不動産用語集
不動産、住宅、法規制等、不動産取引に関連する用語を多数収録しています。
お住み替えコラム
2021.09.30
人生のターニングポイントで「住み替え」を検討する方も多いのではないでしょうか。
今後の生活を左右する住環境。そして大きな金額が動く選択なだけに、慎重に行いたいものです。
では、シニア世代の住み替えを成功させるには、どのようなポイントがあるのでしょうか?
お子さんが巣立った後の夫婦2人の最適な暮らしを求め、モノの整理と住宅の売買を行ない、千葉県船橋市のマンションから都内のマンションに住み替えたS様ご夫妻にお話を伺いました。S様ご夫妻は、住み替えの際にどのようなことを大切にされたのでしょうか。
お名前 | S様(65歳) ジャズピアニスト |
同居のご家族 | 夫(70歳)と2人暮らし |
以前のお住まい | 千葉県船橋市 大規模マンション3LDK(78平米) |
現在のお住まい | 東京都新宿区 小規模マンション3LDK(70平米) |
住み替え理由 | 前のマンションは段差が多く、高齢になってからは住めないと感じていた。また両親の遺産が入ったこともきっかけとなった。 |
資金計画 | 前のマンションと実家を売却し住み替えの資金に充て、半額は住宅ローンを組んだ。 |
現在のマンションを選んだ理由 |
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S様ご夫妻は14年前、船橋市の大規模マンションから飯田橋の小規模マンションへ住み替えをされました。 引越し前に断捨離で荷物の半分を処分し、サイズダウンした3LDKでコンパクトに暮らしています。交通の便が良い都心に住むことで、ジャズピアニストであるS様の音楽活動はとても充実しているそうです。
「以前住んでいたのは、船橋駅から少し離れたところにある3LDK・78平米のマンションでした。周辺には緑が多く子育てには最適な場所でしたが、階段の上り下りがあり高齢になってからは住めないなと感じていました。
住み替えで重視したのは、まずバリアフリーであること。そして駅やスーパー、病院などが徒歩圏内にある利便性の高さです。
50代のとき、両親の遺産が入ったのがきっかけで“このタイミングしかない!”と都内への住み替えを決意しました。」
S様ご夫妻は、引っ越し前に大規模な断捨離を行いました。大きすぎるグランドピアノとタンスは処分し、その代わり新婚当初から使っていたテーブルやシステム家具、ご主人の実家を処分したときに見つけたお母様自筆の書画など、本当に必要なモノだけをこの家に運んできました。
そのほかご主人のコレクションや娘さんの油絵、ランドセルなどの思い出の品はトランクルームに保管。引越し前の断捨離で、“日常的に必要なモノ”と“残しておきたい大切なモノ”がうまく整理されました。
「モノの整理は本当に大変でした。でも断捨離をした現在は、歳を重ねるほどモノを減らし、よりコンパクトな住まいで暮らしていくのが良いと感じています。日常の小さなことですが、掃除機がかけやすい、戸締りが楽など、身体に負担がかかりにくいことが結構大切だと感じていて。コンパクトなマンションならではの良さを実感しています。」
新しいマンションには、ジャズピアニストであるS様念願の防音室も設置。S様が幼少期から約60年間大切に使っているYAMAHAのアップライトピアノを置いています。
すでに巣立って都内で一人暮らしをしている40代の娘さんとは、付かず離れずスープの冷めない距離感。娘さんには、カリンの原木でつくられた小テーブルと、アップライトピアノを受け継いでくれれば、あとのモノは処分しても良いとすでに伝えているそうです。
S様ご夫妻がいまのマンションを選んだのは、“安心して住むこと”を重視したからでした。
「主人は仕事柄不動産関係の知識があったので、“必ず防災面と管理面だけは気にした方がいい”と。阪神・淡路大震災のこともあり、特に耐震性は気にしていましたね。それで地盤がしっかりした山手地区で、信頼性の高い大手企業が手がける新築マンションを探すことにしたんです。」
S様ご夫妻は2つの新築マンションに応募。抽選に当たったのは、S様と娘さんがそれぞれ通っていた学校の近くにある飯田橋の物件でした。
2011年の東日本大震災のとき、S様のご自宅はモノが落ちたり倒れたりせず、揺れもほとんどなかったそうです。S様ご夫妻は、耐震性に優れた新築マンションの良さを実感したとのことでした。また管理面でも、大手企業が手がけた物件なだけあり安心感があったそうです。
「私たちがここに住んでいる十数年間、管理は行き届いているし、一度も大きな問題が起きたことがないんです。オートロックなどのセキュリティ面も考慮されていて安心ですし、このマンションを選んで良かったと思っています。」
将来娘さんに引き継ぐことも視野に入れ、出来るだけ「資産価値が下がりにくい家」を意識して選んだというS様。S様ご夫妻は、ご自身にとっての住まいやすさだけでなく、この先引き継いだり売却したりすることまで見越した物件選びができているようです。
住み替えにあたり、必ず押さえておきたいのが資金計画です。S様ご夫妻は、ご実家のあった稲毛の土地と、以前住んでいた船橋のマンションを売却して住み替えの資金に充て、残りを10年ローンで返済。ご両親の遺産も助けになったそうです。
「15年前に両親が続けて亡くなり、相続された50坪の敷地を売却することにしました。両親からは、敷地を手放すときはまず隣の敷地の方に声をかけるようにと言われていたので、話してみるとトントン拍子で売却が決まりお互いに納得のいく金額で成立しました。」
その後、船橋のマンションを売却し、都内で新しいマンションを購入したS様ご夫妻。実家の売却が決まってからマンションの売買完了までの期間は約1年でした。
「前の船橋のマンションは、1組目の見学で売却が決まりました。8畳の和室がある今どき珍しい間取りだったのと、マンションを建設した会社の仲介部門にお願いしたことで、その物件の良さをうまく購入者に伝えてくれたのだと思います。
購入してくださったのは賃貸にお住まいのご夫婦だったので、私たちが新しいマンションに住み替える時期に引き渡しのタイミングを合わせてもらえたのも助かりました。そのご夫婦とは今でも年賀状のやりとりをしているんですよ。」
船橋のマンションの売却が決まった後、都内のマンションも無事購入したS様ご夫妻。都内の物件を購入するにあたっては、物件の資産価値をとくに気にしていたといいます。
「都内の物件は価格の変動が大きいので、リスクも考慮して購入しなければいけません。そこが一番心配だった部分ですね。今のところは地価も上がっているし、質と値段のバランスを考えると良い物件を選んだのではないかと思っています。」
住み替えの資金計画はそれぞれの世帯の状況に左右されますが、無理のない方法を選択したいものです。S様の場合は、“3LDK、70平米以上、この値段まで”と決めて物件探しを始めたことで、最終的に納得のいく物件に決められました。
S様ご夫妻が引っ越した飯田橋・神楽坂界隈は、都会の洗練された空間の中に歴史的な街並みが残るエリア。ふらっと立ち寄れる飲食店やライブハウスもたくさんあり、夫婦の行きつけのお店やS様が演奏をするお店も見つかりました。
「以前よりも都内のさまざまな場所に出やすくなったことで演奏やライブ、ミュージカル鑑賞などの機会も増え、音楽活動の幅が広がりました。引っ越ししてからの十数年は、大変楽しい時間を過ごしています。」
また、ご近所づきあいも充実。マンションの管理組合の理事になったことがきっかけで、昔からこの土地に住む方々と知り合いになりました。
「地元の方々にこの地域の歴史を始めさまざまなお話を伺えるのは大変興味深いです。神楽坂のライブハウスで演奏したときも、皆さんが駆けつけてくれて嬉しかったですね。こうして新しい土地でつながりができていくのが楽しいです。」
S様ご夫妻は、モノの整理と住み替えにより第二の人生をイキイキと過ごしています。
船橋から都内への住み替えにより、これまで以上に充実した生活が送れています。子育ての時期、夫婦2人で過ごす時期など、段階によって自分たちの生活を見つめ、ベストな住まいを考えることが大切です。利便性が高く安全なマンションは、いまの私たち夫婦にとって最適な選択でした。
ただ、引越しのモノの整理は大変でした。半分くらい処分しましたし、持って来られなかったモノもありました。住み替えを検討されている方は、できるだけ体力のあるご年齢で行動されることをお勧めします。
シニア世代のこれからの生活を見据えた“モノの整理”と“住み替え”を行い、都心のコンパクトライフを実現した事例を紹介しました。人生100年時代、それぞれのライフステージに合わせた住まいを選択していくことで、より充実した生活を送ることができるのではないでしょうか。
「これからやりたいこと」を軸に、自分らしい住まいを考えてみましょう。
掲載記事の内容は制作時点の情報に基づきます。
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