市町村の都市計画に関する基本的な方針|不動産用語集

市町村の都市計画に関する基本的な方針(しちょうそんのとしけいかくにかんするきほんてきなほうしん)

市町村が都市計画を決定するにあたって指針となる市町村の都市計画の総合的なプランのこと。
「都市計画マスタープラン」、「都市マスタープラン」、「マスタープラン」、「基本方針」とも呼ばれる。

「市町村の都市計画に関する基本的な方針」は、1992(平成4)年の都市計画法の改正により導入された制度である。その概要は次の通り。

1.意義
「市町村の都市計画に関する基本的な方針」(以下「基本方針」と呼ぶ)は、市町村の都市計画の総合的なプランである。市町村は土地利用・都市施設・都市開発事業などの都市計画を決定するにあたっては、この「基本方針」に即して都市計画を決定しなければならない(都市計画法第18条の2第4項)。

2.他の計画等との関係
「基本方針」は、市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない(都市計画法第18条の2第1項)。

3.策定方法
「基本方針」を策定する主体は市町村である。市町村はこの「基本方針」を定める責務を負う(都市計画法第18条の2第1項)。
「基本方針」の決定に際しては、あらかじめ、地方自治法に基づき市町村に附属機関として置かれている市町村審議会の議を経る(※この点は、建設省(現・国土交通省)通知に基づく(「市町村の都市計画に関する基本的な方針について」平成5年6月25日建設省都計発第94号各都道府県知事・各政令指定都市の長宛建設省都市局長通知)。
【ただし「基本方針」は都市計画ではないので、「基本方針」には都市計画の決定手続は適用されない】
「基本方針」を決定したときは、遅滞なく公表し、都道府県知事に通知しなければならない(都市計画法第18条の2第3項)。

4.住民意見の反映措置
市町村が「基本方針」を定めようとするときは、あらかじめ住民の意見を反映させるために必要な措置(例えば公聴会の開催等)を講じなければならない(都市計画法第18条の2第2項)。

5.主な内容と構成
「基本方針」は標準的には次の内容から構成される(上記3.内※の建設省(現・国土交通省)通知より要約)。
1)基本方針は本文および附属図面からなる。
2)本文では、将来の生活像を想定し、目指すべき都市像、その都市像の実現のための主要課題、課題に対応した整備方針などを「全体構想」として明らかにする。
3)さらに本文では、地域別に、あるべき市街地像などの地域像、実施されるべき施策の方向を「地域別構想」として明らかにする。
4)さらに構想の実現に向けて、定めるべき都市計画の種類・実施すべき都市計画事業の種類、これらの決定・実施の時期などを明らかにしたプログラムを伴うものにするよう努める。

関連用語

マスタープラン
他の計画の上位に位置付けられる総合的な計画のこと。英語のmaster plan。 都市計画法では「都市計画区域の整備、開発、保全の方針」及び「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の二つを指している。両方をあわせて「都市計画マスタープラン」という。 詳しくは、「全体計画」を参照。

用語解説

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)

注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

マスタープラン

他の計画の上位に位置付けられる総合的な計画のこと。英語のmaster plan。

都市計画法では「都市計画区域の整備、開発、保全の方針」及び「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の二つを指している。両方をあわせて「都市計画マスタープラン」という。

詳しくは、「全体計画」を参照。

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。

この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。

主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。

都市計画区域の整備、開発及び保全の方針

都市計画区域に関して都道府県が定める基本的な方針のこと。
都道府県は、都市計画区域に関して必ずこの方針を定める(都市計画法第6条の2)こととされているので、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてもこの方針を定める必要がある。

この方針には、次の内容が定められる(都市計画法第6条の2第2項)。

1.都市計画の目標
2.区域区分の決定の有無(区域区分を定めるときはその方針)
3.主要な都市計画の決定の方針

都市計画区域の中で、都市計画決定を行なう際には、必ずこの方針に即して都市計画を決定しなければならない(都市計画法第6条の2第3項)(詳しくは都市計画の決定手続へ)。
なお、この方針を決定する主体は都道府県である(都市計画法第15条第1項第1号)。

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