成年後見人|不動産用語集

成年後見人(せいねんこうけんにん)

成年被後見人を保護・支援するために、家庭裁判所が職権で選任する後見人のこと(民法843条)。成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、法律行為について成年被後見人を代理する権限を持つ(民法第859条)。

成年後見人は、成年後見制度によって成年被後見人に付される法的な機関で、成年被後見人を代表して行なう行為は広範である。ただし、成年被後見人が居住の用に供する建物敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除等の処分を代理するときには、家庭裁判所の許可が必要である(民法第859条の3)。

 

用語解説

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法第7条)。

後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する(民法第8条)。

家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(民法第843条)。

こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。

また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。

成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。

従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。

後見人

未成年者や成年被後見人を「後見」する者を「後見人」という。

後見とは、人(未成年者や成年被後見人)を保護するという意味である。

後見人は民法により次の権限を持つ(民法第859条)。

1.未成年者または成年被後見人の財産を管理する権限を持つ。
2.未成年者または成年被後見人の法律行為を代表して行なう権限を持つ。

このように後見人には財産管理権と代理権という強い権限が付与されている。

なお、未成年者の後見人は未成年後見人と呼ばれる。
また、成年被後見人の後見人は成年後見人と呼ばれる。

成年後見制度

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)によって判断能力が不十分な成年について、その行為を支援するための制度。

成年後見制度には、(1)家庭裁判所が選任する成年後見人・成年保佐人・成年補助人が、本人を法律的に支援する「法定後見制度」と、(2)あらかじめ後見人となる者や将来委任する事務の内容を定める契約(任意後見契約)を締結し、本人の判断能力が不十分になった後にその後見人が定められた事務を本人に代わって行なう「任意後見制度」がある。

法定後見制度による支援は、障害の程度に応じて次の3種類がある。

(1)後見:判断能力が欠けているのが通常の状態の者を対象に、成年後見人が財産管理に関するすべての法律行為を代理し、成年被後見人の法律行為は日常生活に関する行為を除き取り消すことのできる制度

(2)保佐:判断能力が著しく不十分な者を対象に、一定の行為(借財、不動産等の権利の得喪、新築・改築など)について成年保佐人の同意を必要とし、同意のない成年被保佐人の行為を取り消すことのできる制度

(3)補助:判断能力が不十分な者を対象に、家庭裁判所が定める特定の法律行為について成年補助人の同意を必要とし、同意のない成年被補助人の行為を取り消すことのできる制度

不動産の取引は、成年後見人が代理し、または成年保佐人の同意が必要な行為とされている。成年補助人の同意が必要な行為に定められる場合も多い。また、成年後見人が代理して、成年被後見人が居住の用に供する建物・敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除等の処分をするときには、家庭裁判所の許可が必要である。

なお、法定後見制度による後見、保佐、補助や、任意後見契約については、その内容を登記することができる。

高齢化の進展やニーズの多様化などの課題があり、見直しに向けた検討が行なわれている。

 

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。

具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。

なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。

ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。

1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

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