契約責任原理|不動産用語集

契約責任原理(けいやくせきにんげんり)

契約の締結によって一定の行為を履行する責任が生じるという私法上の原理。債務不履行によって損害賠償責任が生じるのはこの原理に基づく。

伝統的に、契約責任原理によって損害賠償責任が生じるのは、「債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)」によって債務が履行されない場合であり、債務者の故意・過失又は信義則上これと同等の事由がない場合には、損害賠償責任は生じないと考えられている。これに対して、消費者契約法理の進展などを背景にして、契約によって引き受けた結果を実現できなかったことによって生じた損害(ただし契約が想定していない障害による損害を除く)に対しては賠償の責任があるとし、債務不履行に対して責任を負わないのは「契約において債務者が引き受けていなかった事由」がある場合であるという考え方が提起されている。

このような考え方の違いは、契約責任原理を適用する場合に責任を負う根拠をどこに求めるかの違いの現れでもあり、前者は故意・過失の存在に、後者は契約の拘束に反する行動に、それぞれ責任を負わせることとなる。最近は、契約に基づく規律を重視する立場が強くなっていて、どちらの考え方を適用すべきかなどについて議論がある。

なお、契約責任原理の適用に当たっては、不動産の売買のような特定物の取引において、売主が引き受ける責任の範囲や内容を明確に確定できるかどうかなど実務的な視点からの議論も必要である。

用語解説

契約

対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為のこと。

具体的には、売買契約、賃貸借契約、請負契約などのように、一方が申し込み、他方が承諾するという関係にある法律行為である。

債務不履行

債権・債務関係において、債務が履行されない状態をいう。

例えば、売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、売主が物件を引き渡さないときは、売主は引渡し義務を怠っていて、「債務不履行」にあたる。

このような債務不履行に対しては、法律(民法)により、債権者が債務者に対して損害賠償を請求することができるとされている。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

なお、債務の履行に代わる損害賠償を請求するには、次の条件を満たすことが必要である。
1.債務の履行が不能であるとき。(履行不能・履行遅滞・不完全履行の3形態がある)
2.債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3.債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

損害賠償

違法行為によって損害が生じた場合に、その損害を填補することをいう。

債務不履行や不法行為などの違法な事実があり、その事実と損害の発生とに因果関係があれば損害賠償義務を負うことになる。その損害は、財産的か精神的かを問わず、積極的(実際に発生した損害)か消極的(逸失利益など)かも問わず填補の対象となる。
ただし、その範囲は、通常生ずべき損害とされ、当事者に予見可能性がない損害は対象とはならない(相当因果関係、因果の連鎖は無限に続くため、予見可能性の範囲に留めるという趣旨)。

損害賠償は原則として金銭でなされる。また、損害を受けた者に過失があるときは賠償額は減額され(過失相殺)、損害と同時に利益もあれば賠償額から控除される(損益相殺)。

なお、同じように損害の填補であっても、適法な行為(公権力の行使)によって生じた不利益に対する填補は、「損失補償」といわれて区別される。

契約責任原理

契約の締結によって一定の行為を履行する責任が生じるという私法上の原理。債務不履行によって損害賠償責任が生じるのはこの原理に基づく。

伝統的に、契約責任原理によって損害賠償責任が生じるのは、「債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)」によって債務が履行されない場合であり、債務者の故意・過失又は信義則上これと同等の事由がない場合には、損害賠償責任は生じないと考えられている。これに対して、消費者契約法理の進展などを背景にして、契約によって引き受けた結果を実現できなかったことによって生じた損害(ただし契約が想定していない障害による損害を除く)に対しては賠償の責任があるとし、債務不履行に対して責任を負わないのは「契約において債務者が引き受けていなかった事由」がある場合であるという考え方が提起されている。

このような考え方の違いは、契約責任原理を適用する場合に責任を負う根拠をどこに求めるかの違いの現れでもあり、前者は故意・過失の存在に、後者は契約の拘束に反する行動に、それぞれ責任を負わせることとなる。最近は、契約に基づく規律を重視する立場が強くなっていて、どちらの考え方を適用すべきかなどについて議論がある。

なお、契約責任原理の適用に当たっては、不動産の売買のような特定物の取引において、売主が引き受ける責任の範囲や内容を明確に確定できるかどうかなど実務的な視点からの議論も必要である。

債務

私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。

債務を負っているのが債務者である。

信義則(信義誠実の原則)

権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならないとする原則をいう。

この原則は、契約の趣旨を解釈する基準にもなるとされ、当事者相互が、相手方が持つであろう正当な期待に沿うように行動することを要請しているのである。

どのような場合に信義誠実の原則を適用するかは、具体的な事情に応じて決定するほかない。例えば、不動産仲介業会社は、直接の委託関係はなくとも、業者の介入に信頼して取引を成すに至った第三者一般に対しても信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとする判例もある。判断に当たって、置かれた立場や社会的な信頼などが考慮されるということである。

なお、民事訴訟法は、当事者の訴訟行為について信義誠実義務を課しているが、これは一般的な信義誠実の原則とは別のより厳密な義務であると考えてよい。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

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