供託|不動産用語集

供託(きょうたく)

法令の規定により、金銭、有価証券、その他の物件を地方法務局などにある供託所または一定の者に寄託することをいう。

供託は、弁済供託(債務者が債権者の受領拒絶、受領不能、債権者を確知できない場合等に弁済を目的としてするもの)、担保保証供託(後の支払を確保を担保するもの)、執行供託(民事執行の目的たる金銭または換価代金を当事者に交付するためのもの)、保管供託(他人の物を直ちに処分し得ないときに一時保管するためのもの)、没収供託(公職選挙立候補者の供託のように没収に備えるためのもの)の5種類に分類できる。また、そのための手続きは、供託法に定められている。
宅地建物取引業を営む場合には、営業保証金を供託しなければならないとされているが、宅地建物取引業保証協会の社員はその必要はなく、別途弁済業務保証金分担金を納付することとされている。

用語解説

法務局

法務省の地方支分部局の一つで、登記、公証、人権などに関する事務を担当する。

法務局は全国に8ヵ所設置されている。また、その他の県庁所在地等には地方法務局(全国で42ヵ所)が置かれている。さらに、法務局、地方法務局は、所管する地域内にその支局および出張所を置いていて、全体では全国で約500ヵ所の事務所が存在する。

事務所の種類等によってその扱う事務の範囲が異なるが、不動産登記および供託に関する事務は、すべての事務所で取り扱われるため、事務所を一般的に「登記所」と呼ぶ(商業登記は、原則的に法務局または地方法務局のみで扱う)。

なお、法務局以外の事務所を含めて、登記を扱う事務所を単に「法務局」と呼ぶ習慣もあるので注意が必要である。

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。
ここで「宅地建物の取引」と「業として行なう」とは具体的には次の意味である。

1.「宅地建物の取引」とは次の1)および2)を指している。
1)宅地建物の売買・交換
2)宅地建物の売買・交換・貸借の媒介・代理

上記1.の1)では「宅地建物の貸借」が除外されている。このため、自ら貸主として賃貸ビル・賃貸マンション・アパート・土地・駐車場を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業から除外されているので、宅地建物取引業の免許を取得する必要がない。
またここでいう「宅地」とは、宅地建物取引業法上の宅地を指す(詳しくは「宅地(宅地建物取引業法における~)」を参照のこと)。

2.「業として行なう」とは、宅地建物の取引を「社会通念上事業の遂行と見ることができる程度に行なう状態」を指す。具体的な判断基準は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「第2条第2号関係」に記載されているが、主な考え方は次のとおりである。
1)取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行なおうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
2)取引の反復継続性
反復継続的に取引を行なおうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行なおうとするものは事業性が低い。

営業保証金

宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。

営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。

なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。

宅地建物取引業保証協会

宅地建物取引業により生じた債権の弁済(弁済業務)、債務の連帯保証(一般保証業務)、苦情の解決、研修などを行なう社団法人(現在は、公益社団法人または一般社団法人)で、国土交通大臣の指定したものをいう。

その社員は、営業保証金の供託を必要としないかわりに、弁済業務保証金分担金(主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円)を納付しなければならない。

現在指定を受けているのは、(公社)全国宅地建物取引業保証協会および(公社)不動産保証協会の2つの団体である。

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