は、これらの要物契約の成立について要物性を緩和して解釈している。

そこで、民法改正(債権法関係)によって、消費貸借(書面によるもの)、使用貸借、寄託の契約は諾成契約に改められ、現在は、消費貸借契約のうち書面によらないもののみが要物契約とされている。

関連用語

諾成契約
当事者の合意の意思表示のみで成立する契約。 民法は、基本原則として、契約は締結の申込みに対して相手方が承諾したときに成立する旨を規定し、売買契約、賃貸借契約などほとんど全ての契約について諾成契約としている。 また、契約の成立には、法令による特別の定めがない限り書面の作成などの方式を備える必要はなく、任意の意思表示で足りる。  

用語解説

一般媒介契約

媒介契約の一つの類型。
一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。

1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。

1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。

使用貸借

動産不動産を有償で貸し付ける契約が「賃貸借契約」であるが、無償で貸し付ける契約は「使用貸借契約」と呼ばれる

身の回りの洋服や道具、家具や自動車などについて、家族や親戚、友人間において無償で物を貸し借りすることは日常生活でよく見られるところであり、契約書が存在せず、口約束で行なわれる場合も多い。不動産においても、親戚に短期間無償で家を貸したり、経営者が、個人名義の土地の上に会社名義の建物建築するケースや、親名義の土地の上に子名義の建物を建築するケースなどがあるが、無償であるところから借地借家法が適用されず、民法が適用される。

2020年4月施行の改正民法施行以前は、上述の事情から、書面によらない要物契約を想定し、貸主はいつでも借主に対して契約を解除し、物の返還を要求することができることが原則とされていた(ただし、存続期間を定めているときはその期間が満了するまで、使用および収益の目的を定めたときは借主がその目的に従い使用および収益を終えるまでは物の返還を要求できない。/旧民法第597条・598条)。しかし、時代の変化により、経済的取引の一環として行われるケースが増加し、その法的安定を図る必要性が高まったことから、改正民法においては諾成契約が原則となり、解釈によっていた部分の明文化が図られた。

具体的には、まず貸主が「物を引き渡すことを約し」、借主が「返還をすることを約する」ことによって契約が成立する(新民法第593条)として諾成契約であることを明文化し、引き渡し前の貸主の解除権(書面による場合を除く。/同第593条の2)、使用収益の終了等による契約の終了(同第597条)、相当期間経過の場合の貸主の解除権等(598条)、返還時の収去義務および原状回復義務(599条)、損害賠償請求権についての時効完成の猶予(600条)等について、諾成契約を原則とし、これまで解釈で対応していた点について条文の整理、明確化が図られた。

諾成契約

当事者の合意の意思表示のみで成立する契約。

民法は、基本原則として、契約は締結の申込みに対して相手方が承諾したときに成立する旨を規定し、売買契約、賃貸借契約などほとんど全ての契約について諾成契約としている。

また、契約の成立には、法令による特別の定めがない限り書面の作成などの方式を備える必要はなく、任意の意思表示で足りる。

 

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