分離課税|不動産用語集
分離課税(ぶんりかぜい)
他の所得と合算しないで課税することをいう。
源泉分離課税(源泉徴収によって納税が完了)と申告分離課税(確定申告において分離して税額を計算)とがある。
所得税についてみれば、それぞれ次のような所得が分離課税の対象とされている。
1.源泉分離課税
退職所得、利子所得(総合課税の対象となるものを除く)、特定目的信託のうち社債的受益権の収益の分配に係る配当、私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当、懸賞金付預貯金等の懸賞金等、一定の金融類似商品の補てん金等、一定の割引債の償還差益
2.申告分離課税
山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等および一定の先物取引による雑所得等、上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択した場合)
用語解説
源泉分離課税
納税の方式の一つで、他の所得と分離して、所得を支払う者が支払いの際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで納税が完結するという方法をいう。
その対象となる所得は、利子所得、投資信託の収益分配金など(一部例外がある)であり、課税率は20.315%(一部例外あり)である。
確定申告
毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し、税務署に申告し、納税する手続。2月中旬から3月上旬にかけて、税務署窓口、郵送、インターネット(e-Tax)で受け付ける。国税庁は、事務の合理化と混雑回避のため、e-Taxの利用を推奨している(申告内容によっては電子申告ができないケースもある)。
源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する。給与の年間収入金額が2,000万円を超える者や、給与を1ヵ所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える者など、一定の者には確定申告の義務が生ずる。
住宅を購入した場合では、住宅ローンの返済利子分を複数年にわたって所得から控除できる(住宅ローン控除)ため、住宅を取得した勤労者にとっても利点が大きく、義務がなくても確定申告することが一般的である。
所有する不動産を売却した場合には、分離課税となり、譲渡所得から取得費用と譲渡費用を控除した額に課税される。
また、借家経営をしていて年間20万円以上の家賃収入がある場合には、申告の義務が生じる。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
譲渡所得
資産を譲渡したことにより得た所得をいう。
譲渡収入と資産取得や譲渡に当たって要した費用の差が譲渡所得である(課税される譲渡所得額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除)。
譲渡所得は、その他の所得と合算して課税されるのが原則であるが、土地や建物の譲渡所得については、株式等の譲渡所得と同様に、他の所得と分離して課税される。その課税に当たっては、土地や建物の保有期間に応じて、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの(長期譲渡所得)と5年以下のもの(短期譲渡所得)とに分けられ、税率などが異なる。