債権法|不動産用語集

債権法(さいけんほう)

私法体系のなかで、債権・債務関係を律する法体系を指す。その中心をなす法律は、民法第3編「債権」(総則、契約、事務管理、不当利得、不法行為の各章によって構成されている)であるが、民法第1編(総則)の関係部分のほか、契約や不法行為に関する多数の特別法も債権法を構成する。
財産権は大きく物権と債権とに分かれるが、物権法は人が財貨を直接に支配する関係を律する法規範であるのに対して、債権法は人と人との間の給付請求・給付行為関係(不作為を含む)を律する法規範である。

債権法は、1896年に制定された後、約120年のあいだ全般的な見直しがされないまま推移したが、社会・経済情勢に著しい変化があったこと、当時とは国民生活の様相が大きく異なること、裁判において膨大な数の判例法理が形成されているがその明確化が求められていることなどから、見直しが図られた。そして、それに基づき必要な改正が行われている(「民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)」2017年6月2日公布、2020年4月1日施行)。

用語解説

債権・債務関係

人がある人に対して一定の給付を要求し、あるいはある人から給付を要求されるいう関係をいう。

この関係に適用される最も基本的な法律が、民法第三編「債権」であり、この部分を一般に債権法という。債権法については見直しがなされ、必要な改正が行われた(施行は2020年4月1日から)。

債権・債務関係が発生する原因のうち、最も一般的なものは契約である。例えば土地売買契約では、買主は、土地の引渡しを売主に要求する債権を得る一方で、代金を支払う債務を負うことになる。また、不法行為も債権債務関係の発生原因として重要である。たとえば、交通事故の加害者は、被害者に対して損害を賠償する債務を負うこととなる。

債権

私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。

財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。

契約

対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為のこと。

具体的には、売買契約、賃貸借契約、請負契約などのように、一方が申し込み、他方が承諾するという関係にある法律行為である。

物権

物を直接に支配する権利をいう。

その典型は所有権である。

そもそも財産を支配する権利には、「物権」と「債権」の2つの類型がある。物権は、すべての人に対して権利を主張できる絶対的な財産支配権であるのに対して、債権は、特定の人にある要求をする権利であって第三者には権利を主張できない相対的な請求権である。このように、物権の基本的な性格は、その絶対的排他性にある。

絶対的排他性を確保するため、物権には、

1.後に成立した物権や内容が抵触する債権に優先する効力(優先的効力、ただし借地借家の賃借権(債権である)などの例外がある)

2.物権の内容の円満な実現が妨げられ、または妨げられる恐れがある場合に、妨害を除去・予防するため必要な行為を請求する権利(物権的請求権または物上請求権と呼ばれる。具体的には、返還、妨害排除、妨害予防の請求権)

が与えられている。また、排他性の帰結として、同一物に対して同一内容の物権は一つしか成立しない(一物一権主義、だからこそ、土地を筆に分けて各筆をそれぞれに一物とするのである)。

また、すべての人に対する権利であることから、物権の変動は公示しないと第三者に対抗できないとされる(公示の原則)。対抗要件は、不動産に関する権利変動については「登記」、動産に関する物権譲渡については「引渡し」である。

さらには、物権は、法律で定められた以外のものを新たに創設することはできないとされている(物権法定主義)。民法で定められているのは、所有権のほか、地上権(他人の土地を借りて使用できる権利)、地役権(他人の土地を自己の土地のために供し得る権利)、抵当権(優先的に弁済を受ける権利)、占有権(物に対する事実上の支配により認められる権利)などである。また、慣習法上の物権も判例により認められており、温泉権や流水利用権はこれに当たる。

キーワードから探す

頭文字から探す