被保佐人|不動産用語集

被保佐人(ひほさにん)

精神上の障害があるために、保佐人を付けられた者のこと。
保佐とは「たすける」という意味である。

精神上の障害により物事を判断する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「保佐開始」の決定をし、「保佐人」を職権で選任する(民法第11条、第876条の2)。
こうした手続きにより保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。

この「被保佐人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。

被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。
こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取り消すことが可能である。
ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第12条)。

従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。

関連用語

成年被後見人
精神上の障害があるために、後見人を付けられた者のこと。

精神上の障害により物事を判断する能力が欠如した状態にある者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求にもとづいて審判を行ない、「後見開始」の決定をし、「後見人」を職権で選任する(民法第7条、第843条)。

こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。

また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。

成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。

従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。
被補助人
精神上の障害があるために、補助人を付けられた者のこと。

精神上の障害により物事を判断する能力が不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「補助開始」の決定をし、「補助人」を職権で選任する(民法第14条、第876条の7)。
こうした手続きにより補助人を付けられた者のことを「被補助人」と呼ぶ。

この「被補助人」の制度は、精神上の障害の程度が軽微な人について、法律行為を円滑に行なうことができるように、2000(平成12)年の民法改正によって創設された制度である。 被補助人は、精神上の障害の程度が軽微であるので、重要な法律行為であっても基本的には単独で有効に行なうことができるが、家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な法律行為について、補助人の同意が必要とされたり、補助人が法律行為を代理する場合がある(民法第16条、第876条の9)。

どのような法律行為について「同意」や「代理」を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判する(民法第16条、第876条の9)。

従って、被補助人との契約を行なうには、その補助人と事前に協議するべきである。

用語解説

保佐人

被保佐人に対して、保佐開始の審判のときに、家庭裁判所が職権で選任する保佐人のことである(民法876の2条)。

保佐とは「たすける」という意味である。
保佐人は、重要な財産行為について同意する権限を持つ(民法12条)。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

賃貸借

ある目的物を有償で使用収益させること、あるいはそれを約する契約をいう(賃貸借契約)。

賃貸借契約の締結によって、貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を、借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に原状回復すること等の債務をそれぞれ負うことになる(従って双務契約である)。

民法では、あらゆる賃貸借契約について、

1.契約期間は最長でも20年を超えることができない、2.存続期間の定めがない場合にはいつでも解約の申し出ができる、3.賃貸人の承諾がない限り賃借人は賃借権の譲渡・転貸ができない、4.目的物が不動産の場合には賃借人は登記がない限り第三者に対抗できない(賃貸人には登記義務がないとされるから結果として賃借人は対抗力を持つことができないこととなる)

等と規定している。

しかしながら、不動産の賃貸借は通常は長期にわたり、また、居住の安定を確保するために賃借人を保護すべしという社会的な要請も強い。そこで、不動産の賃貸借については、民法の一般原則をそのまま適用せず、その特例として、

1.契約期間を延長し借地については最低30年とする、2.契約の更新を拒絶するには正当事由を必要とする、3.裁判所の許可による賃借権の譲渡を可能にする、4.登記がない場合にも一定の要件のもとで対抗力を認める

等の規定を適用することとされている(借地借家法。なお、契約期間等については、定期借地権など特別の契約について例外がある)。

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